井出醸造店
代表銘柄:甲斐の開運・冨麓・雪解流
山梨県
YAMANASHI
1700年創業
井出醸造店は山梨県富士河口湖町に位置する、富士五湖地域で唯一の酒蔵です。江戸中期の1700年頃に創業した醤油・味噌醸造を前身とし、江戸末期の1850年頃に16代当主・井出與五右衞門が冷涼な気候と富士山の清冽な湧水に着目して清酒造りを始めました。代表銘柄は「甲斐の開運」です。約80年の歳月を経て溶岩層で自然ろ過された富士山の伏流水を仕込み水とし、標高850メートルという高地の厳寒期に低温発酵で醸しています。蔵は「個性をもちながら飲み飽きのしないお酒」を信条としています。
全国新酒鑑評会での金賞受賞や東京国税局酒類鑑評会での優等賞受賞など確かな評価を受けています。また、2020年からは「富士北麓蒸留所」としてウイスキー製造も開始するなど、新たな酒造りにも取り組んでいます。
井出醸造店の歩み
井出醸造店は、山梨県南都留郡富士河口湖町船津の河口湖南岸にある酒蔵です。前身は江戸中期の1700年頃、11代與五右衞門が始めた醤油醸造で、江戸末期の1850年頃に16代與五右衞門が、標高850mの冷涼な気候と清冽な富士山湧水に着目して清酒づくりを加えました。皇女和宮の婚姻と同じ時期に造り始めたことにちなんで酒名を「開運」とし、長く「開運正宗」として親しまれたのち、昭和60年(1985年)から「甲斐の開運」を正式名称としています。現在は21代目にあたる井出與五右衞門さんが代表を務めています。
2026年時点で、富士五湖地域で唯一の酒蔵です。酒蔵見学は2010年4月に始まり、2020年時点では欧米を中心に年間1万人を超える外国人観光客が訪れ、英語での蔵ツアーも行っています。
1995年に新春の蔵開きを始め、同じ年にリキュールの製造も始めました。同じ頃、地元の米で酒を造りたいという思いから地元農家に米づくりを頼み、試行錯誤の末、2003年に富士北麓産の酒米を使った日本酒が初めて誕生しています。2019年12月には瓶内二次発酵の発泡清酒「北麓スパークリング」の製造を始め、2020年7月には富士北麓蒸留所を設立してウイスキーづくりにも乗り出しました。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に9回入賞しており、そのうち金賞は平成14・平成22・平成28・平成30・令和7の各酒造年度の5回です。令和7酒造年度は「甲斐の開運 大吟醸」が金賞に選ばれました。蔵の発表では、全国新酒鑑評会、南部杜氏自醸清酒鑑評会、東京国税局酒類鑑評会(吟醸部門)の3冠を達成した年があります。
東京国税局酒類鑑評会では、平成20年から令和7年までの18回のうち16回で受賞し、部門ごとに数えると延べ31部門に上ります。平成22年以降の受賞はすべて優等賞で、令和元年と令和7年は吟醸・純米吟醸・燗酒・純米燗酒の4部門すべてで受賞しました。
酒造りの特徴
仕込み水は富士山の伏流水です。戦前は井戸水をくみ上げて使っていましたが、戦後に上水道が整備されてからは、標高1150m付近でくみ上げられた富士山湧水である富士河口湖町の水道水を仕込み水にしています。蔵のある850m地点より高い場所で汲まれる分、より純粋な伏流水だと蔵は考えています。富士山の溶岩層が天然の濾過槽の役目を果たすため、濾過や殺菌をせずに使え、米洗い、蒸米、発酵、加水、瓶洗い、道具の洗浄まで、蔵のあらゆる作業に同じ水を使います。
河口湖の1月の平均気温は氷点下0.6度(1981〜2010年)と冬の寒さが厳しく、空気中の雑菌が増えにくいうえ、低温発酵の温度管理もしやすい土地です。日本酒の造りはおおむね10月下旬から3月上旬、ウイスキーの製造は4月から10月上旬です。「洗いに始まり、洗いに終わる」を掲げて造りの前後に蔵内を徹底して掃除し、火入れの後はいかに早く冷ますかに気を配ります。貯蔵タンクの倉庫は通年13度に保ち、光も最小限に抑えています。
季節杜氏ではなく社員が杜氏を務める体制で、2026年現在の杜氏は初沢則孝さんです。「和をもって酒を成す」「温故知新」を心がけ、「個性をもちながら飲み飽きのしないお酒」を信条としています。
酒米は、気候変動による不作の影響を避けるため、全国各地の農家から一つの地域に偏らないように仕入れています(2020年時点)。一方で、富士北麓の地元農家と育てた酒米「玉栄」も「甲斐の開運」に使い、その玄米で作る酒米スナックも販売しています。日本酒のほか、梅酒などのリキュールや、特別純米「北麓」を使った日本酒アイスも蔵の売り場で扱っています。
代表銘柄
甲斐の開運
蔵の総合ブランドで、日本酒からリキュールまで幅広い商品に冠されています。大吟醸は精米歩合40%で、中口・やや辛口です。バランスのとれた穏やかな吟醸香と、果実のような口中香が余韻を残す味わいで、令和7酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受けたのもこの大吟醸です。
冨麓
山田錦を精米歩合40%まで磨き、清冽な富士山湧水で極低温にて丁寧に醸す純米大吟醸です。あふれ出る芳醇な香りとふくよかな味わいが特徴で、中口・やや辛口です。東京国税局酒類鑑評会では、令和元年・2年・4年・6年・7年の5回、清酒純米吟醸部門で「冨麓」が優等賞を受けています。令和4年の受賞は、蔵の商品ページにも掲げられています。
雪解流
吟醸酒で、100%山梨県産米を使い、精米歩合は60%、中口・辛口です。蔵の説明では甲斐の開運の中で一番辛口に感じる酒で、爽快な口当たりと沸き立つ吟醸香が特徴です。富士山の水で育んだ酒米を同じ富士山の水で醸す、地産地消の地酒です。ラベルは山梨県出身の書家、故・渡辺寒鴎さんが揮毫したもので、地元の米農家など故郷を愛する人々が一丸となって造り上げた酒です。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 売り場は蔵の「酒望子」(富士河口湖町船津8)で、営業時間は9時から12時、13時から17時です。富士急行河口湖駅から徒歩約10分、中央道河口湖ICから車で約10分です。有料試飲は5コイン935円で、日本酒・梅酒・ウイスキーなど12種類ほどから選べます。
- 補足
- 酒蔵・蒸留所の見学は要予約(前日16時まで)で、1日2回(9時30分、15時)、所要時間は約1時間です。参加料は高校生以上2,200円(2026年4月1日改定)で日本酒3種・梅酒・ウイスキーの試飲が付き、中学生以下は無料です。実施日は公式のカレンダーに限られ、造りの時期により見学内容が異なります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 山梨県南都留郡富士河口湖町船津8
- 創業
- 1700年
- 公式サイト
- www.kainokaiun.jp
出典
sakenomy.jp / yamanashi-sake.jp / ybs.jp / fujisan.ne.jp / barrel365.com / kainokaiun.jp / kainokaiun-webshop.easy-myshop.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / yamanashi-kankou.jp
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