小野酒造店
代表銘柄:夜明け前
長野県
NAGANO
1864年創業
小野酒造店は、1864年(元治元年)に長野県辰野町小野で創業した蔵元です。代表銘柄「夜明け前」の名称は文豪・島崎藤村の代表作に由来し、藤村の長男である楠雄氏の許諾を得て命名されました。酒造りでは伝統的な手造りを守りつつ、低温発酵などの技術を取り入れています。仕込み水には中央アルプス最北端の伏流水を使用し、兵庫県産の山田錦や長野県産の美山錦、金紋錦、山恵錦といった厳選された酒米を用いて高品質な酒を醸しています。食中酒としての完成度を重視し、大吟醸から日常酒まで幅広いラインナップを展開しています。
国内外の品評会で高く評価されており、全国新酒鑑評会における金賞をはじめ、イタリアの国際コンテスト「ミラノ酒チャレンジ」での大吟醸部門一位にあたる「マニフィカ賞」など、数多くの賞を受賞しています。
小野酒造店の歩み
小野酒造店は、元治元年(1864年)、小野庄左衛門正常が屋号「千歳屋」として創業しました。正常は小野宿の問屋から千歳屋へ養子に入った人物です。創業の地は、現在の辰野町小野にあたり、初期の中山道の宿場として開かれた小野宿の造り酒屋です。創業当初は屋号にちなんで「千歳鶴」を名乗りましたが、明治維新後の商標登録で先に登録した酒蔵があったため使えなくなりました。そこで、小野の古い呼び名にちなむ「頼母鶴(たのもつる)」と改め、現在も一部の商品でこの名を使っています。
長く個人経営でしたが、昭和26年(1951年)1月17日に株式会社小野酒造店となりました。初代社長は4代目の小野庄司で、その後は5代目の淳好、6代目の能正へと直系でつながっています。昭和47年(1972年)、島崎藤村の生誕100年にあたり、藤村を敬愛していた5代目の世代が藤村にちなむ銘柄を考案しました。藤村の父・島崎正樹は小説『夜明け前』の主人公・青山半蔵のモデルで、小野との深い交流があったこと、蔵の創業が幕末から明治維新へ向かう時代だったことから、銘柄を「夜明け前」と定めました。
藤村の嫡子で藤村記念館の初代理事長だった島崎楠雄さんから、直接この名を使う許しを得ています。楠雄さんは、命に代えても本物を追求する精神を忘れず、味にこだわってほしいと蔵に求め、「夜明け前序の章」を揮毫しました。
昭和の末期、蔵は転機を迎えます。6代目の能正さんが昭和56年に入社した当時、蔵は地元の辰野町でも三番手ほどの存在で、小野地区の外では値引きをしない限り扱わない酒販店が多い状況でした。蔵人の高齢化も進むなか、蔵は近隣から杜氏を招く慣例を離れ、南部杜氏の大沼さんを迎えます。昭和59年にはその大沼さんの手で純米吟醸の「生一本」が誕生し、以来、蔵の代表的なお酒になっています。2000年1月には、ミレニアムの記念限定酒として特別本醸造「辰の吟」を発売しました。
2000年が辰年で、蔵があるのが辰野町であることから名付けた酒で、現在は生一本と並ぶ蔵の柱になっています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に15回入賞しており、うち金賞は7回です。金賞は平成25・26・27酒造年度の3回に続き、令和3・5・6・7酒造年度にも受賞し、令和5酒造年度から令和7酒造年度までは3年連続でした。関東信越国税局酒類鑑評会では、平成14年(2002年)の第73回でも受賞者に名を連ねています。第86回(2015年)から第96回(2025年)までの11回では、第88回を除く10回で受賞し、第89回以降は8回連続です。
第94回(2023年)と第95回(2024年)には、優秀賞より上位の特別賞を受けました。長野県清酒品評会では、第70回(2023年)と第71回(2024年)に吟醸酒部門と純米吟醸酒部門の両方で、第72回(2025年)に吟醸酒部門で県知事賞を受賞しています。蔵の発表では、第72回は首席優等賞で、2026年の第73回は吟醸酒部門で第2位の県知事賞となり、県知事賞は9年連続です。令和7酒造年度の長野県清酒鑑評会では、蔵の発表によると、出品52場106点のなかで最高賞の首席金賞に選ばれました。
海外では、ロンドンのIWCで「大吟醸」が2023年に大吟醸部門トロフィー、2024年にリージョナルトロフィーを受賞しました。蔵の発表では、2022年と2026年にもリージョナルトロフィーを受けています。イタリアのミラノ酒チャレンジ2025でも、蔵の発表では「大吟醸」がマニフィカ賞(部門一位)、「山恵錦 純米大吟醸」がプラチナ賞とグッドデザイン賞に選ばれました。創業160周年の2024年5月には記念の蔵開き「たのめの里 暁祭」を初めて開き、2026年5月には地元小野の2つのワイナリーと共同で第2回を行っています。
2019年以降は清都幸大さんが杜氏を務めています。
酒造りの特徴
仕込みに使うのは、中央アルプスの最北端にあたる霧訪山から流れ出る清らかな水です。米は「酒米の王様」と呼ばれる山田錦の特等米(兵庫県小野市下東条産、三木市口吉川産)をほとんど全ての特定名称酒に使い、長野県産の美山錦も用います。金紋錦の一等米と長野県南箕輪産の山田錦の一等米は、その名を付けた一部のお酒に使います。金紋錦は昭和39年に開発され、栽培の難しさから一度使われなくなったものの、近年に復活した「幻の酒米」です。山恵錦は2020年(令和2年)に品種登録された長野県の新しい酒米です。
普通酒は全量が美山錦の一等米で、地元の上伊那産が主です。地元辰野産の山恵錦で醸す辛口の純米酒もあります。
造りでは、新しい技術の導入と手造りの伝統を両立させています。主役は麹や酵母といった微生物で、人が微生物に直接触れる手造りは欠かせないと考えています。大吟醸は低温で長い期間をかけて発酵させ、最高峰の「山田錦 純米大吟醸」は専用の部屋で室温を管理しながら、醪の発酵を0.1度単位で進めます。この繊細な作業は約1か月続きます。大吟醸の造りでは原料処理を重視し、浸漬時間、放冷後の蒸米の乾燥、仕込み時の蒸米の温度を、米の状態と気候に合わせて調整します。
「大吟醸 厳寒仕込」は、蒸米を冷ましやすく低温発酵を管理しやすい一年で最も寒い時期に醸します。
搾りと季節の酒にも特色があります。「生一本しずく採り」は、数ある夜明け前の銘柄のなかで唯一、昔ながらの槽搾りで上槽する無濾過の生酒です。「生一本しぼりたて生」は、上槽機のヤブタで搾った出来たてをすぐに瓶詰めし、11月下旬ごろから売り出す純米吟醸の新酒です。「生一本ひやおろし」は、ひと夏を冷温で寝かせ、県内で一斉に解禁される9月9日に発売します。「絹華 純米吟醸」は、山田錦の特等米を使い、旨み成分「α-EG」を最大限に高めた酒です。
定番酒は食中酒としての飲みやすさを目指しています。「辛口」は美山錦を使い、級別制度の廃止を2年後に控えた時期に、酒造好適米だけで造る晩酌酒として売り出しました。平成25酒造年度からは精米歩合を60%に高め、蔵のある辰野町ではほとんどの飲食店で使われています。「頼母鶴 精撰」は全量が長野県産の美山錦で、通常の三段仕込みでなく四段仕込みで旨みと軽やかな甘みを引き出しており、2025年の全国燗酒コンテストで金賞を受賞しています。
代表銘柄
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夜明け前
島崎藤村の長編小説『夜明け前』にちなむ蔵の主力銘柄です。昭和47年の藤村生誕100年に銘柄を考案し、藤村の嫡子・島崎楠雄さんから名を使う許しを得ました。昭和59年に生まれた純米吟醸「生一本」を代表に、山田錦の大吟醸や純米大吟醸、長野県産の山恵錦や金紋錦の酒、辛口の定番酒まで揃います。全国新酒鑑評会では令和5〜7酒造年度に3年連続で金賞を受賞し、ロンドンのIWCでも「大吟醸」がトロフィーを重ねています。
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- 直売所
- 蔵の売店(辰野町小野)です。営業時間は月曜から金曜が8:00〜17:00、土日祝日が10:00〜17:00で、土日祝日は休業の場合があります。12月のみ土曜日も8:00から営業します。
- 補足
- 蔵開き「たのめの里 暁祭」を、創業160周年の2024年5月11日・12日と、2026年5月9日・10日に開催しています。営業日の確認は電話(0266-46-2505)でできます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県上伊那郡辰野町小野992-1
- 創業
- 1864年
- 公式サイト
- yoakemae-ono.com
出典
yoakemae-ono.com / japansake.or.jp / sakenomy.jp / tatsuno.lg.jp / jtb.co.jp / liqlog.com / prtimes.jp / kitsune-sake.com / yoakemae-ono.net / nrib.go.jp / nta.go.jp / gitc.pref.nagano.lg.jp / shinmai.co.jp / inadanikankou.jp
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