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吉村秀雄商店

代表銘柄:日本城・車坂

和歌山県

WAKAYAMA

1915年創業

大正4年(1915年)に創業された和歌山県岩出市の酒蔵です。仕込み水には紀の川の伏流水を使用し、伝統的な土壁蔵で醸造を行っています。地元で長く親しまれてきた代表銘柄「日本城」は全国新酒鑑評会で数々の金賞を受賞した実績を持ち、特約店向け銘柄「車坂」は熊野の小栗判官伝説に由来しています。

2013年より能登杜氏として初の女性杜氏である藤田晶子氏が就任し、「食事との相性」を追求した酒造りを推進しています。伝統的な山廃仕込みや生酛仕込みを重視し、米の旨味を引き出しつつ後味のキレが感じられる酒質が特徴です。「Kura Master」での金賞や「全国燗酒コンテスト」での金賞など、国内外の品評会でも多数の受賞歴があります。

吉村秀雄商店の歩み

吉村秀雄商店は、生糸産業を営む家の末子として生まれた吉村秀雄が興した酒蔵です。秀雄は少年期に灘の酒蔵へ奉公に出て日本酒と出会い、奉公の年季が明けて紀州に戻ると、大正4年(1915年)10月、紀の川沿い、大和街道にあたる現在の岩出市畑毛の地で酒造業を興しました。「誰もが酒を飲めるように。酒とともに、人は明るく楽しく、皆幸せを感じられるように」という思いが、創業の原点になっています。

代表銘柄「日本城」は、秀雄が幼少期から慣れ親しんだ和歌山城を散策しながら名付けました。「兩人對酌山花開 一杯一杯復一杯」という李白の詩のような酒をつくりたいという願いと、日本を代表する地酒を世界に知らしめたいという志が込められています。もう一つの柱である「車坂」は、地の底から蘇生した小栗判官が東海道から熊野へ向かう際に通ったと伝わる坂の名に由来し、世界遺産・熊野古道に伝わる死と再生の物語にちなんで名付けられました。

蔵のある和歌山県岩出市の根来寺にちなんだ銘柄「鉄砲隊」もあり、かつて根来衆と呼ばれる僧衆による鉄砲隊があったことから名付けられました。

昭和30年(1955年)11月には株式会社組織に改め、株式会社吉村秀雄商店として社名を定めました。昭和41年(1966年)に二代目・吉村善雄氏、平成16年(2004年)に三代目・吉村久喜氏が社長を継ぎ、昭和61年(1986年)からは海外への輸出も始めています。平成15年(2003年)には不動産業の兼業による過剰債務から民事再生法の適用を受けました。平成21年(2009年)に四代目・安村勝彦氏が社長に就任し、平成27年(2015年)には和歌山県から100年企業として表彰されています。

平成25酒造年度(2013年)からは、藤田晶子氏が杜氏を務めています。東京農業大学を卒業後、能登杜氏四天王の一人に数えられる農口尚彦氏に師事して石川県の鹿野酒造で10年間修行し、能登杜氏として初めての女性杜氏となりました。和歌山県産の酒米「玉栄」は修行時代に使っていた五百万石より硬く、当初は蒸米の感触の違いに戸惑いましたが、経験を重ねて玉栄の個性を生かした酒造りに取り組んでいます。

地元とのつながりも大切にしており、令和2年(2020年)には、かつて精米に使用していた倉庫を、岩出市出身のプロスケートボード選手・四十住さくら氏の専用練習場として無償で提供しました。四十住氏は東京オリンピックの女子パーク種目で金メダルを獲得しています。

酒造りの特徴

仕込み水には紀の川の伏流水を使用しています。創業以来の土壁蔵を熟成に生かし、蔵の奥にある地下貯蔵庫や温度の異なる冷蔵庫を使い分けて、酒質ごとに適切な熟成期間を設けてから出荷しています。目指す酒質は「米の旨みを引き出し、キレのあるお酒」であり、旨みの中に透明感を感じられる味わいを追求しています。

山廃仕込みや生酛仕込みを重視しているのも大きな特徴です。速醸酛が仕込み段階で乳酸を添加するのに対し、山廃・生酛では乳酸菌や硝酸還元菌など複数の微生物が段階を追って働き、酵母を他の菌から守りながら強く育てます。こうして醸された酒は旨みと透明感を併せ持ち、熟成にも耐える味わいになります。麹造りについては、農口尚彦氏から受け継いだ「膨らませ、乾かせ、老なせ」という言葉を指針とし、麹の甘みが旨みに変わるまで時間をかけています。

和歌山県産の酒米「玉栄」を主要な原料米とし、その一部は蔵の自社田で栽培しています。一方、生酛仕込みに使う米は、石川県で農家を営む蔵人が無農薬・無化学肥料で栽培したもので、酛摺りに使う半切り桶には蔵独自の乳酸菌が棲みつくことを期待して木桶を特注しています。近年は熊野古道で採取された和歌山オリジナルの酵母「KODO.ec.162」を使った純米酒を限定酒として発売しており、2025酒造年度は原料米に日本晴(精米歩合65%)を用いています。

地下貯蔵庫で長期間熟成させた古酒「亀の歩み」も手がけており、昭和63年(1988年)醸造と平成元年(1989年)醸造の大吟醸古酒があります。

「日本城」は全国新酒鑑評会で1988年(昭和63年発表)から2008年(平成20年発表)にかけて11回の金賞を受賞しています。大阪国税局新酒鑑評会でも1988年に金賞、1989年に銀賞を受け、1990年から1997年にかけて7年連続で金賞を受賞しました。この7年連続金賞は、大阪国税局管内では月桂冠の昭和蔵と吉村秀雄商店だけが達成しています。同鑑評会は1998年に金賞制度を廃止しています。

2005年には全米日本酒歓評会で「亀の歩み ウナヅキ」が大吟醸の部、「亀の歩み ヒラキ」が純米の部でそれぞれ銀賞を受賞し、2008年には香住町杜氏組合コンテストで「日本城 大吟醸」が優秀賞を、杜氏の林本嘉宣氏が最優秀賞を受賞しました。『特選街』主催の全国日本酒コンテストでは6度の日本一に選ばれています。

近年は国際的なコンクールでの評価も高まっており、2018年のSAKE selection(ブリュッセル国際コンクール日本酒部門)では「車坂 山廃 純米大吟醸」がトロフィー酒に選ばれ、「車坂 山廃純米大吟醸」が純米大吟醸酒部門プラチナ賞、「車坂 山廃純米酒」が純米酒部門シルバー賞を受賞しました。2019年のミラノ酒チャレンジでは大吟醸部門で「亀の歩み 大吟醸 昭和63年醸造」がデザインプラチナ賞、2020年のロンドン酒チャレンジでは「車坂山廃純米酒」が特別純米・純米酒部門で金賞を受賞しています。

2021年には大阪国税局清酒鑑評会の燗酒用清酒部門で「車坂 山廃純米酒(2BY)」が優秀賞、ボルドー酒チャレンジの純米吟醸部門で「車坂 山廃純米吟醸酒」が金賞を受賞しました。2022年のKura Masterでは、純米大吟醸酒部門で「車坂 純米大吟醸酒」、生酛部門で「車坂 生酛純米」、古酒部門で「亀の歩み 大吟醸古酒 1988」がそれぞれ金賞を受賞し、ルクセンブルク酒チャレンジでもディスカバリー部門で「すいうめ酒」がプラチナ賞、純米吟醸部門で「車坂 山廃純米吟醸酒」が銀賞を受賞しています。

2023年のIWCでは純米大吟醸の部で「車坂 純米大吟醸酒」が銅メダルを、2024年のルクセンブルク酒チャレンジでは純米部門で「車坂 純米酒」が金賞を受賞しました。2025年には全国燗酒コンテストのお値打ち熱燗部門で「根来桜 山廃仕込」と「日本城 上撰」が金賞、Kura Masterの純米酒部門で「車坂 特別純米酒」が金賞を受賞しています。また能登杜氏組合能登町支部のきき酒研究会でも「日本城」が普通酒の部で2023年に最高賞、2025年に2位を受賞しています。

代表銘柄

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日本城

創業者の吉村秀雄が和歌山城を散策しながら名付けた、地元で長く親しまれてきた看板銘柄です。純米大吟醸酒はメロンやマスカットを思わせるフルーティーな吟醸香とすっきりした後味、吟醸純米酒はりんごを思わせる穏やかな香りが持ち味です。全国新酒鑑評会では11回の金賞を受賞しており、能登杜氏組合能登町支部のきき酒研究会では普通酒の部で2023年に最高賞、2025年に2位を受賞しています。2025年の全国燗酒コンテストお値打ち熱燗部門では「日本城 上撰」が金賞を受賞しました。

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車坂

浄瑠璃や歌舞伎にも登場する小栗判官伝説にちなみ、熊野古道で小栗判官が通ったと伝わる坂の名から名付けられた、特約店を通じて流通する銘柄です。山廃仕込みや生酛仕込みを用い、和食だけでなくイタリアンや中華とも合わせやすい食中酒を目指しています。国内外の品評会でも評価が高く、2022年のKura Masterでは純米大吟醸酒部門と生酛部門で、2025年も純米酒部門で金賞を受賞しています。

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見学・購入

補足
毎年恒例の「呑みきり会」を一般にも開放しており、蔵に貯蔵する約40種類の酒を利き酒できます。酒米「玉栄」の田植え体験イベントも毎年開催しており、蔵の自社田での田植えのあと、蔵での食事会を楽しめます。いずれも要予約・有料の催しです。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
和歌山県岩出市畑毛72番地
創業
1915年

出典

wikipedia.org / sakenomy.jp / nihonsyu-nihonjyou.co.jp / wakayamagurashi.jp / nihonshu-tourism.com / kobayashishouten.jp / hyotan.co.jp / sakagura-press.com / ja.wikipedia.org / jp.sake-times.com

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