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平瀬酒造店

代表銘柄:久寿玉

岐阜県

GIFU

1623年創業

岐阜県高山市に所在する平瀬酒造店は、代表銘柄「久寿玉(くすだま)」を醸造する酒蔵です。創業年代は定かではありませんが、菩提寺の過去帳には元和9年(1623年)から平瀬家の名が見え、400年以上の歴史を持ちます。代々の当主が「平瀬市兵衛」を襲名し、「酒造り一筋」の家訓を守り続けてきました。大正4年(1915年)頃には丹波より杜氏を招聘し、飛騨で初となる清酒の醸造を行いました。造りにおいては、北アルプスの清らかな伏流水と岐阜県産の酒造好適米「ひだほまれ」などを主原料に使用し、厳冬期に寒造りを行っています。

醸造する日本酒はすべて国の基準を満たした「特定名称酒」(吟醸酒・純米酒・本醸造酒など)のみに限定しているのが特徴です。銘柄名の「久寿玉」は「薬玉」に由来し、酒を百薬の長とする意を込めて「久寿玉」の字が当てられました。全国新酒鑑評会では平成16・23酒造年度に金賞を受けています。

平瀬酒造店の歩み

平瀬酒造店は、高山城のあった天神山(いまの城山)のふもと、城下町の一角にあたる海老坂で酒造りを続ける蔵元です。創業の年代ははっきりしませんが、菩提寺の過去帳には元和9年(1623)から記されており、約400年にわたって続いてきました。2019年時点で、高山で最も古く、最も大きな蔵です。蔵のある高山市上一之町は、JR高山駅から歩いて15分ほどの場所です。

江戸時代の記録にも平瀬家の名が見えます。元禄8年(1695)の検地帳には高山一之町村の平瀬屋五郎兵衛の名があり、元禄10年(1697)の造酒屋帳に載る高山の造酒屋56軒の中には平瀬屋六助の名があります。天保14年(1843)には造酒屋が約半数の26軒に減っていましたが、当時の町年寄日記には酒造米八十八石二斗と平瀬市兵衛の名が書かれており、この日記は現在も高山市郷土資料館に保存されています。大正元年(1912)には近隣から出た火事が燃え広がり、仕込蔵と文庫蔵を残して住宅と酒蔵数棟を全焼しました。

翌年には12代目当主が疲れから床につき、二週間後に亡くなるなど不幸が重なりましたが、主従が一丸となって苦難を乗り越え、蔵を再興しました。

大正4年(1915)ごろ、灘で清酒という新しい酒ができて好評だと聞いた平瀬家は、灘の辰馬酒造を見学し、丹波から杜氏を招いて、飛騨で初めて清酒を造りました。この清酒を「灘流正宗」と名づけて発売したところ好評を得て、次第に製造量を増やし、現在の蔵の基礎を築いています。第二次世界大戦後は財産税や富裕税、農地解放と矢継ぎ早の新政策による大きな打撃を受けましたが、14代目当主が工場の改築と設備の近代化に取り組み、酒造業の発展に努めました。

平瀬家では代々「平瀬市兵衛」を襲名し、「他の商売には如何なることがあっても振り向かない。酒造り業一筋に生きる。」を家訓として守り続けており、現在は15代目の平瀬市兵衛氏が当主を務めています。令和元酒造年度の時点では杜氏を置かず、社員と蔵人だけで酒を造る体制をとっています。銘柄の「久寿玉」は、広辞苑にいう「薬玉」(くすだま)を、百薬の長を意味する「久寿玉」の字に置き換えたものです。地元ではおめでたい名前として、祝い事や祭りの席で選ばれる親しみ深い酒です。

受賞歴も数多くあります。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても6回入賞しています。平成14酒造年度と平成15酒造年度は入賞、平成16酒造年度と平成23酒造年度は金賞、平成24酒造年度と令和元酒造年度は入賞です。令和元酒造年度は新型コロナウイルス感染症の影響で決審が中止され、金賞の選定がありませんでした。この年は大吟醸が入賞し、杜氏を置かずに社員と蔵人だけで酒造りを始めてから初めての入賞となりました。

名古屋国税局酒類鑑評会では、第50回(平成14年)と第52回(平成16年)の吟醸酒の部で「久壽玉正宗」が入賞し、第53回(平成17年)の純米酒の部、第55回市販酒の部(平成18年)の本醸造酒の部「久壽玉正宗 特撰」で優等賞に選ばれました。平成20年度(第57回)と平成21年度(第58回)は吟醸酒の部と純米酒の部の2部門で優等賞、平成23年度(第60回)は本醸造酒の部、平成24年度(第61回)は吟醸酒の部で優等賞でした。

令和元年度(第68回)は純米酒の部の「久壽玉正宗」、令和4年度(第71回)は燗酒の部の「久寿玉 手造り純米酒」が優等賞です。岐阜県新酒鑑評会では、平成22酒造年度の第18回で純米酒の部の知事賞、平成28酒造年度の第24回で本醸造酒の部の岐阜県議会議長賞を受けました。2021年にはひだほまれを使った酒の鑑評会「ひだほまれ醸造鑑評会」の吟醸酒の部で優秀賞を受けています。

酒造りの特徴

仕込み水は、宮川の上流にあたる位山と川上岳に降った雨が麓で地下にもぐり、ろ過された伏流水です。不純物がきわめて少なく、硬度は10.0ppm(アメリカ硬度)の超軟水で、昔はその地まで水を汲みに行っていました。昭和29年(1954)に高山市の水道事業がこの水無川を取水地としたため、いまは市内に供給されています。北アルプスに降り積もった雪も伏流水となって田畑を潤し、酒造りに適した米を育てます。10月になると北アルプス一帯に雪が降り、酒造りの季節が始まります。

冬の厳しい冷え込みの中で酒造りは最盛期を迎え、厳冬期に寒造りを行っています。

米は、岐阜県が生み出した酒造好適米「ひだほまれ」を多くの酒に使っています。ひだほまれは手間がかかるうえに収穫量が限られる米ですが、地元の良質な米で飛騨ならではの旨い酒を造りたいという思いから、農家と蔵元が力を合わせて取り組んでいます。ひだほまれを40%まで磨いた純米大吟醸は、ひだほまれの最高精米歩合にあたり、ひだほまれを使った久寿玉の最高峰と位置づけています。一方で、兵庫県産の山田錦を40%まで磨いた純米大吟醸と大吟醸も醸しています。

清酒はすべて、吟醸酒・純米酒・本醸造酒などの特定名称酒です。2019年当時は、10キロリットルのタンク30基で10月から3月まで仕込みを続け、1本のタンクに使う米は3トンでした。当時の蔵人は、夏は米や果物、花、トマトを育てる地元の農家でもありました。ラインナップは、アベリアの花から採った花酵母で醸す純米吟醸、昔ながらの山廃仕込みの純米酒、新酒の「しぼりたて純米生原酒」、搾り始めの無濾過の純米生原酒「あらばしり」、秋のひやおろしなど幅広く、清酒仕込みの梅酒や柚子酒も造っています。

燗酒のコンクールや国際的なコンクールでも受賞を重ねています。全国燗酒コンテストでは、2016年にお値打ちぬる燗部門で「久寿玉 特選」(特別本醸造)が、2017年にプレミアム燗酒部門で「久寿玉 寿」(特別本醸造の純金箔入り)が、2018年にお値打ちぬる燗部門で「特選」が、いずれも金賞を受賞しました。2024年にはお値打ち熱燗部門で「飛騨乃辛燗 特別本醸造」が最高金賞に選ばれています。

国際的な評価としては、2016年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門の純米酒の部で「久寿玉 山廃純米」がBRONZEを受賞し、2026年のKura Masterでは純米大吟醸酒(精米歩合36〜50%)部門で、創業400年を記念した「久寿玉 純米大吟醸生貯蔵酒 400年記念」がプラチナ賞を受けました。

代表銘柄

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久寿玉

平瀬酒造店の代表銘柄です。もっとも代表的な本醸造(旧上撰)は濃醇辛口で、燗でも冷やでも飲み飽きません。ほかにも、ひだほまれ60%の手造り純米、昔ながらの山廃仕込みの純米酒、ひだほまれを40%まで磨いた純米大吟醸、アベリアの花酵母で醸す純米吟醸など、味わいの異なる酒がそろいます。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
高山市上一之町82の蔵元店舗で、JR高山駅から徒歩15分です。営業時間は平日8時15分から17時、土日は9時から17時です。有料試飲は1,000円で30分、9時から16時(16時が最終受付)に受け付け、予約は不要で来店順の案内となり、常時20種類以上から選べて、割引クーポンと仕込み水が付きます。駐車場は2台程度です。
補足
酒蔵見学はハッピープラス株式会社に委託しており、予約や問い合わせは同社で受け付けています。車を運転する方は試飲できません。6名以上のグループは分かれて案内されることがあります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岐阜県高山市上一之町82
創業
1623年
公式サイト
www.kusudama.co.jp

出典

tokaidai-aichishibu.com / hida-nombe.jp / ocnk.net / meimonshu.jp / kusudama.co.jp / kusudama.ocnk.net / happy-plus.co.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / kansake.jp / jp.sake-times.com / takayama-gh.com / sakeworld.jp

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