美少年
代表銘柄:美少年
熊本県
KUMAMOTO
1752年創業
銘柄「美少年」の名は、唐の詩人・杜甫の詩「飲中八仙歌」に登場する酒豪・崔宗之を詠んだ一節に由来します。1752年(宝暦2年)、熊本藩主・細川重賢の命による酒造りをルーツとし、旧美少年酒造(後の火の国酒造)の事業を2013年に株式会社美少年が引き継ぎました。2022年には出資元のエヌ・エル・エーが同社を合併し、社名を株式会社美少年に改めています。2013年に本社を菊池市へ移し、2014年に閉校となった旧菊池市立水源小学校の校舎跡で酒蔵を開いて、校舎の構造を生かした酒造りを行っています。
菊池産の米(ヒノヒカリや華錦など)や菊池渓谷の水系の水を使う一方、全国各地の米も使います。主な受賞歴として、フランスの日本酒コンクール「Kura Master」で「清夜」がプラチナ賞、「純米吟醸菊池」が金賞を受賞したほか、「全米日本酒歓評会」にて「大吟醸菊池」が金賞を受賞するなど、国内外で評価を得ています。
美少年の歩み
「美少年」のルーツは、宝暦2年(1752年)に肥後熊本藩六代藩主の細川重賢の命を受けた下田家が、肥後国隈庄(現在の熊本市南区城南町)で酒造りを始めたことにあります。1879年(明治12年)には下田家三代の三男にあたる緒方求太郎が隈庄の地で酒を醸し、1920年(大正9年)には二代目の緒方求太郎が緒方酒造場を法人化して南薫酒造株式会社を設立し、清酒「美少年」を発売しました。銘柄名は、唐の詩人の杜甫が同時代の八人の酒豪を詠んだ「飲中八仙歌」の一節「宗之瀟洒美少年」にちなんでいます。
1950年(昭和25年)に美少年酒造株式会社と改称し、1957年には販売高で熊本県内一の酒造場となり、1964年には大分県竹田市の松鶴・吉川・宮武の三つの酒造会社と合併して販売高九州一になりました。この旧会社は品評会でも実績を残しています。全国新酒鑑評会では平成14酒造年度以降だけで6回入賞し、そのうち金賞は平成14・18・19酒造年度の3回です。旧会社は、平成12・13酒造年度にも大吟醸で金賞を受けたとしています。熊本国税局の酒類鑑評会でも、平成15年、16年、18年、20年に清酒の部で入賞しました。
流れが変わったのは2008年です。事故米を食用として不正に転売した三笠フーズから原料米を仕入れていたことが同年9月に表面化し、経営が行き詰まりました。美少年酒造は2009年4月16日に熊本地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、負債は約19億円と見込まれました。その後、エヌ・エル・エーなど複数の支援企業が決まり、同年10月に火の国酒造株式会社へ商号を変更して再建を進め、2013年1月に再生手続を終えています。
しかし旧債の負担は重く、2013年8月に、エヌ・エル・エーが出資する株式会社美少年へ酒類事業を譲渡し、火の国酒造は営業の実態を失いました。同社は2014年5月に熊本地裁へ破産を申請し、同月20日に破産手続開始の決定を受けています。負債総額は約11億5,000万円でした。
事業を引き継いだ株式会社美少年は2012年6月に設立され、2013年8月に酒類事業を譲り受けました。同年11月には本社を城南町から菊池市四町分へ移しています。蔵としたのは、同じ2013年に137年の歴史に幕を下ろした菊池市立水源小学校の跡地で、2014年に菊池で酒蔵を開きました。2016年の熊本地震では蔵のタンクが壊れるなど大きな被害を受け、まずは既存の取引先への安定した出荷を優先して復旧を進めました。
2019年には、地元菊池で育った蔵人の発案で、熊本県初のオリジナル酒米「華錦」を精米歩合50%まで磨いた純米大吟醸の限定酒をつくるクラウドファンディングを実施し、88人の支援を集めています。
再出発後は国内外の品評会で評価を得ています。蔵の発表では、2014年に「劍門」がロンドン酒チャレンジで金賞、「賢者」が日本全国美酒鑑評会の吟醸酒部門で準大賞となり、2015年には「清夜」が同じ鑑評会の純米酒部門で準大賞に選ばれました。フランスのKura Masterでは、2018年に「純米にごり酒」がにごり酒部門でプラチナ賞を受け、全部門の上位12銘柄にも選ばれました。2019年には「清夜」が純米酒部門でプラチナ賞、「純米吟醸 菊池」が金賞、2022年に「劍門」が純米酒部門でプラチナ賞を受けています。
蔵の発表では、2019年に「大吟醸 菊池」が全米日本酒歓評会で金賞を受けており、熊本国税局の平成31年酒類鑑評会ではその他の吟醸酒の部で優等賞となっています。2022年のワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、「純米吟醸酒 剣門」がメイン部門で金賞です。
運営会社は2022年に変わりました。2022年1月1日付で、出資元のエヌ・エル・エーが株式会社美少年を吸収合併し、同月24日に同社が商号を株式会社美少年に改めています。この新しい株式会社美少年の本店は福岡市博多区に置かれていましたが、2026年10月13日に、蔵のある菊池市四町分の所在地へ変更されました。2025年時点では、醸造は水源小学校の校舎を使った菊池の蔵で行われていました。
酒造りの特徴
蔵は水源小学校の校舎をそのまま生かしています。廊下に沿って教室が連なる構造は、酒造りの全工程を一直線につなげられる間取りでした。元給食室には甑や放冷機を置いて洗米と蒸米を行い、隣の校長室と保健室は壁や天井に杉板を張った麹室に改装されています。職員室などがあった場所には大きなタンクが並び、廊下には充填とラベル貼りのラインが設けられています。外観は学校のままで、中は酒蔵そのものという造りです。
造りは「一麹・二酛・三造り」の基本を重んじ、手をかけた酒造りに最新の機器と技術を組み合わせています。動線は効率よく整えつつ、蔵は工場化を避け、完全な機械化はしない方針で、年ごとの味わいの変化も楽しんでほしいと考えています。2016年時点では、菊池出身の杜氏と蔵人が仕込みを担っていました。
水は菊池渓谷の水系にあたる伏流水を使います。蔵のある水源地区は菊池渓谷に近く、渓谷の水は名水百選にも選ばれ、ミネラルを多く含みます。米は肥後米で知られる菊池産のヒノヒカリや、14年の歳月をかけて開発された熊本県初のオリジナル酒米の華錦を用いる一方、全国各地の米も使います。大吟醸「賢者」には山田錦を精米歩合40%で、純米大吟醸「青天井」には五百万石を精米歩合50%で使い、「青天井」は協会1801号酵母で仕込みます。蔵は、山の中腹で緑と棚田に囲まれた土地の澄んだ空気も、蒸米を冷やす大切な原料と位置づけています。
2025年時点の主な銘柄は、純米酒「清夜」、純米吟醸「劍門」、純米吟醸「菊池」、純米大吟醸「青天井」「零」のほか、糀あまざけです。大吟醸「賢者」「幻夜」なども造られてきました。漫画家の松本零士の作品には、トチローが「美少年」という酒を愛飲する場面があり、これをきっかけに旧蔵元との交流が始まりました。現在の蔵にも縁が続き、松本零士が監修した「零」や、作中の「美少年」のラベルを復刻した純米吟醸も造られてきました。蔵見学の人だけが買える限定酒「學び舎」は、大吟醸と純米吟醸の2種類です。
代表銘柄
美少年
蔵の名を冠した看板銘柄で、旧蔵元の時代から続く名前です。菊池産ヒノヒカリの純米酒「清夜」は濃醇でふくよかな甘みとしっかりした酸味をあわせ持ち、Kura Master 2019の純米酒部門でプラチナ賞を受けました。純米吟醸「劍門」は辛口で食中酒向きの1本で、Kura Master 2022の純米酒部門でプラチナ賞、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022のメイン部門で金賞に選ばれています。ほかに純米大吟醸の「青天井」や「零」などがあります。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 補足
- 2025年時点では、蔵見学は予約制で、見学した人だけが買える限定酒「學び舎」があります。元給食室の蒸し場や校長室・保健室を改装した麹室など、校舎の構造を生かした蔵の中を見られます。見学の内容は時季によって異なります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 熊本県菊池市四町分免兎原1030
- 創業
- 1752年
- 公式サイト
- bishonen.jp
出典
kumamoto-sake.com / kumamoto.guide / tanoshiiosake.jp / mext.go.jp / nta.go.jp / houjin-bangou.nta.go.jp / nrib.go.jp / kumamoto-sake-magazine.jp / tdb.co.jp / news.mynavi.jp / kuramaster.com / finesakeawards.jp / camp-fire.jp / makuake.com / value-press.com / bishonen.jp
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