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東鶴酒造

代表銘柄:東鶴

佐賀県

SAGA

1830年創業

東鶴酒造は、江戸時代末期の天保元年(1830年)に創業した佐賀県多久市に唯一残る老舗酒蔵です。平成元年(1989年)より一時休業に入っていましたが、平成21年(2009年)に6代目蔵元の野中保斉氏が自ら杜氏となり、酒造りを再開・復活させました。2019年8月の豪雨で蔵が浸水し、麹室や搾り機などが被害を受けながらも、設備を一新して酒造りを続けています。

仕込み水には多久の山々から流れ込む良質な軟水の伏流水を使用。米の旨味を活かしながら、フレッシュで後味の切れが良い味わいを追求しています。木のこしきでの米蒸しや箱麹といった伝統的な手作業を大切にし、洗米時の水分調整や発酵時の品温調整を丁寧に行うことで、酵母や麹菌の能力を最大限に引き出す酒造りを行っています。

東鶴酒造の歩み

東鶴酒造は、江戸時代末期の1830年に創業した、佐賀県多久市の酒蔵です。四方を山に囲まれた多久で代々地元に根ざした酒造りを続け、法人としては1956年(昭和31年)に設立されました。6代目蔵元の野中保斉さんの祖父の代までは、一級酒・二級酒といった清酒を手がけていました。

戦後のビール人気や日本酒需要の低迷を受けて経営が難しくなり、5代目の時代の1989年(平成元年)に酒造りを休業しました。かつて多久市にあった酒蔵のうち、いま残っているのは東鶴酒造だけです。

休業から約20年後、蔵を復活させたのが6代目の野中保斉さんです。保斉さんは東京農業大学を卒業後、家業を継ぐことに抵抗があり、県内の飲食店で働いていた時期がありました。日本酒も苦手でしたが、唐津市の小松酒造の小松大祐さんが造る「万齢」を飲んで考えが変わり、蔵を復活させる決意を固めます。酒類総合研究所の酒造実習で基礎を学び、山口県の永山本家酒造場で住み込みの修業を積んだのち、2009年(平成21年)に蔵元自ら杜氏となり、父とともに酒造りを再開しました。

最初の年の酒は手厳しい評価を受けましたが、噂を聞いた県内の蔵元や酒販店が助言を寄せ、酒質は少しずつ改善していきました。生産量は初年度の25石から、6年目には220石にまで伸びています。多久市の異業種の仲間による「多久未来プロジェクト」にも加わり、多久市産の米で仕込んだ純米大吟醸「多久」を造りました。2017年にはフランスで開かれる日本酒コンクール「Kura Master」の純米大吟醸部門で、「東鶴 純米大吟醸酒」が金賞に選ばれています。

軌道に乗り始めた2019年8月28日、集中豪雨が蔵を襲いました。蔵の隣を流れる別府川の水が流れ込み、蔵全体が膝下まで浸水して、麹室は床上浸水となりました。地下水をくみ上げるポンプや酒を搾る機械なども被害を受けました。保斉さんは廃業も頭をよぎったと語りながらも、マクアケで復興支援を募るなどして再起します。復旧後しばらくは水害の泥水や雑菌の影響で酒が濁る現象が続いたため、設備は入れ替えられ、麹室は水害を避けるため蔵の2階に移されました。

酒造りの特徴

仕込み水は、敷地内の井戸から地下100メートルほどの深さでくみ上げる軟水です。多久の山々から流れ込む伏流水で、やわらかくすっきりとした味わいになります。蔵のある多久は朝の冷え込みが厳しく、酒造りに適した土地でもあります。原料米はできるだけ佐賀県産を使い、山田錦、ゆめしずく、レイホウ、美山錦、雄町、愛山など、酒ごとに米を選んでいます。

野中さんが造るのは純米酒が中心で、米と米麹と水だけという限られた条件のなかで、麹の造り方、醪の品温管理、蒸しの圧力と時間などを調整して、その蔵にしかない味わいを引き出すことを大切にしています。蔵元は2021年に、酵母や麹菌の能力を最大限に引き出すことを第一に考え、それらが働きやすいよう洗米時の水分調整や発酵時の品温調整、製麹時の種麹の選択を行っていると説明しています。

豪雨のあとは設備を一新しました。麹室を2階に移して麹の製造装置と出麹用の温風装置を導入した結果、2日間で最大60キログラムだった製麹量は180キログラムに増え、年間の製造可能数量も一升瓶換算で約2万本から約6万本に広がりました。搾りには自動の醪搾機を導入し、仕込みタンクのある部屋は大きなプレハブ冷蔵庫で囲んで清潔な環境を整えています。一方で、木のこしきでの米蒸しや箱麹といった伝統的な道具も用いてきた蔵です。

これによって発酵の進み方が変わり、お米の味わいをすっきりとピュアに感じられる酒質になったと野中さんは説明しています。

定番の「東鶴 THE ORIGIN 山田錦」は、佐賀県産の山田錦を生酛造りで醸した看板商品で、以前の定番だった純米酒と純米吟醸酒に代わる看板として生まれました。一方で、黒麹を使った「東鶴 BLACK」や白麹を使った「東鶴 WHITE」といったチャレンジシリーズにも取り組み、日本酒の楽しさを広げています。佐賀大学とのコラボ商品にも参画し、シンガポールや台湾へも輸出しています。冷やした状態でバランスよく味わえるように酒質を設計しているのも、この蔵の考え方です。

代表銘柄

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東鶴

佐賀県多久市に残る唯一の酒蔵・東鶴酒造の銘柄です。生酛造りの「THE ORIGIN 山田錦」を看板に、酵母が瓶の中で炭酸を生む「蝉しぐれ スパークリング 生」、うすにごりの「芽吹き」、おりがらみの「冬支度」といった季節の生酒、愛山を使った「結晴」まで幅広くそろえます。造りは純米酒が中心で、米の旨みを引き出しつつ後味の切れの良さを追求した、端正にまとまった味わいが持ち味です。

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見学・購入

直売所
蔵に併設の直売所「酒といろいろ」(2024年2月にリニューアルオープン)
補足
直売所では日本酒のほか、東鶴の酒粕から造る赤酢(佐賀の赤酢プロジェクトの商品)や、酒粕を使ったかりんとう・ビスコッティなどを扱っています。蔵見学は、2021年時点では4月から9月の間、事前予約制で受け付けていました。現在の受付状況はお問い合わせください。お問い合わせは電話0952-76-2421までです。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
佐賀県多久市東多久町大字別府3625-1
創業
1830年
公式サイト
azumatsuru.com

出典

sagasake.or.jp / azumatsuru.com / sake-times.com / aile.or.jp / tanoshiiosake.jp / saga-akasu.com / sakenomy.jp / sakagura-press.com / makuake.com / city.taku.lg.jp / diamond.jp / handsonsake.com / hands-on-local.com / saga-s.co.jp / kuramaster.com / isobe-sake.com

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