菊川
代表銘柄:篝火
岐阜県
GIFU
1871年創業
岐阜県各務原市に位置する菊川株式会社は、1871年(明治4年)創業の酒蔵です。旧中山道の宿場町である「鵜沼宿」に蔵を構え、本蔵や倉庫などの建造物は国の登録有形文化財や各務原市景観重要建造物に指定されています。仕込み水には清流・長良川の伏流水を使用し、国産の酒米と冬の冷気「伊吹おろし」による寒造りの風土を生かした酒造りを行っています。代表銘柄には「菊川」があり、かつては「篝火(かがりび)」も造られていました。2000年代初めには新潟県から杜氏を迎えて酒造りをしていました。
現在は清酒のほか、焼酎、みりん、リキュール、料理酒、米糀など多角的な醸造・食品の製造販売を手がけており、2014年以降は株式会社神戸物産のグループ企業として酒類製造事業を展開しています。
菊川の歩み
菊川の創業は明治4年(1871年)です。創業者は武藤嘉左衛門で、場所は旧中山道六十九次の五十二番目の宿場にあたる鵜沼宿、現在の各務原市鵜沼西町です。蔵のある一角には江戸時代に河内屋という旅籠があり、その井戸水は皇女和宮が通行する際の食事用の水に指定されました。明治に入るとその地で酒蔵が営まれるようになり、現在まで同じ場所で酒造りが続いています。銘柄名の「菊川」は、松尾芭蕉が更科紀行の旅で鵜沼宿の脇本陣・坂井家に泊まった折に詠んだ句「ふぐ汁も喰えば喰はせよ菊の酒」にちなんで付けられたと伝えられています。
会社の歩みは、大正9年(1920年)に武藤醸造合資会社が設立されたことから大きく動きます。大正11年(1922年)に大垣へ出蔵を新設し、昭和19年(1944年)にこれを菊川酒造株式会社としました。昭和30年(1955年)には武藤グループの各社を合併して株式会社武藤本店となり、昭和32年(1957年)に神戸市へ灘工場を新設しています。
昭和37年(1962年)にキリンビールと特約店契約を結んで卸業の拡大を図り、昭和39年(1964年)に商号を菊川株式会社へ改めましたが、平成14年(2002年)にビール等の卸業務を廃業しました。
平成7年(1995年)には阪神・淡路大震災で灘工場が壊滅的な被害を受け、平成10年(1998年)に灘工場を岐阜工場へ統合しました。平成15年(2003年)には岐阜本部も岐阜工場に統合しました。平成26年(2014年)4月30日、同年1月6日に受け皿として設立された会社が会社分割で酒造事業を引き継ぎ、同日、株式会社神戸物産の100%子会社となって、現在の菊川株式会社が酒造事業を担っています。代表取締役社長は山口司さんです。
蔵の建物は中山道の町並みの一部をなしています。中山道に面して建つ本蔵は大正時代後半に建てられた土蔵造り2階建てで、桁行11間半、梁間7間半、建築面積335平方メートルの規模があり、大きな梁を用いた和小屋の構造です。敷地の東側にある一号倉庫・二号倉庫は明治期の土蔵造りで、北側の一号倉庫の小屋組にはキングポストトラスが使われています。本蔵と一号・二号倉庫は平成18年(2006年)12月1日に各務原市の景観重要建造物に指定され、平成19年(2007年)5月15日に国の登録有形文化財に登録されました。
本蔵と並んで中山道に面していた豆蔵も同じ指定と登録を受けていましたが、老朽化のため令和3年(2021年)12月に景観重要建造物の指定が解除され、令和4年(2022年)8月に解体されました。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、商標「篝火」で4回入賞しています。平成15酒造年度と平成18酒造年度は金賞で、平成17酒造年度と平成21酒造年度は入賞です。名古屋国税局酒類鑑評会(開催年で表記)でも、篝火の受賞が続きました。平成15年の第51回は吟醸酒の部と純米酒の部、平成16年の第52回は吟醸酒の部で入賞しています。平成17年の第53回と平成18年の第54回は吟醸酒の部と純米酒の部の「篝火」が優等賞で、平成19年4月発表の第55回吟醸酒の部でも「篝火」が優等賞でした。
平成20年の第57回は吟醸酒の部の「篝火」、純米酒の部の「中山道鵜沼宿」(受賞者名簿の表記は「中仙道鵜沼宿」)、本醸造酒の部の「特別本醸造 篝火」が優等賞となりました。平成21年の第58回は吟醸酒の部の「大吟醸 篝火」、純米酒の部の「中山道鵜沼宿」、本醸造酒の部の「特別本醸造 篝火」、平成22年の第59回は吟醸酒の部の「大吟醸 篝火」と純米酒の部の「中山道鵜沼宿」が優等賞です。
酒造りの特徴
仕込み水には長良川の伏流水を使っています。長良川は郡上市高鷲町の大日ヶ岳を源とする全長166kmの川で、上流域にダムがありません。水質は軟水で、軽やかできれいな、やわらかい酒に仕上がります。原料米は国産の酒米にこだわっています。
酒造りの時期には「伊吹おろし」と呼ばれる北西からの寒風が吹き、晴天が続きます。雑菌が繁殖しにくい低い気温は酒の仕込みに適しており、蔵はこの寒造りの風土を生かしています。工程では、米を水に浸す浸漬を原料の吸水具合が最適になるよう管理し、蒸した米を冷ます放冷では気温の制御を重視します。製麹は温度と湿度を管理しながら丁寧に育てます。仕込みは初添、仲添、留添の三段階に分けて行い、初添と仲添のあいだには何も加えずに様子を見る踊りの日を置きます。
仲添では初添の2倍、留添ではさらに仲添の2倍の米と麹と水を加え、タンクの温度を調節しながら発酵させて、20日ほどでもろみが完成します。
2000年代初めには、十月に稲刈りが終わると新潟県から杜氏が蔵入りして酒造りに当たっており、平成14年(2002年)時点の杜氏は平澤至正さんでした。現在は、温度や湿度を管理できる設備を導入して品質の安定を図る一方で、すべての作業を機械に任せることはしません。米の状態を見て、触って、食べてみることを毎日欠かさず、異常がないかを確かめています。蔵の中には酒の神様の神棚やお札が祀られ、仕込みの蔵には一番大きな神様が祀られています。
生産が安定したことをきっかけに、それまで流通が難しかった生の米麹の販売も始まり、米麹と塩麹が新しい定番になりました。
現在の商品は、やや辛口で冷やから上燗まで楽しめる「清酒 菊川」と、お燗でしっかりと辛口を感じられる「菊川の鬼ころし」が日本酒の中心で、どちらも国産米を使い、アルコール度数は14度以上15度未満です。「菊川の鬼ころし」は、業務スーパーで扱われるグループ工場製造のオリジナル商品です。このほか麦焼酎「麦嘉門」、芋焼酎「黒嘉門」、甲乙混和焼酎、梅酒、サワーの素、料理酒、本みりんなどを製造し、日本酒だけでなく幅広い酒類と調味料を手がけています。
代表銘柄
篝火
鵜飼で知られる長良川にちなんだ銘柄で、名は、鵜匠と舟と鵜が一体となる鵜飼の技が、甘・辛・酸・苦・渋の五味の調和を大切にする酒造りに通じることに由来します。2000年代初めの篝火は吟醸酒・純米酒・本醸造酒に限ったブランドで、山田錦を40%まで磨いた純米大吟醸もありました。名古屋国税局酒類鑑評会では平成17年から22年まで毎年優等賞を受け、全国新酒鑑評会では平成15・18酒造年度に金賞を受けています。
見学・購入
- 補足
- 蔵は旧中山道の鵜沼宿に面し、登録有形文化財の本蔵と倉庫の外観を町並みの中で眺められます。名鉄新鵜沼駅またはJR鵜沼駅から徒歩約15分で、車では東海北陸自動車道の岐阜各務原ICから国道21号を美濃加茂方面へ約20分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岐阜県各務原市鵜沼西町1丁目543番地
- 創業
- 1871年
出典
sake-times.com / wikipedia.org / sakedata.jp / kontatsu.co.jp / saketime.jp / kotobank.jp / sake-kikukawa.co.jp / web.archive.org / city.kakamigahara.lg.jp / bunka.nii.ac.jp / online.bunka.go.jp / nrib.go.jp / gyomusuper.jp / sakeno.com / sakenowa.com
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