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白木恒助商店

代表銘柄:淡墨桜・達磨正宗

岐阜県

GIFU

1835年創業

岐阜県岐阜市にて1835年(天保6年)に創業した酒蔵。銘柄「達磨正宗」の名称は、明治時代の濃尾大震災による蔵の倒壊を乗り越えた際、不屈の姿勢を表す「七転び八起き」にちなんで命名された。

昭和40年代(昭和46年頃)から、大手酒造との差別化を図るため日本酒の長期熟成酒(古酒)造りに本格的に着手し、熟成古酒のパイオニア的存在として知られる。主力である「達磨正宗」の熟成古酒シリーズのほか、純米酒「淡墨桜」や古酒を用いたリキュールなどを製造・販売している。常温熟成による美しい色合いと深みのある味わいを持つ古酒は国内外で高く評価されており、2008年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の「古酒の部」にて「達磨正宗 1979年(昭和54年)醸造酒」がゴールドメダルを受賞している。

白木恒助商店の歩み

白木恒助商店は、天保6年(1835年)に、現在の岐阜市北部にあたる田園地帯で創業した酒蔵です。裕福な地主の酒蔵ではなく、地主から米を買い付けて酒を造る、いわゆる商人系の造り酒屋として歩んできました。銘柄の達磨正宗は、明治24年(1891年)の濃尾地震で蔵が倒壊した苦難を乗り越え、倒れても起き上がる七転び八起きのだるまにあやかって名づけたと、蔵元は説明しています。

転機は昭和40年代です。六代目の白木善次さんは、若くして先代から家業を任されました。昭和37年の酒税の変更で準一級酒が一級酒に格上げされると、テレビCMを流す大手メーカーの酒が地元の酒販店にも並び、小さな地酒蔵の売れ行きは落ちていきました。そんなとき、蔵の片隅に忘れられていた一升瓶を見つけて封を切ると、黄金色の美しい色合いで、一年で飲む日本酒とはひと味もふた味も違う味わいでした。昭和46年(1971年)から、この古酒の復活への挑戦が始まります。

造り方を記した文献は見つからず、毎年、甘口の純米酒や辛口の吟醸酒などを何種類か仕込んでは売らずに熟成させ、5年後、10年後に結果を確かめるという気の長い試行錯誤でした。

「酒を売らずに貯めている」と周囲から変わり者のように言われ、税務署から早く売って納税するよう促されたこともありました。昭和50年代には三年、五年、十年古酒を市場に出せるようになりましたが、「色が付いている」「ふつうの日本酒と味が違う」と相手にされないことも多くありました。やがて地元銀行の頭取、ソムリエの田崎真也さん、百貨店のバイヤーらが価値を認めるようになり、達磨正宗の十年古酒はJAL国際線ファーストクラスのドリンクメニューに、通常は3か月のところ3年間搭載されました。

1985年に発足した長期熟成酒研究会には、発足時のメンバーとして加わっています。

受賞も重ねています。英国のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)では、平成20年(2008年)に古酒の部で「達磨正宗1979」(昭和54年醸造)が金賞(Gold)、翌平成21年に古酒の部で「達磨正宗1993」が銀賞(Silver)を受賞し、同じ平成21年には純米酒の部で「淡墨長寿桜 純米酒」が推奨酒(Commended)に選ばれました。

香港のTasting Trendies Sake Awards(TTSA)では、2018年に「達磨正宗 十年古酒」が総合優勝(Champion)と古酒部門のBest of Koshuに選ばれ、2020年にも「達磨正宗 三年古酒」が古酒部門のBest of Koshuに選ばれました。2021年の第15回フェミナリーズ世界ワインコンクールでは、日本酒の熟成酒部門で「達磨正宗 Shigeri」が金賞を受賞しています。

2022年にフランスで開かれたKura Masterでは、古酒部門で「達磨正宗 2010年 貴醸造酒」がプラチナ賞(決勝進出)、「達磨正宗 熟成三年」が金賞となりました。2023年の第1回美酒コンクールでは、エイジド部門で「達磨正宗 五年古酒」が金賞、「達磨正宗 十年古酒」が銀賞に入っています。蔵の発表では、All Aboutの日本酒長期熟成古酒部門で十年古酒が第1位になりました。

海外にも古酒を紹介してきました。平成18年(2006年)にはイタリア・トリノのスローフード協会の大会で達磨正宗のセミナーが開かれて蔵元も参加し、平成21年(2009年)にはスペインの国際料理大会サン・セバスチャン・ガストロノミカで、田崎真也さんが二十年古酒をソースに使った豚肉の照り焼きを披露しました。2014年に英国への本格的な輸出が始まり、2015年にはシンガポールと、香港経由で北京への輸出も始まっています。現在は七代目の白木滋里さんが蔵元・代表社員を務め、夫の寿さんが杜氏として古酒造りを担っています。

滋里さんは国税庁醸造試験所や東京農業大学で学んだ経験を持ちます。

酒造りの特徴

平成に入ってからは、古酒の原酒を速醸酛の純米酒に絞っています。通常の三段掛けに麹甘酒と酒母を加えた五段掛けで仕込み、炭ろ過はしません。古酒に使う米は日本晴にこだわり、旨みを引き出しています。昭和40年代中ごろからは、吟醸酒、純米酒、アルコール添加酒を日本酒度で差をつけながら貯蔵してきました。糖類を添加した酒質のものは加えていません。

熟成は常温で行います。10年から20年はタンクで、それ以降は一升瓶に詰めてコンテナで熟成を重ねます。熟成用のタンクは約80本あります。2024年時点では、一升瓶が並ぶコンテナに約6万本が保管されています。夏は武儀川の伏流水で冷やして温度を下げています。熟成中は空気との接触を避け、手を加えずに待ちます。熟成用に仕込むタンクは年に2〜3本です。

仕込み水は、長良川の支流・武儀川の伏流水です。硬度が低い軟水で、全国平均より濃いめでコクがあり、口当たりのまろやかな酒になります。発酵の温度は冷暖房に頼らず、タンクに這わせたホースに夏は冷水、冬は温水を通して調整します。麹づくりは麹室を30度前後に保ち、2日間かけて手作業で行います。

製品にするときは、複数の原酒をブレンドします。たとえば十年古酒は、ブレンドする最も新しい原酒が10年熟成のものです。三年古酒をさらに寝かせても十年古酒になるわけではありません。熟成三年、五年、十年、二十年の古酒のほか、熟成年ごとのビンテージ古酒、その年に仕込んだ酒を家庭で20年寝かせ、子どもが二十歳になったら開ける出産祝い向けの「未来へ」があります。2022年冬から2023年5月まで南伊豆の海で熟成させた海中熟成酒や、古酒に飛騨山椒を漬け込んだリキュールなど、古酒を生かした商品もあります。

代表銘柄

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淡墨桜

淡墨桜(うすずみざくら)は、岐阜県の特産で幻の米とも呼ばれるハツシモで醸す純米酒です。蔵元の地元・岐阜市三輪で契約栽培したハツシモを100%使った純米ひやおろしや、年に一度のしぼりたて生原酒、春搾りの純米生酒など、季節ごとの商品がそろいます。春搾りの純米生酒は旨味たっぷりで芳醇な味わいで、ひやおろしはお燗にも向きます。古酒とは別に造る、蔵の純米酒の銘柄です。

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達磨正宗

蔵の代名詞である古酒の銘柄です。熟成三年、五年、十年、二十年の古酒は、複数の原酒をブレンドして造ります。熟成年ごとのビンテージ古酒もあり、昭和54年(1979年)醸造は平成20年(2008年)のIWC古酒の部で金賞を受賞しました。香港のTTSAでは2018年に十年古酒が総合優勝しています。古酒のほか、ダルマ正宗の名で純米ひやおろしや、ハツシモで造る甘口純米も醸しています。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵に併設の売店とギャラリー(きき酒室)で、古酒の試飲と購入ができます。予約は不要です。営業は9時30分から16時30分で、日曜と祝日は休みです。
補足
酒蔵見学は4コースあり、いずれもきき酒付きで要予約です(2026年1月時点)。蔵見学と達磨正宗スタンダード・熟成三年の試飲を合わせた約20〜30分のコースから、熟成3年・10年・20年を飲み比べる約45分のベーシックコース、新酒や古酒のオリの試飲、限定品、おつまみ付きの約90分のプレミアムコース、50年以上熟成した古酒まで味わう約120分のエグゼクティブコースまでそろいます。JR岐阜駅からバスで約50分、「茂地」バス停から徒歩約10分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岐阜県岐阜市門屋門61
創業
1835年

出典

meimonshu.jp / daruma-masamune.co.jp / gifuproduct.jp / sakeworld.jp / nihonshu-tourism.com / hakko-umami.com / tastingtrendies.com / sake.science

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