田中屋酒造店
代表銘柄:水尾
長野県
NAGANO
1873年創業
長野県飯山市に所在する田中屋酒造店(株式会社田中屋酒造店)は、1873年(明治6年)に創業した酒蔵です。代表銘柄「水尾」の仕込み水には、野沢温泉村「水尾山」の麓から湧き出る天然水をトラックで運搬して全量使用しています。原料米は長野県産米を100%使用しており、地元の飯山市産「ひとごこち」や、木島平村発祥の希少品種「金紋錦」などの契約栽培米を中心に仕入れています。酒造りは地元の飯山杜氏と近隣に住む蔵人たちが手がけ、原料処理の全量限定吸水や全量箱麹といった手造りにこだわっています。
均一な温度管理が可能な小規模な仕込み単位(1,500kgまで)で丁寧に醸すことで、香りや味が良質で後切れの良い味わいを仕込んでいます。受賞歴としては、全国新酒鑑評会で数々の金賞を受賞しているほか、平成24年(2012年)の第83回関東信越国税局酒類鑑評会において最優秀賞を獲得するなど、品質の高さが高く評価されています。
田中屋酒造店の歩み
株式会社田中屋酒造店は、1873年(明治6年)に創業した、飯山市大字飯山の酒蔵です。長野県の北の端、奥信濃と呼ばれる豪雪地帯の飯山の旧町内に蔵があり、冬は2メートルを超える積雪のなか、雪におおわれた蔵で酒造りが行われます。北陸新幹線の飯山駅から徒歩約15分の場所にあります。
現在の主力銘柄「水尾」の誕生は平成4年(1992年)です。6代目にあたる現在の代表の田中隆太氏は、東京での研修を終えて平成2年に蔵へ入り、最初に水の研究に取り組みました。それまで使っていた蔵の井戸水は硬すぎて吟醸酒の製造に向かないと分かり、水処理の専門家を招いて水の加工を試みましたが、うまくいきませんでした。専門家の「山紫水明の地でなぜ水に苦労するのか」という一言が、水を汲んで運ぶ発想につながりました。
当時の社長からは、大量の水を運んではコストが合わないと反対されましたが、吟醸酒だけでもと説得し、地元の清水や山の湧き水を汲み歩いて味と成分を比べました。数か月で結果が出て、味の評価も分析結果も際立っていたのが、隣村の野沢温泉村にある水尾山の湧水でした。初年度は吟醸酒と純米酒だけをこの水で仕込み、結果が良かったため、翌年から仕込み水の全量に使うようになりました。銘柄名は、この山の名にちなんで付けられました。
原料米にも地元へのこだわりを広げてきました。木島平村だけで栽培される希少な酒米「金紋錦」は、平成16年(2004年)から安定して確保できる見込みが立ち、2005年時点の造りでは県産の酒造好適米だけで仕込む体制が整いました。2010年には、全使用原料米の7割以上が蔵から5キロメートル圏内で栽培される酒造好適米になっています。以前は上位酒のわずかな分にしか酒造好適米を使えていなかったと田中氏が振り返るように、良い米を使える環境は、長い時間をかけて整えてきたものです。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に16回入賞し、そのうち金賞は平成18、21、23、29、30、令和3、6の各酒造年度の7回です。関東信越国税局酒類鑑評会では、平成24年の第83回で吟醸酒の部の最優秀賞を受賞しました。優秀賞には、同じ第83回の純米酒の部を含め、第78回(平成19年)から第96回(令和7年)までの10回で選ばれています。2025年の第72回長野県清酒品評会では、純米吟醸酒部門で長野県知事賞を受賞しました。
酒造りの特徴
酒造りの方針は「基本に忠実に、手造りにこだわる」ことです。原料処理は全量が限定吸水で、麹は全量が木箱を使った箱麹による手造りです。2000年の時点で、米の洗いと浸漬は、120キログラム単位で吊り袋とチェーンブロックを使い、ストップウォッチで時間を計って0.1パーセント刻みで水分を管理する方法を取り入れました。大吟醸で行う水分管理を、普段飲まれる一般の酒にも広げる考えからです。2001年の時点では、麹米に普通酒でも精米歩合59パーセントの酒造好適米を使っていました。
仕込みの単位は、均一な温度管理ができる1,500キログラムまでとし、年間の生産量は約700石です。
仕込み水は全量が、蔵から約15キロメートル北にある野沢温泉村の水尾山のふもとで湧く天然水で、トラックで運搬しています。飲むと甘さと透明感を感じる軟水で、香りと味が良質でありながら、後に残らない切れの良い味わいを生みます。原料米は長野県産の酒造好適米を100パーセント使い、飯山市の契約栽培米「ひとごこち」と、木島平村の契約栽培米「金紋錦」が中心です。原料米のうち約95パーセントが、蔵から5キロメートル圏内で栽培される契約米です。
造り手は、地元の飯山杜氏と、蔵から車で15分ほどのところに住む社員・蔵人たちです。仕込みの期間は早朝や深夜の作業が続くため、生活を共にできる人が造るべきだという考えで、地元で採用を進めています。かつては7人もの蔵人が11月半ばから3月まで約130日間泊まり込んでいたといい、2003年時点では交代で1人が泊まり、朝6時30分にもう1人が出勤する体制でした。
できたての風味を保つための設備投資も重ねてきました。2009年までに、火入れした酒を急速に冷やす冷却設備、タンクごと入る大型の冷蔵倉、仕込み蔵の低温空調、貯蔵タンクの空きに窒素ガスを充填する方法、火入れ直後に約1分で加熱し数秒で30度まで冷やす熱交換器とボトルクーラーなどを順次導入しました。冷蔵倉と低温空調によって老香(ひねか)の発生を抑えられるようになり、2006年の時点では、老香を取り除くための出荷前の活性炭濾過が要らなくなっていました。
代表銘柄
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水尾
蔵の定番であり、全商品に共通する看板の銘柄です。名前は、仕込み水が湧く野沢温泉村の水尾山にちなみます。さわりのない後味の良さが特徴で、食事の脇役として何杯でも飲める酒をめざしています。金紋錦やひとごこちといった県産の酒造好適米で仕込みます。令和6酒造年度の全国新酒鑑評会では、金紋錦を39パーセントまで磨いた大吟醸が金賞を受賞しました。蔵の発表では、2025年のIWCで特別純米酒の金紋錦仕込が金賞、純米大吟醸が銅賞を受賞しています。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵の店頭で販売しています。営業時間は月曜から金曜が9時から17時30分、土曜が9時30分から17時で、昼休みは12時から13時15分です。日曜・祝日と年末年始は休みです。
- 補足
- 水尾地酒ツーリズムとして、約2時間のプレミアム蔵見学ツアーがあります。料金は5,000円で要予約、蔵人の案内で仕込み蔵や発酵タンクを巡り、水尾4種と飯山にちなんだおつまみのペアリングを楽しめます。仕込みの現場に立ち会う蔵人体験ツアーもあり、2026年度は11月から翌年3月までの指定の土曜に開かれ、料金は25,000円です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県飯山市大字飯山2227
- 創業
- 1873年
- 公式サイト
- www.mizuo.co.jp
出典
sakenomy.jp / mizuo.co.jp / wikipedia.org / nrib.go.jp / nta.go.jp / newswitch.jp
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