丸尾本店
代表銘柄:悦凱陣・誉凱陣
香川県
KAGAWA
1885年創業
丸尾本店は、香川県仲多度郡琴平町に位置する1885年(明治18年)創業の酒蔵です。幕末に高杉晋作や桂小五郎といった志士を匿ったとされる長谷川佐太郎の造り酒屋「新吉田屋」を引き継ぎ、酒造りを開始しました。代表銘柄には「悦凱陣」や「誉凱陣」があります。酒造りでは昔ながらの和釜と木製甑(こしき)を用いた伝統的な手作りを守り、炭による濾過を行わない無濾過の酒や生酒を中心に仕込んでいます。多種多様な品種・産地の原料米を使い分け、米本来の豊かな旨味としっかりとした酸味を持つ力強い味わいが特徴です。
受賞歴としては、全国新酒鑑評会で平成8・11・14〜17酒造年度に入賞しています。
丸尾本店の歩み
丸尾本店は、香川県の金刀比羅宮(こんぴらさん)にほど近い、現在の仲多度郡琴平町榎井にあたる地で、1885年(明治18年)に創業した酒蔵です。もとは「新吉田屋」の屋号で造り酒屋を営んでいた長谷川佐太郎の蔵で、その番頭として酒蔵を切り盛りしていた丸尾忠太が、明治18年に蔵を受け継ぎました。忠太は、現在の当主である丸尾忠興さんの曽祖父にあたります。
前の持ち主の長谷川佐太郎は、勤皇の思想に共鳴して志士たちを私財で支え続けた人物で、蔵には幕末の逸話が残っています。慶応元年(1865年)、幕府の探索を逃れて讃岐に潜伏していた高杉晋作を、佐太郎は蔵にかくまいました。客室の掛け軸の裏や居間の天井裏には隠し部屋が設けられ、捕吏が踏み込んだときには高杉を酒樽の中に隠して守り通した、という話が伝わっています。桂小五郎も、この蔵に潜伏したと伝わります。
佐太郎は篤志家としても知られます。安政元年(1854年)に決壊した満濃池の堤防の修築に私財を投じ、工事は明治3年(1870年)に完成しました。長谷川佐太郎ゆかりの建物は、江戸の商家のたたずまいを残したまま、いまも蔵として使われています。
酒銘の「凱陣」は、日清・日露の戦勝にちなむと伝わります。造りは1990年代までは但馬杜氏が担っていましたが、現在の四代目・丸尾忠興さんが自ら造りを覚え、杜氏を兼ねる体制になりました。2006年の時点では社長の忠興さんがほぼ一人で造りを担っており、2023年の時点で、杜氏を兼ねるようになってからおよそ24年になります。家族で営む小さな蔵として、いまも琴平町榎井で酒造りを続けています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度から平成17酒造年度まで4年続けて「悦凱陣」で入賞しています。出品区分は、山田錦を主体に造る第II部です。このほか、平成8酒造年度と平成11酒造年度にも、日本醸造協会誌に載った入賞酒の一覧に悦凱陣と丸尾本店の名があります。
酒造りの特徴
丸尾本店の酒造りでまず目を引くのは、昔ながらの和釜と木製の甑(こしき)で米を蒸す工程です。蒸米の出来が酒質を左右するとして、掛米の処理にはとくに手間をかけてほぐしています。その手間は純米大吟醸から純米酒まで変わりません。仕上がった酒は、炭を一切使わず、無濾過のまま、できたままの状態で出荷されます。2023年の時点で、出荷量の8割以上を無濾過生原酒が占めています。
米へのこだわりも徹底しています。一つの仕込みに使う米は一種類だけで、麹米から掛米まで同じ品種、同じ産地の米で通します。米の違いをそのまま味わってもらうための方針です。山田錦、雄町、亀の尾、八反錦、美山錦、オオセトなど、品種も産地も違う米を使い分け、仕込み方も変えて、2016年の時点では25種類ほどの酒を造る多品種少量生産です。2002年の時点では、通常の仕込みは600キロでした。
仕込みに使う水は、弘法大師ゆかりの満濃池水系の伏流水です。この水は、仕込みの前半は軟水、後半は硬水へと水質が変わる点が特徴で、軟水の時期には早く飲んでほしい酒を、硬水の時期には熟成させる酒を造り分けています。2005年には製麹室を改築し、それまで一室だったものを二室に増やして、麹の育成期間の違いに対応しやすくしました。温度管理のできるサーマルタンクが並び、搾った後は低温で瓶貯蔵されます。火入れは瓶燗で行います。
できあがる酒は、米の旨みをしっかり前に出し、メリハリのある酸で切れ上がる味わいです。熟成で表情が変わることでも知られ、冷やだけでなく燗にすると旨みがさらに開きます。食事と合わせる食中酒として造られています。
代表銘柄
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悦凱陣
蔵の看板銘柄で、「凱陣」の名は日清・日露の戦勝にちなむと伝わります。山田錦、雄町、亀の尾、八反錦、美山錦、オオセトなど、一仕込みごとに米の品種を一つに絞って醸し、純米大吟醸から手造りの純米酒まで幅広く揃います。米の旨みと、メリハリのある酸が持ち味で、無濾過生原酒を中心に、燗で飲んでも冷やしても楽しめます。
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悦凱陣と並ぶ、丸尾本店のもう一つの銘柄です。酒販店では純米吟醸として、火入れのほか無ろ過生原酒も並びます。蔵は和釜と木製の甑で米を蒸し、炭を使わない無濾過のできたままの酒に仕上げる造りを一貫しており、誉凱陣もその蔵で醸されます。悦凱陣に比べると店頭で見かける機会は少なめです。
見学・購入
- 補足
- 蔵は金刀比羅宮にほど近い琴平町榎井にあり、榎井駅から徒歩約5分です。江戸の商家のたたずまいを残す外観と、積まれた樽が目印です。酒は生産量が少なく、香川県内でも取り扱う酒販店は限られます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 香川県仲多度郡琴平町榎井93
- 創業
- 1885年
出典
japansake.or.jp / kimijimaya.co.jp / dewazi.or.jp / osakeosake.com / sanuki-sake.com / serai.jp / saketime.jp / sakenomy.jp / nobori-sake.com / kishida.press.ne.jp / yodasaketen.co.jp / genpachi99.exblog.jp / sake.science / shinise.tv / nrib.go.jp
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