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若林醸造

代表銘柄:月吉野・つきよしの

長野県

NAGANO

1896年創業

長野県上田市塩田平に位置し、1896年(明治29年)に創業した酒蔵です。代表銘柄の「月吉野」は、創業時に吉野桜の下で花見をした際、満月に舞う桜吹雪の風景を見て命名されました。昭和44年以降は集約製造に参加していましたが、2016年に四代目蔵元の次女・若林真実氏が杜氏に就任し自社醸造を本格復活させました。

造りにおいては原料米や水などすべて信州産にこだわり、麹・醪ともに少量仕込みを実施。低温発酵、全量槽搾り、品質保持のための全量瓶貯蔵を徹底し、すっきりと雑味のない丁寧な酒造りを行っています。また、地元の農産物を活かした果汁ジュースや甘酒などの製造・販売も手掛けています。

受賞歴としては、全国新酒鑑評会において「つきよしの 真」が令和5酒造年度(2024年)および令和6酒造年度(2025年)に2年連続で金賞を受賞しています(令和3酒造年度は入賞)。

若林醸造の歩み

若林醸造は、1896年(明治29年)に初代の若林万兵衛が小県郡中塩田村中野、現在の上田市中野にあたる地で創業した酒蔵です。公式の会社案内によると、初代は蔵の五丈余(15メートル余り)の底から湧く良質な水と地元の米で酒造りを始めました。蔵のある塩田平は、蔵の説明では上田藩五万石のうち塩田三万石といわれたほどの米どころです。創業当初は日本酒と醤油を醸造し、越後杜氏の流派による酒造りを行っていました。1920年(大正9年)には若林醸造株式会社として法人化しています。

創業時から続く銘柄の「月吉野」は、創業のころ吉野桜の下で催した花見の宴で、満月に桜吹雪が舞うのを見て名付けられました。

戦後の高度成長期には年間およそ700石を造っていましたが、日本酒離れによる事業の低迷もあり、1969年(昭和44年)には自社での醸造をほとんどやめ、販売する日本酒の大半を委託して造ってもらう集約製造に移りました。その後は他の酒蔵から米麹を買い、年にタンク1本分ほどを杜氏に造ってもらう細々とした造りが続き、麹室も約50年にわたって使われなくなりました。

その間に蔵を支えたのが酒以外の事業で、2006年(平成18年)に規格外の農産物を活用するジュース加工を始め、2011年(平成23年)には長野県工業技術センターと共同で、美山錦の59%精白米を使った「四季の甘酒」シリーズを開発しています。

転機は、四代目蔵元の次女・若林真実さんの帰郷でした。1987年生まれの真実さんは東京の大学を卒業して就職しましたが、両親が蔵を閉じる話をしているのを耳にしたことをきっかけに、2013年に上田へ戻りました。同年秋から市内の信州銘醸で酒造りの基礎を学び、2014年には酒類総合研究所の酒類醸造講習を修了、2015年から2016年にかけては長野県工業技術総合センターの酒造技能士養成講座も修了しています。

自社醸造は段階的に復活しました。2014年度(平成26酒造年度)の冬、それまで造りに来ていた杜氏がけがで来られなくなり、信州銘醸で修業中の真実さんが実家の蔵で初めて純米酒を1本仕込みます。2015年(平成27年)には約50年使っていなかった麹室を改装して自社での麹造りを復活させ、同年度は特別純米酒2本と、吟醸酒と純米吟醸酒を各1本、計4本を仕込みました。このお酒からラベルを一新し、ひらがなの「つきよしの」を中央に置いています。

2016年3月に信州銘醸での修業を終え、同年10月から若林醸造の杜氏として酒造りを始め、約50年ぶりの自社醸造が復活しました。蔵の歴史で初めての女性の蔵元杜氏です。2017年時点では、それまでの杜氏にも引き続き蔵へ来てもらっていました。

全国新酒鑑評会では、令和3酒造年度に入賞し、令和5酒造年度と令和6酒造年度は「つきよしの 真」で2年続けて金賞を受賞しました。関東信越国税局酒類鑑評会では、2022年(令和4年)の第93回で純米吟醸酒の部の優秀賞に選ばれています。

海外では、蔵の発表によると、アメリカ向けの「Moonbloom」で、2022年のサンフランシスコ国際ワイン品評会にMoonbloom Daiginjoがゴールド、Moonbloomがシルバー、2023年の同品評会日本酒部門にMoonbloom Daiginjoが最高位のメダルであるダブルゴールドを受賞し、2022年にはインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションでKunoichi by Moonbloomがシルバーを受けたとのことです。

2026年10月に創業130周年を迎え、記念酒の発売、月吉野会員制度の開始、新ブランド「MAMA」でのパリのイベント参加など、新しい取り組みを続けています。

酒造りの特徴

原料は長野県産にこだわっています。酒米は上田市の塩田平地区と武石地区、東御市の八重原地区の圃場で育てたひとごこち、山恵錦、美山錦、山田錦で、2017年に地元上田市の生産者との契約栽培を始め、2020年には塩田平の十人地区で、綿を再利用する「お布団農法」によるひとごこちの有機栽培にも取り組みました。令和6酒造年度からは、日本酒の原料米がすべて長野県産になりました。

蔵は創業当時の建物をそのまま使い、土壁の仕込み蔵と、杉材を中心にした麹室で造ります。蒸した米は枯らし台に移して自然に冷まし、搾りは全量槽搾りです。機械と酒袋を毎回洗浄してから、醪を酒袋に入れて自然の重みで24時間ほどかけてゆっくり搾り、仕上げに機械の圧力を加えます。2024年時点では、この方法をすべての酒に採っています。2017年にはTM式吟醸搾り機を導入し、製造のほとんどを特定名称酒に移しました。

設備と技術にも手を入れてきました。2018年に清酒用の冷蔵・冷凍庫を入れて瓶貯蔵の保管能力を広げ、2019年には植物性乳酸菌を使った乳酸菌発酵酒母を開発して山廃仕込みを復活させています。2023年には仕込み蔵のタンクを2000リットルに統一し、5000リットルのタンク5本を搬出、洗米専用の部屋も設けました。2025年には仕込み蔵に冷蔵設備を入れ、低温発酵を保ちながら3季醸造を始めています。

酒以外の製造も続けています。ジュースは長野県産の果物を皮や種を除かずにまるごと搾った果汁100%で、規格外の農産物を生かす目的で2006年に始めました。甘酒は、契約農家から仕入れた酒米を全量使い、精米歩合59%の吟醸規格で仕込む「酒屋の造るあまざけ」で、一年を通して造っています。酒粕は袋で搾るため板粕にはならず、柔らかくしっとりしています。

代表銘柄

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月吉野

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つきよしの

ひらがな表記のラベルを中央に置いたシリーズで、2015年度の仕込みから展開しています。蔵の銘柄として創業以来の「月吉野」も現役で、創業130周年の記念酒などに使われています。すっきりとして雑味がなく、飲みやすい味わいを目指し、色や自然にちなんだ名前で個性を表します。赤は日本酒度+10の辛口純米酒、桜は特別純米酒でぬる燗が本領です。白は武石地区の山恵錦を49%まで磨いた純米大吟醸、山田錦39%の「真」は最高級の一本で、令和5・6酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受けています。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
事務所に併設の小売店舗があります。営業は平日9時から16時で、土日祝日は休みですが、第3土曜日は営業しています。
補足
利き酒体験と、蔵見学付きの利き酒体験があり、オンラインで予約できます。最寄りは上田電鉄別所線の中野駅で、徒歩3分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
〒386-1325 長野県上田市中野466
創業
1896年
公式サイト
www.tsukiyoshino.com

出典

japan-heritage-ueda.com / tsukiyoshino.com / ameblo.jp / nihonshu-tourism.com / jp.sake-times.com / marukome.co.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp

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