瀬頭酒造
代表銘柄:東長
佐賀県
SAGA
1789年創業
佐賀県嬉野市に位置する瀬頭酒造は、1789年(寛政元年)に初代・瀬頭多次兵衛が創業した酒蔵です。大正9年(1920年)の法人化の際、第19代内閣総理大臣の原敬より「アヅマの国のオサ(東洋の王者)にふさわしい」と評され、代表銘柄「東長」と命名されました。昭和20年(1945年)にはGHQの指定商品となり、ダグラス・マッカーサー元帥に愛された歴史も持ちます。
酒造りでは「正直な酒をつくる」を基本理念とし、原料には佐賀県産の酒米と清冽な水を使用。大吟醸酒からレギュラー酒である本醸造酒に至るまで全製品で伝統的な「三段仕込み」を守り、米の旨みや上質な甘みを生かした豊かな味わいが特徴です。全国新酒鑑評会や福岡国税局鑑評会で金賞などの受賞歴を多数有するほか、フランスの日本酒コンクール「Kura Master」でも金賞を受賞しています。
瀬頭酒造の歩み
瀬頭酒造は、佐賀平野の西方、有明海に注ぐ塩田川の上流にあたる、現在の嬉野市塩田町にある酒蔵です。上質な米と内陸の澄んだ空気、清冽な水に恵まれた静かな田園の町で、寛政元年(1789年)に初代の瀬頭多次兵衛が「丸平正宗」の銘柄で創業しました。創業以来の願いは「正直な酒をつくる」ことで、この言葉を社是として今も受け継いでいます。
大正9年(1920年)、蔵は法人化して瀬頭酒造株式会社となり、これを機に新しい銘柄名を考えていました。当時の当主は政友会の党員で、首相の原敬と交流があり、この年に長崎で海軍大演習が行われた折に原首相に招かれます。その席で新しい名前を付けてほしいとお願いしたところ、酔い心地のさわやかさとおおらかさを「アヅマの国のオサ、すなわち東洋の王者にふさわしい」とたたえられ、「東長」の名をいただいたと伝わります。法人化を機に東長が発売され、以来、蔵の代表銘柄として造り続けられています。
蔵の沿革では、戦前から数々の栄誉に浴してきたとしています。大阪の内国博覧会で一等金牌、東京大正博覧会で名功賞金牌、大正11年(1922年)の平和記念東京博覧会と昭和7年(1932年)の全国清酒品評会で優等賞金牌を受け、皇室への献上や宮内省への納入もありました。大正9年には梨本宮殿下の御台臨を賜り、大正15年には大正天皇の御名代として海江田侍従が差し遣わされ、昭和3年には御大典の御賜御用酒として上納しています。
昭和20年(1945年)、戦後の混乱期にGHQ総司令部主催のパーティーが開かれ、佐賀・有田の陶工、十二代酒井田柿右衛門も招かれました。柿右衛門は親交のあった瀬頭平八と一晩飲み明かし、手にした東長がパーティーでマッカーサー元帥の目に留まります。気に入られた東長は、昭和20年11月にGHQの指定商品になったと伝わります。
平成元年(1989年)には瓶詰めと製品の蔵として平成蔵が完成し、平成5年(1993年)には醸造蔵の新設と新2号蔵の完成で製造の体制を整えました。平成13年(2001年)には特約店制度を始めています。江戸後期から大正にかけて建てられた酒蔵や本家など8棟は、2023年に佐賀県遺産に認定されました。2023年時点で社長は瀬頭平治氏で、専務の瀬頭平太氏は九代目となる予定です。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に9回入賞しており、このうち金賞は平成25〜29酒造年度の5年連続です。蔵の発表では、平成7・9・11酒造年度にも金賞を受けています。福岡国税局酒類鑑評会では、吟醸酒の部で金賞9回(平成15年の春と秋、平成26〜令和元年の6年連続、令和6年)、純米酒の部で金賞11回(平成21年から令和7年にかけて、直近は令和4〜7年の4年連続)を受けました。このほか、平成15年秋の純米酒の部と平成19年の吟醸酒の部は優等賞です。
蔵の発表では、平成4〜13年と平成16年の吟醸の部でも受賞しています。フランスの日本酒コンクールKura Masterでは、2018年度に「褒紋東長」、2019年度に「純米大吟醸 東長 しずく搾り」がそれぞれ金賞を受賞しました。
酒造りの特徴
瀬頭酒造の酒造りの軸は、大吟醸から本醸造まで全製品を伝統的な三段仕込みで造ることです。蔵は、三段仕込みのあとに米糠糖化装置や酵素剤で糖を足す仕込みを採らず、人工的に甘味を付け加えないことで、米が本来持つやさしい甘味を引き出しています。香りを重視した大吟醸や純米大吟醸が多く造られる時代にあっても、日本酒は蒸留酒ではなく醸造酒であるとして、まずしっかりした味と甘味のできに力を入れています。
原料米は全量が佐賀県産で、山田錦・佐賀の華・レイホウなどを使います。山田錦は、昭和63年に地元農家と五町田酒造、瀬頭酒造が試験栽培を始めました。背が高い山田錦は刈り取り前にほとんどの稲が倒れ、栽培の難しさを知ります。平成元年に山田錦栽培研究会を立ち上げ、平成2年に苗の育て方をポット苗育苗法へ改めて栽培を安定させました。蔵の敷地の周りには約10アールの自社田があり、社員が田起こしから稲刈りまで山田錦を育てています。使う酒米はすべて、水分を保ちながら低温で磨く原温原湿精米機で自家精米しています。
洗米は、超音波で小さな気泡を立てた水に白米を一気に投入する洗米機で行い、浸漬した米を外側が固く中が軟らかい「外硬内軟」の蒸米に蒸しあげます。麹は室温30℃の麹室で約48時間かけて育て、品温を0.1℃単位で管理します。酒母は約12日で仕上げる速醸酒母にそろえています。醪は毎朝の櫂入れで採った液を分析し、その結果をもとに品温を0.1℃単位で決めます。上槽のあとは65度まで加熱する火入れを行い、蔵の中で約半年熟成させてから瓶詰めします。
三段仕込みだけで甘口の酒を造るため粕歩合は高く、過去10年の平均で大吟醸東長は40.4%、本醸造の特撰東長は48.6%と、平成25年度の全国平均(吟醸酒36.5%、本醸造28.7%)を上回ります。
主な商品の仕様は次のとおりです。大吟醸東長は山田錦を35%まで磨き、協会901号と1801号の酵母で仕込みます。純米大吟醸の褒紋東長は山田錦48%と佐賀酵母F7、特別純米酒の慶紋東長は山田錦と佐賀の華を60%まで磨き協会7号酵母で、純米吟醸東長は山田錦と佐賀の華を60%に磨いて佐賀酵母F7で醸します。2023年時点で最も数が出ている本醸造の金紋東長は、レイホウを68%まで磨き、協会7号酵母を使った日本酒度-8の酒です。大吟醸東長と純米東長の仕込み水には、多良岳山系の清冽な水を使います。
代表銘柄
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東長
蔵の代表銘柄で、読みは「あずまちょう」です。ほぼ全商品が東長の名で、純米大吟醸の「褒紋」、特別純米酒の「慶紋」、本醸造の「特撰」「金紋」「銀紋」「丸平」など、冠を付けて呼び分けます。季節限定の搾りたてや冷おろし、限定品のしずく搾りもあり、純米大吟醸から本醸造まで幅広くそろいます。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 見学ツアーの後に、気に入った酒を購入できます。公式サイトの通信販売でも購入できます。
- 補足
- 蔵見学は予約制です。UNAラボラトリーズが取り次ぐ見学と試飲のツアー(約1.5時間、最少催行2名・最大10名)は11月から4月の催行で、申込は10日前までです。2023年時点で、3月ごろに鹿島市と嬉野市で同時開催される酒蔵ツーリズムの2日間は、酒造りの昔の道具なども公開されます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 佐賀県嬉野市塩田町大字五町田甲3117番地
- 創業
- 1789年
- 公式サイト
- www.azumacho.co.jp
出典
sagasake.or.jp / azumacho.co.jp / sakeboys.jp / sakagura-tourism.com / sakagura-press.com / kuramaster.com / nta.go.jp / web.archive.org / nrib.go.jp / saga-s.co.jp / sagatv.co.jp / unalabs.jp / houjin-bangou.nta.go.jp
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