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林酒造

代表銘柄:美濃天狗

岐阜県

GIFU

1874年創業

岐阜県可児市に位置する林酒造は、1874年(明治7年)に9代目林伊兵衛によって創業された酒蔵です。1612年に初代がこの地に居を構えて以来の歴史を持ち、古くから祝い酒として「富輿(とみこし)」が地域で親しまれてきました。

代表銘柄の「美濃天狗」は近隣にある古井(コビ)の天狗山に由来します。造りの特徴として、自家製米や手造りを中心に、現代の多様な好みに合わせた少量多品種の日本酒を手掛けています。現在は12代目当主自らが蔵元杜氏として酒造りを率いています。

主な受賞歴として、「純米大吟醸 いひょうゑ アルティメット28」が「Australian Sake Awards 2022」の純米大吟醸酒部門にてゴールド賞を受賞しています。

林酒造の歩み

美濃天狗と富輿を醸す林酒造は、可児市の東、羽崎の山間部にあります。1612年に初代林伊兵衛が、美濃国平牧村、いまの可児市にあたる地に広大な山林と田畑を持って居を構えていました。そこから数えて9代目の林伊兵衛が、1874年(明治7年)にこの地で酒造業を開きました。以来、清酒「富輿」の名で地域に古くから親しまれてきました。

創業のころは濁り酒が中心で、いまのような透明な清酒になったのは昭和25年頃からです。蔵の銘柄は3つあります。「富輿」は結婚の祝い、つまり輿入れ先が豊かになるようにとの願いを込めた名前です。「美濃天狗」は古井の天狗山にちなみ、「光秀」は蔵のすぐ近くが生誕の地とされる明智光秀にちなんでいます。光秀の銘柄は、大河ドラマ「国盗物語」のころに商品化されたもので、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」のあとは順調に売れるようになりました。

現当主は十二代目林伊兵衛で、十二代目になって初めて杜氏を兼ねる蔵元杜氏となりました。2023年時点で蔵元杜氏として14年目です。1982年に農大を卒業し、問屋で2年間営業を学んだのち、東京・滝野川の醸造試験場で約2年間お世話になりました。そこで吟醸酒の全国鑑評会が開かれていることを知り、酒造りへの意識が変わりました。そのころ、山形の出羽桜、滋賀の松の司の蔵元と一緒に学び、いまも付き合いが続いています。高校生の頃から蔵に入り、杜氏と一緒に作業をしてきた経験もあります。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても4回入賞しています。平成14酒造年度が大吟醸「かくれ里」、平成16酒造年度と平成19酒造年度が「美濃天狗 鼻高々」で、平成20酒造年度には「美濃天狗 鼻高々」で金賞を受賞しました。名古屋国税局の酒類鑑評会では、発表年で数えて平成16年から平成21年にかけて6回の発表に名前が載っています。平成16年(第52回)は入賞で、吟醸酒の部の「美濃天狗 かくれ里」と純米酒の部の「美濃天狗 いひょうゑ」でした。

優等賞は、平成17年(第53回)が吟醸酒の部の「かくれ里」、平成18年(第54回)が吟醸酒の部の「鼻高々」と純米酒の部の「いひょうゑ」、平成19年(第55回)が吟醸酒の部の「美濃天狗」、平成20年度(第57回)が吟醸酒の部の「鼻高々」と本醸造酒の部の「美濃天狗 本醸造」、平成21年度(第58回)が吟醸酒の部の大吟醸「鼻高々」です。近年は海外のコンクールでの受賞が相次いでいます。2020年の全米日本酒鑑評会では、純米大吟醸「いひょうゑ」が大吟醸A(精米歩合40%以下)の部で銀賞を受けました。

2022年には、同年に第1回が開かれた「Australian Sake Awards」の純米大吟醸の部で、プレミアム純米大吟醸「いひょうゑ アルティメット28」が金賞を受賞しました。2023年にはパリのKura Masterで白麹純米「祐」が純米酒部門の金賞、ミラノ酒チャレンジで大吟醸「鼻高々」が大吟醸の部の金賞、「手造り純米」が特別賞(ベストフードペアリング賞)、第1回のシンガポール酒チャレンジで純米大吟醸「いひょうゑ」が最優秀のプラチナ賞を受賞しました。

2024年は創業150周年にあたり、3月30日と31日に蔵で記念の新酒試飲即売会を開きました。この年も受賞が続き、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024では本醸造しぼりたて生原酒がメイン部門の金賞、ミラノ酒チャレンジ2024では「かくれ里」が大吟醸部門の金賞を受け、前年の「鼻高々」に続いて2年連続の金賞となりました。全国燗酒コンテスト2024では「富輿」がお値打ち熱燗部門の金賞、白麹純米「祐」は日本ギフト大賞2024の岐阜賞です。

2025年は、Tokyo酒チャレンジ2025の純米大吟醸の部で「羽崎 リストレット」が金賞、KURA MASTER 2025で純米吟醸(原酒火入れ)が金賞、香港のOriental Sake Award 2025では1980年醸造の40年古酒「大古酒 十二代目伊兵衛」が古酒の部の金賞と地域最優秀賞「ベスト・オブ・岐阜」のダブル受賞でした。

2026年は、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2026で純米活性にごり「美濃のつらら酒」が生酒部門の金賞、TOKYO酒チャレンジ2026で純米酒が、バンコク酒チャレンジ2026で活性にごり純米「夏氷」がそれぞれ銀賞でした。

酒造りの特徴

仕込み水は久々利川の伏流水で、イオン交換と、ヤシガラ炭・活性炭によるろ過を経て使います。酵母は、岐阜県で開発された「G酵母」を本醸造や純米酒に、「G2」を純米大吟醸「羽崎 リストレット」に使い、大吟醸系には310酵母を用います。米は、大吟醸系では兵庫県産の山田錦を使います。一方、本醸造や純米酒、富輿には、自社の水田で減農薬栽培した岐阜県産米を使います。純米吟醸のひやおろしには岐阜県産の美山錦、純米酒「岐阜九蔵」には岐阜のあさひの夢を100%使うなど、商品ごとに米を使い分けています。

可児市の明智の荘で作付けされる酒造好適米の五百万石も、明智光秀の本醸造や、美濃天狗の純米吟醸「陸」に使ってきました。このうち「美濃天狗 純米吟醸」や「美濃天狗 純米酒」は、岐阜の水、岐阜の米、岐阜の酵母による「オール岐阜」の酒です。

精米は自家精米が特徴です。最高級の「いひょうゑ」は、山田錦を35%まで三日三晩かけて磨き、2週間枯らしてから、時間をかけてもろみを低温発酵させます。「かくれ里」は40%まで、吟醸は岐阜県産米を55%まで自家精米します。発酵は低温で長く行うのが基本で、純米吟醸と吟醸、「かくれ里」ではもろみ温度を12度以下に保ち、25日以上かけて育てます。本醸造は速醸酒母で12日、もろみは15度以下で25日です。大吟醸「鼻高々」は、「いひょうゑ」と酒母を分かち合った兄弟酒で、山田錦を35%まで磨き、310酵母を使い、箱麹で仕込みます。

上槽のときに少量のアルコールを添加して、純米のコクをなじませた手造りの大吟醸です。「いひょうゑ アルティメット28」は、山田錦を28%まで磨き、酒袋を吊るして滴り落ちる雫だけを斗瓶に取った無濾過生原酒です。

現当主の林伊兵衛は、毎日の分析を酒造りの要としています。もろみの温度、アルコール、酸度を毎日調べ、温度計を差して測るアナログな管理に加えて、もろみの表面の硬さや泡の上がり具合を見て発酵を判断します。1トンほどのタンクでは中央と外側、上と下とで温度が違うため、それを見分けられるようになるまで10年ほどかかりました。特定名称酒を中心に、冬の熱燗に向く普通酒「上撰」や、精米70%・全量岐阜県産米の「富輿」も造っています。

季節の酒も多彩で、新酒を零下5度で貯蔵する氷点貯蔵、瓶内二次発酵の純米活性にごり「美濃のつらら酒」(発売から20年目を迎えたのは2021年です)、アルコール12度で完全に火入れした「夏氷」があります。通常の黄麹に焼酎用の白麹を加え、クエン酸の甘酸っぱさを引き出した白麹純米「祐」もあります。

新しい挑戦にも積極的です。2025年には、岐阜県で42年ぶりに開発された酒造好適米「酔むすび」を、東美濃で栽培されたものだけ全量使って純米大吟醸「羽崎 リストレット」に仕立てました。50%まで精米し、岐阜の酵母G2で醸しています。蔵元は、美濃で育った米の活用、地域の酵母、独自の味の探求、そして麹・酛・造りの再構築に挑戦したいと考えています。古酒にも力があり、1980年に当時最高の酒を目指して醸した精米55%の清酒が、40年以上の歳月を経た「大古酒 十二代目伊兵衛」です。

代表銘柄

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美濃天狗

「美濃天狗」は、近くにある古井の天狗山にちなんで名付けられた、蔵の看板銘柄です。精米歩合は28%から60%まで幅広く、大吟醸の鼻高々とかくれ里、純米大吟醸のいひょうゑのほか、吟醸、純米吟醸、純米酒、本醸造、季節の活性にごりまで、少量多品種で手がけています。蔵が最も力を入れている銘柄で、東京では約40年前から売られています。

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見学・購入

直売所
蔵の販売所は営業時間9時から18時、定休日は日曜日と年末年始です。東京都北区王子に2025年7月開業の直営店があり、営業は土日祝日のみで、仕込みの都合による休業もあります。
補足
蔵の見学は、料理研究家が手がける麹御膳と日本酒のペアリングを組み合わせた酒蔵ツアーなど、催しの形で行われてきました。毎年、年末と春には蔵で新酒の試飲即売会が開かれます。東京の直営店では、全銘柄の有料試飲ができます。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岐阜県可児市羽崎1418番地
創業
1874年
公式サイト
www.minotengu.co.jp

出典

sakenomy.jp / gifusake.fun / minotengu.co.jp / suntec-ibi.com / kabuto-live.com / yanaizu.com / jizake.com / sake-times.com / nrib.go.jp / note.com / sake-y.net / akabane-shinbun.com

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