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田端酒造

代表銘柄:羅生門・七人の侍・鳳凰

和歌山県

WAKAYAMA

1851年創業

1851年(嘉永4年)に初代当主・田端正兵衛が紀州藩から酒株を受けて創業した和歌山県和歌山市の酒蔵です。創業以来「滴滴在心(一滴一滴に心を込めて醸す)」をモットーに掲げ、丁寧な酒造りを行っていました。代表銘柄の「羅生門」は、5代目社長が映画『羅生門』に感銘を受けて名付けられました。特に看板商品である純米大吟醸「羅生門 龍寿」は、1989年から2022年までモンドセレクション国際コンクールで34年連続の最高金賞を受賞したことで知られ、1989年には日本の酒として初めて最高金賞を受けました。

また、和歌山県産の山田錦や紀の川の伏流水、和歌山酵母など、原材料のすべてを地元産にこだわって醸した「さとこのお酒」など、地域に根ざしたこだわりの銘柄も手がけていました。2024年1月31日に全商品の出荷を休止し、公式サイトも閉鎖されましたが、法人は存続しており、2025年1月に本店を和歌山市田中町へ移しています。

田端酒造の歩み

田端酒造は、和歌山県和歌山市で「羅生門」を醸してきた酒蔵です。創業は1851年(嘉永4年)で、初代の田端正兵衛が紀州藩から酒造鑑札として酒株の許可を受け、朝日屋の屋号で那賀郡穴伏村にて酒造業を始めたのが起こりです。信条は「滴滴在心」、一滴一滴に心を込めて酒を醸すという意味の言葉で、創業以来この言葉を掲げてきました。

二代目の田端良吉は1882年(明治15年)に、明治維新後の世相を映した「改進」と「自由」の2銘柄を発売しました。三代目の田端正二郎は1905年(明治38年)に和歌山市東瓦町(田中町)へ移り、「大東一」の販売を始めています。四代目の田端正文は1935年(昭和10年)に県内で初めて冷蔵倉を設け、冷やして飲む酒を売り出しました。

五代目の田端薫は1953年(昭和28年)に、県内初の鉄筋コンクリート三階建ての酒造蔵を新設し、これを機に田端酒造株式会社を設立して代表取締役に就きました。1976年(昭和51年)には清酒「羅生門」の販売を始めます。黒澤明監督の映画『羅生門』に感銘を受け、世界の人々に愛され日本が誇れる酒を造りたいという思いから生まれた銘柄です。2000年代半ばには兵庫県の灘にも工場を持ち、「夢十夜」の銘柄を出していました。

世界に名が知られるきっかけはモンドセレクション国際コンクールでした。1988年に「羅生門 鳳凰」を初めて出品して金賞を受け、翌1989年には純米大吟醸の「羅生門 龍寿」で最高金賞と、最も高い得点の製品に贈られるパームリーブス賞を、日本の酒として初めて獲得しました。以後、龍寿は毎年最高金賞を受け続け、2003年には国際優秀品質賞も授与されています。2021年には33年連続の最高金賞に加えてスピリッツ&リキュールカテゴリーの審査員賞を受け、2022年には34年連続の最高金賞に達しました。

六代目の長谷川香代の代には、娘の聡子とともに、和歌山県産の原料だけで造る酒に取り組みました。2009年に始まったこの試みから、2010年に純米吟醸「さとこのお酒」が発売されています。2011年には日本酒を使った梅酒も販売銘柄に加えました。しかし2024年1月31日をもって全商品の出荷を休止し、公式サイトも閉鎖されました。同社は、新酒の仕込みができず在庫が少なくなったことを理由に挙げています。法人は存続し、2025年1月に本店を和歌山市田中町へ移しましたが、2026年10月時点で酒造りの再開は発表されていません。

酒造りの特徴

酒造りは、最もおいしい酒ができる冬の数か月に仕込みを行っていました。仕込みが始まると蔵人は昼夜の別なく作業を進め、ほとんどの工程を手作業で行ってきました。人のぬくもりが酒に伝わるようにという考えで、蔵人の洗練された感覚を重んじていました。

酒造りでは「一麹、二もと、三造り」といわれますが、田端酒造はとくに麹造りを重んじた製法を採っていました。麹の温度管理を徹底し、もっとも良い環境でもろみの発酵を促すことで、米本来の甘みと上品な香り、芳醇な味わいとすっきりしたのどごしの酒に仕上げていました。

看板の「羅生門 龍寿」は、兵庫県吉川産の山田錦を100パーセント使い、精米歩合は39パーセントでした。仕込み水には和歌山平野を流れる紀の川の伏流水を用い、酵母は蔵が厳選し、徹底して管理したものを使っていました。杜氏は山本浩伸氏が務めてきました。アルコール分は16度以上17度未満で、日本酒度はプラス3.5、酸度は1.5です。

羅生門の商品は米の磨き方で階層が分かれていました。龍寿の下には、精米歩合49パーセントの大吟醸「鳳寿」、59パーセントの吟醸「鳳凰」があり、龍寿を低温で長期貯蔵した大古酒「悠寿」、龍寿と同じ仕込みで精米歩合59パーセントの純米吟醸もありました。1905年に販売を始めた「大東一」は、本醸造の飛切と普通酒の黒松を揃えた銘柄でした。大阪国税局の清酒鑑評会では、平成29年度(2017年)の燗酒用清酒部門で「羅生門」が、令和元年度(2019年度)の燗酒用清酒部門で「大東一」が、それぞれ優秀賞を受けています。

代表銘柄

羅生門

1976年に発売された田端酒造の看板銘柄です。五代目の田端薫が黒澤明監督の映画『羅生門』に感銘を受け、世界に愛される酒を目指して名付けました。頂点は純米大吟醸の龍寿で、1989年から2022年まで34年連続でモンドセレクションの最高金賞を受けています。純米酒の「羅生門 純米 からくち」は、2017年の全国燗酒コンテストのお値打ち熱燗部門で金賞に選ばれ、燗にして濃厚な米の旨みが際立つ一本です。

七人の侍

杜氏の山本が、四季を味わう日本人の食を大切にしたいという思いから考案した純米酒です。精米歩合は60パーセントで、日本酒度はプラス4、酸度は1.4です。濃厚でしっかりとした辛口の味わいが特徴で、スローフードジャパン燗酒コンテストで金賞を受けています。冷やしても常温でも楽しめますが、燗にすると米の旨みがよりいっそう引き立ちます。

鳳凰

羅生門シリーズの吟醸酒で、精米歩合は59パーセントです。「香りたつ」という言葉が似合う気品ある香りと、米本来の旨みを味わえます。1988年に羅生門として初めてモンドセレクションに出品され、金賞を受けた銘柄でもあります。初代の羅生門から30余年のあいだ、毎年少しずつ伝承技術を高めながら造られてきました。龍寿や鳳寿を生んだ母なる酒として、蔵を代表する銘柄の一つです。

さとこのお酒

六代目蔵元の娘の長谷川聡子が、技師として杜氏の指導のもとで造った純米吟醸酒で、2010年に発売されました。和歌山県産の米、和歌山酵母、紀の川の伏流水と、原料をすべて和歌山で揃えているのが特徴です。農家の協力を得て造り、2011年の仕込みからは山田錦に加えて五百万石やオオセトなど米違いの商品にも広がりました。

見学・購入

補足
2024年1月31日に全商品の出荷を休止し、公式サイトも閉鎖されました。かつての本社・蔵は和歌山市吹屋町にありましたが、法人の本店は2025年1月に和歌山市田中町へ移っており、現在、見学や直売の案内はありません。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
和歌山県和歌山市吹屋町5-13-1
創業
1851年

出典

japansake.or.jp / tanoshiiosake.jp / wikipedia.org / web.archive.org / iisake.net / nta.go.jp / kansake.jp / nihonmono.jp / nakao.ecnet.jp / ja.wikipedia.org

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