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初桜酒造

代表銘柄:高野山般若湯・初桜・酔人日

和歌山県

WAKAYAMA

1866年創業

初桜酒造の主屋
初桜酒造の主屋(2020年撮影)「Hatsusakura Main House.jpg」 — 写真:Ty19080914 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

初桜酒造は1866年(慶応2年)に創業した、和歌山県伊都郡かつらぎ町の老舗酒蔵です。かつて紀の川沿いで栄えた「紀州川上酒(川上酒)」の伝統を受け継ぐ、川上酒の蔵元としてかつらぎ町に唯一残る貴重な蔵元となっています。世界遺産である高野山の麓に位置し、丹生都比売神社への献酒の歴史を持つほか、寺院で飲まれるお酒「高野山般若湯」や「初桜」などの銘柄を手掛けています。酒造りでは、和泉山脈からの清涼な伏流水や、地元かつらぎ町の天野地域で生産される良質な酒米「天野米」を生かし、昔ながらの手造りの良さを大切に醸造を行っています。

また、旧大和街道沿いに建つ大正期の主屋と明治期の仕込蔵・囲蔵の3件は、歴史的な佇まいを今に伝える建造物として国の登録有形文化財に登録されています。

初桜酒造の歩み

初桜酒造は、慶応2年(1866年)に木下斎重郎が酒造業を始めたのが起こりで、創業の地は高野山の麓、現在のかつらぎ町にあたる紀ノ川沿いの町です。これより前の明和2年(1765年)の酒造札も蔵に残されています。この一帯では古くから、丹生都比売大神にお酒を献上するために酒が醸されてきました。蔵は現在、その役割を担っています。

紀ノ川上流の酒は、江戸中期から紀州藩で「川上酒」と呼ばれ、人気を博しました。紀州藩の命で開かれた小田井用水によって水路が整い、水車で米をつけるようになると良質な酒が造られ、紀ノ川の水運を使って大坂や京都、江戸にまで名が知れ渡りました。天保12年(1841年)には粉河から橋本までの大和街道沿いに33の蔵があり、現在のかつらぎ町域には約半数の16蔵が並んでいました。いま、川上酒の蔵元としてかつらぎ町に唯一残るのが初桜酒造です。

昭和に入ると経営は変転しました。昭和6年に合資会社木下酒店が設立され、昭和13年に笠勝清八が会社を買収しましたが、昭和18年には戦時の企業整備で転廃となりました。清酒製造が復活したのは昭和22年で、昭和33年にみりんの製造を始めています。昭和42年に初桜酒造株式会社が設立され、笠勝政雄が社長に就きました。同じ年に当時の皇太子ご夫妻が高野山を訪れた際に製品を献上して金剛峰寺から感謝状を受け、昭和52年にも昭和天皇ご夫妻の高野山行幸に際して製品を献上しています。

高野山の僧が飲む酒を指す「般若湯」は、昭和51年ごろに販売を始め、昭和56年に高野山般若湯として登録を申請し、平成4年に「高野山聖」と「般若湯」の商標登録が認定されました。平成6年に笠勝清人が社長に就き、蔵の発表では、平成8年と平成9年に大阪国税局から金賞を受けています。平成11年には川上酒の伝統を伝えようと、かつらぎ町の天野で酒米づくりを始めました。平成14年に高野山般若湯の直売店を開き、平成19年にはリキュールの製造免許を取得しています。

平成18年8月には、旧大和街道に面した主屋と、仕込蔵、囲蔵の3件が国の登録有形文化財になりました。主屋は大正期の木造2階建ての町家で、仕込蔵と囲蔵は明治期の建物です。近年は、かつて帯庄酒造が醸し、川上酒の顔といわれた「酔人日」を復刻するなど、地域の酒文化を今に伝える取り組みも続けています。全国新酒鑑評会では、令和4酒造年度と令和5酒造年度の酒で「酔人日」が入賞しました。

酒造りの特徴

仕込み水は和泉山脈の伏流水を引く蔵の井戸水です。かつらぎ町は北に和泉山脈、南に紀伊山地を望み、紀ノ川と有田川が流れる盆地に近い地形で、寒暖の差が大きく酒造りに向いた土地です。蔵の特定名称酒には、標高約400メートルの冷涼な天野で育つ酒米「天野米」を100%使っています。「米、水、造り手のすべてを和歌山で」を掲げ、杜氏も蔵人も和歌山県出身の人たちです。

造りの方針は、昔から伝わる手造りの良さを大切にし、気取らず食事に合う酒を醸すことです。香りの華やかな酒がもてはやされる時代にあっても、米の特性を生かした個性のある味わいを心がけています。長寿経営の秘訣として、蔵は「派手にしない」「手作りの良さを伝える」「真面目にコツコツと仕事に向かい合う」ことを挙げています。

主力の純米酒や純米吟醸酒の原料は山田錦で、「高野山聖般若湯」と「初桜」の純米吟醸は掛米60%、麹米55%の精米歩合です。純米酒の「高野山般若湯」は掛米60%、麹米60%です。大吟醸の「酔人日」は高野山の麓の天野で育てた山田錦を40%まで磨き、川上酒の伝統の手法で醸しています。酔人日の仕込みは、酛に水、麹、米を加える添えから始まり、踊り、仲、留と進む三段仕込みで、2022年1月にはその添え仕込みが行われました。

清酒のほか、紀州本みりんや、日本酒をベースにした地元産の梅、桃、温州みかん(果汁40%以上)のフルーツ酒も手がけています。2021年10月には、仕込みの前に蔵で丹生都比売神社の神主による醸造祈願が行われました。

代表銘柄

高野山般若湯

蔵の看板商品で、高野山で般若湯の名で酒をいただく習慣を見聞きした先代が名付けた酒です。純米酒の高野山般若湯は、山田錦を掛米60%、麹米60%で仕込み、日本酒らしいしっかりした飲み心地と独特の香りが口に広がる味わいです。純米吟醸の高野山聖般若湯は、フルーティーな香りとまろやかな口当たりの辛口で、後味はすっきりしています。昭和51年ごろから販売し、平成4年に商標登録されました。

初桜

川上酒の伝統を継ぐ蔵の名を冠した銘柄で、米、水、技術、風土が紡ぎ合って今の川上酒があるという考えから、新しい初桜として生まれた純米吟醸です。山田錦を掛米60%、麹米55%で仕込み、口に含んだ瞬間に旨味をしっかり感じながら、後味はすっきりしています。蔵の名と同じ「初桜」を、時代とともに変わりゆく川上酒の今を知ってもらうための酒として位置づけています。

酔人日

かつらぎ町の帯庄酒造が昭和元年と推定される時期に醸し、川上酒の顔といわれた銘柄を、同蔵の廃業後に紀州川上酒再興のシンボルとして初桜酒造が引き継ぎ、復刻した大吟醸です。山田錦を40%まで磨き、川上酒伝統の手法で醸しています。名の読みは「すいとぴ」で、華やかで落ち着きのある香りと、奥ゆきのある旨み、濃醇な味わいが特徴です。令和4・5酒造年度の全国新酒鑑評会で入賞しました。

見学・購入

直売所
蔵に併設された直売店で、高野山般若湯をはじめ、日本酒やフルーツ酒を購入できます。住所は和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降85で、JR和歌山線の中飯降駅から徒歩数分です。酒販店やオンラインショップでも購入できます。
補足
蔵見学や主屋でのテイスティング体験などのイベントは、公式のインスタグラムで案内されています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
和歌山県伊都郡かつらぎ町中飯降85
創業
1866年
公式サイト
hatsusakura.co.jp

出典

japansake.or.jp / hatsusakurashuzo.com / wikipedia.org / wakayama-kanko.or.jp / wakayama.lg.jp / hatsusakura.co.jp / online.bunka.go.jp / bunka.nii.ac.jp / town.katsuragi.wakayama.jp / pref.wakayama.lg.jp / mlit.go.jp / nrib.go.jp

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