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七笑酒造

代表銘柄:七笑・益々繁盛

長野県

NAGANO

1892年創業

七笑酒造の建物
七笑酒造の建物(2017年撮影)「Kiso Nanawarai Brewery ac.jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

長野県木曽郡木曽町に蔵を構える七笑酒造は、明治25年(1892年)創業の酒蔵です。酒銘の「七笑」は、木曽義仲が幼少期を過ごしたとされる木曽駒高原の景勝地「七笑」や、「七回笑えば七福(幸せ)が来る」という願いに由来しています。山深い木曽路の寒冷な気候と、御嶽山・木曽駒ヶ岳山系の清冽な伏流水(軟水)に恵まれた環境で、単に甘辛だけに左右されない日本酒本来の「旨口」と「呑み飽きのしない酒」を追求しています。原料米には長野県産の美山錦などを主に使用し、伝統的な手法に加えて地産地消や新たな酒造りにも取り組んでいます。

受賞歴として、全国新酒鑑評会での金賞受賞や、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)でのゴールドメダル、ミラノ酒チャレンジでのプラチナ賞獲得など、国内外で高い評価を受けています。

七笑酒造の歩み

七笑酒造株式会社は、現在の長野県木曽郡木曽町福島にあたる地で、1892年(明治25年)に創業しました。創業者の川合新助は1877年生まれで、尋常小学校を卒業したのち雑貨商や荷役馬の仕事に就きましたが、学問への思いを断ちがたく家出をしたものの連れ戻され、商いの道へ進むことを決意して、15歳で蔵元を興しました。創業当時の店名は「川合新助吟醸」、屋号は「藤新(ふじしん)」で、「木曽錦」と「七笑老松」という銘柄の日本酒を製造していました。

「七笑」という酒銘は、木曽駒高原にある地名にちなんだもので、創業当時からこの文字が使われていました。木曽の歴史的な武将である木曽義仲が「駒王丸」と呼ばれた幼少期をこの地で過ごしたという言い伝えがあり、仕込み水が木曽駒ヶ岳からの伏流水であることとの縁も重ねながら、「七回笑えば七福(たくさんの幸せ)が来る」という願いが込められています。

蔵のある木曽福島は中山道の宿場町として栄え、関所が置かれた土地でもあり、険しい山道を行く旅人が「旅の苦労は旨し酒で七回笑って吹き飛ばす」と酒に親しんできたことも、酒銘の由来のひとつになっています。

創業当初は近隣の伊那から高齢の杜氏を招いていましたが、新助は、木曽・小谷村の杜氏集団「小谷杜氏」の一人だった同年代の松沢玖二と、国税局鑑定官の柴田主税に酒造りを委ねるという、当時としては異例の抜擢を行いました。この体制のもとで七笑の酒質は大きく向上し、大正時代には木曽地域で最大の生産量を誇るまでになり、大正14年(1925年)には品評会で1等賞を受賞しています。しかし昭和2年(1927年)には木曽福島を襲った大火で蔵の大半を焼失し、掘っ建て小屋で酒造りを続けながら再建を進めました。

昭和18年(1943年)には酒造米の配給制限が始まりましたが、歴史と伝統のある木曽の酒造りが評価され、木曽郡内の蔵元は前年対比7割までの造石を認められました。七笑もこの優遇のもとで酒造りを続けています。

跡取り息子の新司は明治41年(1908年)生まれで、太平洋戦争で青年将校として出征し、昭和20年(1945年)にフィリピンで戦死しました。新助は深い悲しみを乗り越え、孫の清志(1934年生まれ)に蔵の将来を託すべく、命ある限り蔵主を続ける決意を固めます。昭和26年(1951年)には七笑酒造株式会社として法人化し、昭和32年(1957年)に新助が80歳で亡くなると、父と同じ同志社大学を卒業した清志が三代目として蔵を継ぎました。

昭和38年(1963年)と昭和39年(1964年)、七笑は全国新酒品評会で2年連続の1位を獲得しました。この連続受賞の年に、清志の長男・潤吾が生まれています。潤吾は東京農業大学で発酵学を修めたのち常務取締役として清志を支え、平成4年(1992年)と平成5年(1993年)には全国新酒鑑評会(開催年)で連続の金賞を受賞しています。現在の代表取締役は潤吾で、その長男である貴裕は日本大学卒業後、山形県の出羽桜酒造で3年間修業を積み、2019年に五代目として七笑酒造に入りました。

現在は常務として、木曽の郷土食であるすんき漬け由来の乳酸菌を使った酒造りや低アルコール酒の醸造など、年替わりで新たな挑戦を続けています。2023年8月には、七笑酒造による郷土料理店「カネチ藤屋」も開店しました。

酒造りの特徴

蔵のある木曽路は、島崎藤村の小説「夜明け前」に「木曽路はすべて山の中である」と描かれた山あいの地で、冬は身を切るような寒さとなり、夏でも霊峰・木曽御嶽山に残雪が見られるほど冷涼です。仕込み水には、木曽駒ヶ岳山系からの伏流水を蔵内の井戸から汲み上げて使用しており、喉ごしが柔らかくまろやかな軟水で、わずかな甘みを感じる清らかな水質です。

酒米には主に長野県産の酒造好適米「美山錦」を使用しています。以前は標高が高く冷涼な木曽では酒米の栽培は難しいとされていましたが、気候変動の影響もあり、平成20年(2008年)から契約農家による試験栽培を開始しました。現在では木曽地域内の11軒の農家が美山錦を生産しているほか、長野県松川村の農家にも生産を依頼しており、生産者の顔が見える良質な原料米の確保に努めています。

大吟醸などの特定名称酒と、普通酒などのレギュラー商品とでは、造り方を分けています。大吟醸は小型の洗米機でストップウォッチを使い秒単位で吸水させ、種付けも麹室で手作業により行い、仕込みは吟醸蔵と呼ばれる専用の場所ですべて手作業で行います。搾りは自然の重力のみで搾る「袋吊り」で、1か月以上かけて丁寧に仕込まれます。一方、普通酒などは大型の洗米機や放冷機、薮田式自動圧搾機(ヤブタ)を使って効率的に仕込みますが、一般的な添・仲・留の三段仕込みではなく、添と留の二段仕込みを採用しているのが特徴です。

平成14酒造年度以降の全国新酒鑑評会では11回入賞しており、うち7回が金賞です。金賞は平成14酒造年度、23酒造年度、27酒造年度、令和2酒造年度、4酒造年度、5酒造年度、7酒造年度に授与されています。

国内の消費者向けコンテストでも高い評価が続いており、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」では、2021年にメイン部門の「七笑 吟醸酒」「七笑 木曽産美山錦純米酒」とプレミアム大吟醸部門の「七笑 大吟醸 銀華」が最高金賞を受賞し、2022年もメイン部門とプレミアム大吟醸部門の3商品が最高金賞となる「トリプル受賞」を2年連続で達成しました(プレミアム純米部門の「七笑 純米吟醸」は金賞でした)。

2023年はメイン部門の「七笑 純米酒」、2024年はプレミアム純米部門の「七笑 純米吟醸酒」がそれぞれ最高金賞を受賞し、2025年もプレミアム大吟醸部門とプレミアム純米部門で金賞を、2026年はプレミアム大吟醸部門の「七笑大吟醸 銀華」が最高金賞を受賞しています。

海外のコンテストでも評価を高めており、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)では2022年に純米大吟醸部門・吟醸部門・大吟醸部門でシルバーメダル、純米吟醸部門でブロンズメダルを獲得し、2023年の「SAKE部門」吟醸の部では「七笑 吟醸」が同社にとって初めてとなるゴールドメダルを受賞しました。同年のミラノ酒チャレンジでは「七笑 吟醸」が最高評価のプラチナ賞、「七笑 大吟醸」がゴールド賞を獲得しています。

フランス・パリで開催されるKura Masterの純米酒部門でも、2022年に「七笑 純米吟醸 山恵錦」、2023年に「七笑 純米吟醸 山恵錦」と「七笑 純米吟醸 金紋錦」が2年連続で金賞を受賞しました。2022年度の全米日本酒歓評会では大吟醸A部門の「純米大吟醸 湧笑」と純米部門の「木曽産美山錦純米酒」が金賞を受賞し、2023年度も純米部門の「七笑 木曽産美山錦純米酒」が金賞、大吟醸B部門の「七笑 大吟醸銀華」と純米部門の「七笑 特別純米酒」が銀賞を受賞しています。

地元で親しまれている定番酒での受賞も特徴で、全国燗酒コンテストでは2022年にプレミアム燗酒部門の「七笑 特別純米酒」と特殊ぬる燗部門の「七笑 にごり酒」が、2023年にはお値打ち熱燗部門の「七笑 辛口」が金賞を受賞しました。長野県内では、関東信越国税局酒類鑑評会の第93回(令和4年)から第95回(令和6年)まで3年連続で、吟醸酒の部と純米吟醸酒の部の両部門で優秀賞を受賞しています。

長野県清酒品評会でも、第68回(令和3年)に吟醸酒部門・純米吟醸酒部門で県知事賞をダブル受賞し、第71回(令和6年)には純米吟醸酒部門で県知事賞を受賞しました。これらとは別に、長野県酒造組合が主催する長野県清酒鑑評会でも、令和7酒造年度に金賞を受賞しています。

代表銘柄

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七笑

七笑酒造の看板銘柄で、木曽駒ヶ岳からの伏流水と長野県産美山錦を主に用い、甘辛だけに偏らない「旨口」でありながら淡麗な喉ごしの酒を追求しています。吟醸酒から定番の本醸造まで幅広く展開し、令和7酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞したほか、2023年のインターナショナル・ワイン・チャレンジでは吟醸の部で同社初のゴールドメダルを、ミラノ酒チャレンジでは最高評価のプラチナ賞を獲得しています。

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益々繁盛

「益々繁盛」の名の通り繁盛を祈願して仕込まれた、縁起物のギフト商品です。七笑の本醸造酒を、2升5合(4.5リットル)の大瓶に詰めています。爽やかな旨口に仕上げられており、蔵元のオンラインショップでギフト商品として取り扱われています。七笑は甘辛だけに偏らない「旨口」と淡麗な喉ごしを追求する酒質を掲げており、この本醸造酒もその系譜に連なる一本です。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
本社内に直営店があり、七笑の商品を購入できます。
補足
毎年4月の土曜に「七笑酒造蔵開き」を開催しており、2026年で第19回を数えます。試飲・試食のほか、蔵見学や蔵開き限定酒の販売も行われます。入場は無料で、試飲をご希望の場合は別途有料チケットが必要です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
長野県木曽郡木曽町福島5135
創業
1892年
公式サイト
www.nanawarai.co.jp

出典

nanawarai.co.jp / wikipedia.org / ameblo.jp / meimonshu.jp / sakagura-press.com / returnable-navi.com / naganosake.jp / nanawarai.com / ja.wikipedia.org / kuramotokai.com / nrib.go.jp / sakenowa.com / nta.go.jp / pref.nagano.lg.jp

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