薩摩金山蔵
代表銘柄:薩州正宗
鹿児島県
KAGOSHIMA
2005年創業
濵田酒造グループが「継承の蔵」として展開し、350年以上の歴史を持つ串木野金山の坑洞跡を活用して2005年に誕生した蔵元です。年間を通じて気温が約19℃に保たれ、湿度が一定で日光(紫外線)が届かない坑洞内という特殊な環境を生かし、本格焼酎の仕込みや甕による貯蔵・熟成を行っています。昔ながらの製法(カブト釜式蒸留器やどんぶり仕込みなど)を踏襲し、独自の「黄金麹」を用いた個性豊かな焼酎造りを実施しているのが特徴です。
また地上施設では清酒(日本酒)の醸造も行っており、鹿児島県で途絶えていた県内産清酒の製造を復活させ、2012年に約40年ぶりの県産清酒「薩州正宗」を発売した蔵としても知られています。世界的な酒類コンテスト「SFWSC(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)」での最高金賞受賞や、鹿児島県本格焼酎鑑評会での総裁賞代表受賞など、国内外で高い評価を受けています。
薩摩金山蔵の歩み
薩摩金山蔵は、濵田酒造グループの薩摩金山蔵株式会社が、鹿児島県いちき串木野市野下で営む蔵です。江戸時代、島津家第19代の島津光久の頃に鉱脈が見つかった串木野金山の坑洞跡を生かし、2005年4月に開業しました。350余年にわたって掘り続けられた坑洞は総延長120キロメートルに及び、年間を通して気温が19度前後で保たれます。この環境を使い、現在は焼酎の仕込みから貯蔵、熟成までを坑洞の中で行っています。
焼酎造りでは、江戸時代に使われたカブト釜式蒸留器を復元し、大正時代以前に家庭で行われていたどんぶり仕込みを踏襲しています。麹には蔵独自の黄金麹を使い、2023年には坑洞内で貯蔵する「薩摩焼酎 金山蔵」がサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションで最高金賞を受けています。2025年と2026年にも同賞の最高金賞を受け、令和7酒造年度の鹿児島県本格焼酎鑑評会では麦焼酎「十二萬七千七百五十」が総裁賞代表に選ばれました。
母体の濵田酒造は1868年(明治元年)創業の焼酎蔵で、金山蔵はその「継承の蔵」にあたります。
その焼酎蔵が、清酒づくりにも踏み出しました。鹿児島県では約40年にわたって清酒が造られておらず、全国の都道府県で唯一、清酒の酒蔵がない県でした。温暖な気候で温度管理が難しく、安定しておいしい清酒を届けにくかったことが背景にあります。蔵は、清酒と焼酎が同じ國酒としてルーツを同じくすることから、異なる領域から学ぶことで本格焼酎の真価も高められると考え、清酒に挑みました。
清酒づくりを担ったのは、それまで研究職として焼酎に向き合ってきた東條健太さんです。2010年の秋に単身で長野県の清酒蔵へ修業に出ました。清酒の知識はゼロからの出発で、修業を終えて鹿児島に戻ってからも、壁にぶつかるたびに先輩杜氏へ電話で助言を求めながら、仕込みを重ねました。
銘柄名は一般公募で決まりました。全国から7,000を超える案が寄せられ、薩摩を意味する「薩州」と、清酒の代名詞である「正宗」を組み合わせた「薩州正宗」に決定しています。2012年9月23日に命名式が開かれ、同じ日に純米酒と純米吟醸酒が発売されました。2018年11月には大吟醸酒が加わり、2022年には発売10周年を迎えています。
酒造りの特徴
現在の薩州正宗は、純米酒と純米吟醸酒の2種類です。仕込み水には、いちき串木野の霊峰、冠岳(かんむりだけ)の伏流水を使います。原材料は国産米と国産米の米麹で、アルコール分はどちらも15度、容量は720ミリリットルと300ミリリットルがあります。純米酒は精米歩合70パーセントで、米のふくよかな香りとふくらみのある味わいが持ち味の濃厚旨口です。熱燗や冷酒で、しっかりした味付けの料理や、深い旨味とコクのある料理に合わせられます。
純米吟醸酒は精米歩合60パーセントで、低温発酵による華やかな香りとすっきりした甘みを特長とする芳醇甘口です。どちらも2021年9月23日にリニューアル発売されました。
東條さんは修業で、酸を作らない黄麹菌を使う清酒は、もろみが腐造しないよう冬の寒い時期にしか造れないことを学びました。2018年には1月から仕込みが始まっています。清酒づくりは相手が微生物という生き物で、気候や設備、水質によっても結果が変わります。蔵はここで得た気づきを、次の焼酎づくりに生かすことを目的に掲げています。仕込みは金山蔵の敷地内の地上の施設で行われ、焼酎を仕込む坑洞とは別の場所です。
2018年11月1日に鹿児島県限定で発売した大吟醸酒は、発売時には種子島の農家と協力して育てた酒造好適米「吟のさと」で仕込まれていました。吟のさとは山田錦と西海222号の交配種で、背丈が低く倒れにくいため、台風の多い九州でも栽培しやすい品種です。発売時の原材料は種子島産米と米こうじに醸造アルコールで、洗米から割水まで、すべての工程で冠岳の伏流水を使いました。麹は完全な手造りで、もろみの最高品温を9度に抑えて長期低温発酵させ、槽搾りで上槽しました。
搾った酒はマイナス5度で生貯蔵し、香りを逃がさないように瓶詰めして火入れを行いました。青リンゴやパイナップルを思わせる華やかな香りが特長でしたが、数量限定の商品で、2025年2月に終売となっています。
造り手は、焼酎と清酒の両方を手がけます。杜氏は東條健太さんで、2023年12月の取材時点では蔵に4人の造り手が在籍していました。蔵は、全国清酒鑑評会で金賞受賞経験のある杜氏が、選び抜いた原材料で丁寧に清酒を造っていると説明しています。
代表銘柄
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薩州正宗
薩州正宗は、薩摩金山蔵が鹿児島県で約40年ぶりに造った清酒の銘柄です。現行は純米酒と純米吟醸酒の2種類で、720ミリリットルと300ミリリットルがあります。仕込み水には冠岳の伏流水を使います。蔵は、清酒づくりで得た気づきを次の焼酎づくりに生かすことを目的に掲げています。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- お買物処「蔵乃仲見世」は鹿児島県いちき串木野市野下13665にあります。薩州正宗のほか、焼酎や金山蔵限定商品を扱います。営業は土日祝日の10時から17時です(2026年10月時点)。
- 補足
- 坑洞内見学(トロッコ)は2026年12月27日で終了します(2026年10月時点)。2026年9月1日から新規予約の受付は止まっており、見学できるのは12月27日までの土日祝です。予約済みの日時は運営の予定ですが、予約状況や施設の都合で変更になることがあります。見学は焼酎の坑洞蔵を巡るもので、清酒の仕込みを見る内容ではありません。地上の売店は終了後も営業を続ける予定です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 鹿児島県いちき串木野市野下13665
- 創業
- 2005年
出典
tourist-guide.net / wikipedia.org / hamadasyuzou.co.jp / k-p-a.jp / mynavi.jp / daiwahouse.co.jp / kagoshima-kankou.com / shochu-next.com / honkakushochu.or.jp / serai.jp / kobokudo.jp / shochu.life / houjin-bangou.nta.go.jp / kagomaga.jp
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