伊東酒造
代表銘柄:横笛
長野県
NAGANO
1958年創業
長野県諏訪市に蔵を構え、甲州街道沿いに酒蔵が立ち並ぶ「諏訪五蔵」の一角を占める酒蔵です。代表銘柄「横笛」の名称は、『平家物語』に登場する若武者・斎藤滝口時頼と官女・横笛の悲恋物語に由来し、その名を後世に残し菩提を弔う意味を込めて命名されました。また、日本画家の伊東深水が蔵のために描いた「紅梅の図」を図柄に用いています。仕込み水には霧ヶ峰高原の伏流水を使用し、「人の手で、造れる量だけの製品をお届けする」という方針のもと、手作業による品質管理と酒造りを大切にしています。
純米酒「横笛」は芳醇辛口で、刺身や寄せ鍋に合う酒とされています。
伊東酒造の歩み
伊東酒造は、長野県諏訪市の上諏訪にある造り酒屋で、清酒「横笛」を醸しています。甲州街道沿いのわずか500メートルほどの間に五つの酒蔵が並ぶ「諏訪五蔵」の一つで、JR上諏訪駅から歩いて10分ほどの場所に蔵と店舗を構えています。昭和30年(1955年)に創業し、昭和33年(1958年)10月1日に創立しました。酒造りには、霧ヶ峰高原の伏流水を仕込み水として使っています。
酒名の「横笛」は、平安時代の悲恋物語に由来します。平重盛に仕える若武者の斎藤滝口時頼は、平清盛の邸宅の宴で建礼門院の官女・横笛が舞う姿に心を奪われ、恋文を送り続けます。しかし身分の違いから父に猛反対され、京都の往生院で出家しました。時頼の出家を知った横笛は往生院を訪ねますが会うことはかなわず、奈良の法華寺で尼僧となり、のちに高野山にいちばん近い天野の里(現在の和歌山県かつらぎ町天野)に移って、19歳で世を去りました。
その後、高野山の大円院で住職となった滝口入道は、庭の梅の枝にとまっていた一羽の鶯が井戸に落ちるのを見て、それを横笛の化身と感じ、鶯の亡骸を胎内に収めて阿弥陀如来像を彫ったと伝えられています。この物語を耳にした信仰心の深い初代当主が、「横笛」の名を後世に残し、末長くその菩提を弔う意味も込めて、「大銘酒 横笛」と命名して醸造するようになりました。
また、この悲恋物語を初代当主から聞いた日本画家の故・伊東深水画伯は、蔵のために「紅梅の図」を図柄に描いています。
関東信越国税局酒類鑑評会では、第81回(2010年)と第82回(2011年)に吟醸酒の部で優秀賞を受賞しました。続いて第83回(2012年)から第85回(2014年)までの3回、さらに第89回(2018年)と第90回(2019年)にも、純米酒の部で優秀賞を受賞しています。
酒造りの特徴
原料米には、長野県産の酒造好適米である美山錦や、酒造好適米の最高峰とされる山田錦などを使っています。美山錦は長野県を代表する酒造好適米です。仕込みの水は霧ヶ峰からの良質な伏流水で、蔵内の井戸に湧き出ています。
精米歩合は、大吟醸で50%から39%、吟醸で60%から51%、普通酒でも70%までです。酒母は仕込み総量の6%から7%にあたり、もろみは添・仲・留の三段仕込みで、留仕込みのあと25日から35日ほど低温でじっくりと発酵させます。搾ったあとの酒粕は、適当な大きさに切って板粕として、また別のタンクに漬け込んで夏に練り粕として出荷しています。蔵の姿勢は、「人の手で、造れる量だけの製品をお届けする」ことです。
霧ヶ峰の伏流水と米、そして温泉といった諏訪の自然の恵みに支えられ、人の手で酒本来の香りの乗った味を引き出すことを大切にしています。
2026年初めの時点の商品は、大吟醸「横笛」や「酒中有深味」、純米大吟醸「深水」、純米吟醸「横笛」(美山錦、しらかば錦、蔵元限定の山恵錦)、純米酒、「古道」、本醸造の「横笛」「八剣」、本醸造超辛口「〆」まで幅広く揃います。季節の酒には、春の「しぼりたておりがらみ純米吟醸生原酒 春穂の香」、夏の「純米吟醸生酒 夏穂の香」、秋の「ひやおろし純米吟醸 秋穂の香」、冬の「純米酒 冬穂の香」の四季の「穂の香」のほか、活性にごり酒やふな口無濾過の初つくり、大寒仕込などがあります。
「芳醇旨口」の原酒で中取りの特別な作品である、長野県産しらかば錦の純米吟醸生原酒「鶯〜囀り〜」と、契約栽培の諏訪産美山錦を麹歩合3割で醸した純米生原酒「舞」は限定流通品です。2025年時点では、蔵の店舗や通販では扱わず、特約店だけで販売しています。夏酒は毎年4月と6月に出しており、2021年は第1弾が諏訪の契約農家の美山錦を100%使った純米吟醸生酒「よこぶえ」、第2弾がしらかば錦の純米吟醸生酒「夏穂の香」でした。
長野県が産地や原料米を認定する長野県原産地呼称管理制度の「日本酒」では、平成28年(2016年)に純米吟醸 美山錦 横笛、純米吟醸無濾過原酒 横笛、純米酒 横笛、純米大吟醸 横笛、純米吟醸 しらかば錦 横笛が認定されました。同年秋にはひやおろし純米大吟醸 横笛とひやおろし純米吟醸 秋穂の香、令和元年(2019年)にはひやおろし純米大吟醸 横笛、ひやおろし純米吟醸 秋穂の香、ひやおろし純米酒 横笛が認定されています。
令和2年(2020年)には、純米大吟醸 深水(諏訪市産美山錦、精米歩合49%)、純米吟醸 横笛(諏訪市産山恵錦、精米歩合55%)、長野県産しらかば錦の純米吟醸 横笛、辛口純米 凜彩が認定を受けました。
代表銘柄
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横笛
蔵を代表する銘柄で、平安時代の悲恋物語に登場する官女の名にちなみます。大吟醸から純米吟醸、純米酒、本醸造まで品揃えが広く、純米吟醸には美山錦やしらかば錦を使った品が並びます。純米酒の「横笛 純米酒」は、純米酒ならではの甘味と辛口のキレを備え、お燗でおいしく味わえる一本として蔵が勧めています。令和3年(2021年)6月時点の国税庁の酒蔵マップでは、この純米酒は芳醇辛口で日本酒度+7、精米歩合65%、刺身や寄せ鍋に合う酒とされています。
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- 直売所
- 2025年時点では、蔵の店舗にオンラインショップにない商品も取り揃えていました。営業時間は平日8:30〜17:00、土日祝10:00〜17:00で、年末年始は休みです。駐車場は3台分あります。
- 補足
- 蔵案内(5名以上・要予約・所要約1時間)は、2025年時点では中止されています。再開の有無は事前に電話で確認してください。JR中央本線の上諏訪駅から徒歩10分、中央道の諏訪ICから車で15分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県諏訪市諏訪2-3-6
- 創業
- 1958年
- 公式サイト
- www.yokobue.co.jp
出典
japansake.or.jp / yokobue.co.jp / sakenomy.jp / nomiaruki.com / wikipedia.org / go-nagano.net / compalyze.co.jp / naganosake.jp / web.archive.org / nta.go.jp
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