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馬場酒造場

代表銘柄:能古見

佐賀県

SAGA

1795年創業

1795年(寛政7年)創業。佐賀県鹿島市の山里・能古見地区にて200年以上の歴史を重ねる蔵元です。代表銘柄の「能古見(のごみ)」は、8代目蔵元が地元産原料による特定名称酒への刷新を決意し、かつての地名「能古見村」から名付けました。

仕込み水には多良岳山系の伏流水を用い、地元・鹿島産の山田錦をはじめとする酒米を中心に醸しています。造りの特徴として、醪(もろみ)の品温を0.1℃単位で微調整するなど徹底した品質管理を行い、少量生産による丁寧な酒造りを貫いています。味わいは、佐賀の食文化や濃い味付けに寄り添うやや甘口を基本とし、米の確かな旨味と綺麗でキレのある後味が特長です。

過去には雑誌主催の全国日本酒コンテストで2年連続グランプリを受賞したほか、全国新酒鑑評会や福岡国税局酒類鑑評会でも受賞歴を持ち、全国の日本酒ファンから愛されています。

馬場酒造場の歩み

馬場酒造場は、寛政7年(1795年)に初代の馬場夘左衛門が創業した蔵です。有明海に面した佐賀県鹿島市のなかでも、山あいの能古見地区にあり、国道444号を山手に入った中川のほとりで200年以上にわたり清酒ひとすじに造り続けてきました。能古見は鹿島市を構成する6つの地区の一つで、かつての能古見村にあたります。有限会社としての会社設立は昭和29年(1954年)です。

転機は、8代目の馬場第一郎が昭和56年、22歳で大学を卒業してすぐに蔵を継いだことでした。当時は売り上げが年々下がり、取引先の酒販店では後継者不足も相次いで、蔵の存続が危うい状況でした。バブル崩壊後には酒類価格の自由化で大手メーカーが普通酒を安く売る時代になり、鹿島の酒は地元で飲まれることが少なく、長崎県が主な商圏でした。また当時の鹿島では山田錦が栽培されていませんでした。そこで第一郎は、酒米の最高峰とされる山田錦を地元鹿島で栽培してもらい、原料をすべて地元産とした特定名称酒で生き残る道を選びます。

JAや地元農家の説得には7年を費やし、1995年に清酒「能古見(のごみ)」が誕生しました。銘柄名は、蔵のある地区のかつての名前である能古見村に由来します。能古見の歩みは、地元農家でつくる山田錦部会とともにありました。

ところが当時は特定名称酒といえば贈答用が当たり前で、酒販店の反応は悪く、売れない時期が続いて廃業寸前にまで追い込まれました。それでも質の高い酒を日常的に飲んでほしいという思いを持ち続けるうちに、地元鹿島の酒販店が賛同してくれました。そこで発売した純米吟醸の搾りたて生酒は、当時としては画期的だったこともあって好評を得ます。この酒は現在も「純米吟醸 あらばしり」として親しまれています。

蔵の発表では、2000年と2001年に雑誌主催の全国日本酒コンテスト(特撰街主催)で2年連続のグランプリを受け、能古見の名前が広まっていきました。

2025年時点では、社長を8代目の第一郎が、杜氏を9代目にあたる馬場嵩一朗(当時31歳)が務めています。嵩一朗は大学院で微生物を研究した経歴を持ち、「若手の夜明け」には2025年に初めて出場しました。一方、鹿島の山田錦部会は高齢化と後継者不足で会員が当初の半数以下に減っており、蔵は地元産山田錦を使い続ける難しさにも向き合いながら、鹿島の米と水で醸す酒を守ろうとしています。

受賞歴も積み重ねています。全国新酒鑑評会では、平成11酒造年度から令和7酒造年度までに13回入賞し、そのうち金賞は平成11・12・14・27酒造年度の4回です。福岡国税局酒類鑑評会(北部九州三県)では、吟醸酒の部で2002年と2003年春、2009年から2011年の3年連続、2016年、2022年、2024年に金賞を受賞しました。2015年と2023年には大吟醸が最高位の大賞に選ばれました。蔵の発表では、2023年は純米大吟醸も金賞とされています。

2025年は吟醸酒の部の大吟醸と純米酒の部の特別純米酒がともに金賞です。優等賞は2003年秋、2006年、2007年、2008年(純米酒の部)に受けています。

酒造りの特徴

馬場酒造場は、370石の小さな蔵元です。大量生産を一切行わず、品質を管理できる量しか造らない方針をとっています。年ごと、日ごとに違う米質を見極め、日々変わる気温や湿度に合わせて、酵母や麹菌にとって最適な環境を整えることを造りの柱にしています。2018年時点では、能古見を普通酒より低温で、約2倍の日数をかけて発酵させていました。

原料米は90%以上が佐賀県産です。吟醸酒以上のほとんどに山田錦を使い、純米酒には佐賀県生まれの酒米「佐賀の華」を使っています。山田錦は鹿島で栽培されたもので、契約農家が低農薬で丹念に育てています。仕込み水は、佐賀と長崎の県境に連なる多良岳山系の伏流水です。肥前耶馬渓とも呼ばれるこの山系の水は、水を汲みに来る人が絶えないほどの名水として知られています。蔵のある集落には市の水道が通っておらず、暮らしの水もすべて井戸水でまかなわれています。

水質は軟水で、硬度は約30mg/Lと低く、能古見のやわらかな口当たりはこの水に由来します。

工程では数字で管理する場面が多くあります。洗米後の浸漬は水温を一定に保ち、米の品種や精米歩合、気温に合わせて浸漬時間を1秒単位で追求します。麹は蒸米に麹菌を繁殖させる間、最適な温度と湿度を46〜48時間管理します。酒母は水、蒸米、米麹に酵母を加え、7〜10日かけて酵母を増やします。酒母に使う酵母は、杜氏が自ら培養して管理しています。

醪は初添え、仲添え、留添えの三段に分け、初添えと仲添えの間に踊りの期間を置いて、4日かけて仕込みます。留添え後は約30日かけて酒になり、醪の品温は0.1℃単位で管理して酵母の働きを調整します。酒母から数えると、上槽までに約40日かかります。搾った酒は濾過したあと、約65℃で火入れをして冷蔵貯蔵します。火入れを行わない酒は生酒と呼ばれます。製造期は若手の蔵人にベテランのパート従業員が加わり、業務全体を10名ほどで担っています(2025年時点)。

代表銘柄

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能古見

蔵の代表銘柄で、食事を主役に引き立てる酒を目指しています。華やかな香りを控えめに保ち、米の味を出しながらきれいにまとめ、2杯3杯と進む味わいが狙いです。基本はやや甘口で、佐賀の濃い味付けに寄り添います。吟醸酒以上は山田錦、純米酒は佐賀の華が中心です。「純米吟醸 あらばしり」は山田錦のフレッシュな味わいで、2024年発売の「純米吟醸 中取り生」は穏やかなライチのような香りです。

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見学・購入

直売所
公式サイトで通信販売を行っています(国内発送のみ・20歳未満は不可)。福岡・佐賀・長崎をはじめ、全国の取扱酒販店でも購入できます。
補足
鹿島酒蔵ツーリズムは例年3月に開かれ、2023年は3月25日と26日に新酒の試飲・販売、板粕の販売、蔵内見学が行われました(参加料あり)。2027年は3月27日と28日に開催が予定されています。常時の見学受け入れは案内されていないため、訪ねる前に電話(0954-63-3888)で確認するのが確実です。最寄り駅はJR肥前鹿島駅です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
佐賀県鹿島市大字三河内乙1365
創業
1795年
公式サイト
www.nogomi.co.jp

出典

sakenomy.jp / nogomi.co.jp / sakagura-tourism.com / compalyze.co.jp / asobo-saga.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / makuake.com / saketime.jp

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