東飯田酒造店
代表銘柄:本老の松・小松原 弦戯
長野県
NAGANO
1865年創業
長野県長野市篠ノ井小松原、犀川の河畔に位置する東飯田酒造店は、1865年(慶応元年)に創業した酒蔵です。仕込み水には犀川の伏流水を使用し、原料米には長野県産の「美山錦」を中心に用いています。代表銘柄の「本老の松」について、蔵はふくよかな香りと飲み飽きしないまろやかな味わいを特徴として紹介しており、全国新酒鑑評会での金賞受賞を掲げています。明治6年(1873年)築の酒蔵など4棟が国の登録有形文化財に登録されており、要予約での酒蔵見学も受け入れています。
伝統的な手法を受け継ぎながら、若き兄弟妹による酒造りや長野県の酒蔵ユニット「59醸」としての活動、地元にちなんだ商品開発など、地域に根差した多様な取り組みを展開しています。
東飯田酒造店の歩み
東飯田酒造店は、慶応元年(1865年)に創業した長野市篠ノ井の酒蔵です。創業の地は、いまの長野市篠ノ井小松原にあたり、川中島古戦場と善光寺に近い犀川のほとりにあります。江戸時代の小松原は、犀川の舟運で善光寺平と松本方面を結ぶ港町・宿場町として栄えたといわれる土地で、隣には江戸時代末期創業の西飯田酒造店もあります。社長の飯田慎さんは、蔵が大切にするものとして「品質」「価格」「約束の厳守」を挙げています。
蔵の建物は、2012年(平成24年)2月23日に国の登録有形文化財に登録されました。対象は酒蔵、土蔵、漬物蔵、松の間の4棟です。酒蔵は明治6年(1873年)の建築で、木造平屋一部2階建て、桁行35メートルの大規模な土蔵造です。内部には貯蔵蔵、舟場、酛部屋を備え、犀川畔の歴史的景観をつくっています。1868〜1882年の建築とされる漬物蔵は、酒蔵とともに創業期の様子を伝える土蔵です。土蔵と松の間は明治後期の建築で、松の間は21畳の座敷を中心に良質な松材で普請され、壁には松に鶴の鏝絵が飾られています。
2021年時点で、長野市内の酒蔵で登録有形文化財に登録されているのはこの蔵だけでした。
米づくりにも地域と取り組んできました。平成11年(1999年)、地域活性化グループ「信里未来塾」が50アールの水田で育てた酒米「美山錦」2トンから始まった酒造りは、「信里の夜明け」として今も商品に受け継がれています。信里地区は昔から良質米の産地として知られ、単なる酒造りにとどまらず、地域の未来づくりを目指す取り組みです。
2021年時点の造り手は、社長・飯田慎さんの子どもたち、兄弟妹の3人でした。昭和59年度生まれの三男・飯田淳さんが6代目杜氏を務め、兄の怜さん、妹の美由紀さんとともに、酒の設計から瓶詰めまでを一人ずつ受け持つ責任仕込みで醸していました。淳さんは岩手の南部杜氏のもとで約3年、酒造りを学びました。
長女の美由紀さんは2015年に萌酒をリリースし、蔵は篠ノ井のご当地キャラクター「おしのさん」をラベルに印刷した日本酒なども販売してきました。淳さんは、昭和59年度生まれの長野県の酒蔵の跡取り5人による5人で2015年に結成した「信州59年醸造会(59醸)」に加わり、メンバーが40歳になるまでの10年間、2024年まで、毎年テーマを変えたオリジナル日本酒「59醸酒」の発売などに取り組みました。2022年4月には、兄弟妹3人の新ブランド「小松原 弦戯」の販売を始めています。
酒造りの特徴
仕込み水には、犀川水系の伏流水を使います。ミネラルが豊富な中硬水で、火にかけると水中のカルシウムが蒸し釜に白く付着するほどです。カルシウムやマグネシウムはもろみの中の微生物のえさになるため酒造りに向いており、辛口で輪郭のはっきりした長野らしい酒になると、淳さんは話します。長野市内でこの水系を使う蔵は、この蔵と西飯田酒造店だけです(2021年時点)。
原料米の中心は長野県産の美山錦です。純米吟醸 澄、山廃仕込み 恋、生貯蔵原酒 堅の原料米は美山錦で、大吟醸には山田錦などを使います。酵母は商品ごとに使い分けていて、澄はM310、恋は長野R酵母、堅と本醸造は協会901号です。艶と大吟醸の酵母は年度によって変わります。使用米はすべて国産米で、非食用米は一切使っていません。
米を蒸す工程には、バーナー式の和釜を今も使います。釜の上には最大600キロの米を蒸せる甑をのせ、地下で螺旋状に組んだレンガの間を火が通ることで炎が釜全体にまわり、米の蒸し上がりが均一になります。麹造りは約50時間かけ、真冬は2時間おきに3人が交代で様子を見ます。もろみを搾る圧搾機は、圧力を昔の半分に抑えてじっくり搾っています(2021年時点)。
2021年時点の責任仕込みの主力は3本で、淳さんは山廃仕込みの「恋」、怜さんは純米酒の「艶」、美由紀さんは純米吟醸の「澄」を受け持っていました。ほかに本醸造の佳撰・上撰・辛口、冬季限定のにごり酒「松の雪」と搾りたて無濾過生原酒「若松」、萌酒の「小松原パイン」と「純米吟醸 おしのさん」、夏季限定の酒粕などがあります。
代表銘柄
本老の松
蔵の看板銘柄です。蔵の発表では、全国新酒鑑評会で金賞を受賞しています。蔵の説明では、名は能舞台の鏡板や歌舞伎舞踊の背景を彩る老松に由来し、千古の風雪に耐えて緑を増す松のめでたさにちなみます。本醸造の佳撰・上撰から純米吟醸 澄、山廃仕込み 恋、純米酒 艶、生貯蔵原酒 堅まで揃い、兄弟妹が分担して醸します。澄は軽い吟醸香の純米吟醸酒、恋はリンゴ酸の甘みと酸味の山廃純米酒です。
小松原 弦戯
2022年4月に販売を始めた、兄弟妹3人の新ブランドです。「小松原」は蔵のある地名です。蔵の店舗や通販では扱わず、酒販店のみで販売します。取扱店には長野県内のほか東京都、大阪府、福岡県、神奈川県、福島県の店が並びます。2022年12月に令和4酒造年度の酒の販売が始まり、2023年6月にはその第二弾が発売されました。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵の試飲販売店舗で、日本酒のほか季節商品や蔵オリジナルグッズを扱っています。かつて岩手県などから来た杜氏が使っていた休憩所を改装した建物で、2階には昔の蔵人の生活用品や酒造りの道具が展示されています。「小松原 弦戯」は蔵の店舗や通販では販売していません。
- 補足
- 酒蔵見学は要予約です。見学時間は9時から16時で、所要は約30分、試飲する場合は45〜60分ほどです。定休日は日曜日・祝日で(2023年4月から)、酒造りの時期によってはご案内できない場合があります。試飲は無料ですが、運転される方はお飲みいただけません。定員は20名ほどで、10名以上の団体は1人200円です(20歳未満は無料、2023年5月から)。蔵にお客様専用のお手洗いはありません。駐車場は約7台分です。JR川中島駅から徒歩約20分、上信越自動車道の長野ICから車で約20分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県長野市篠ノ井小松原1724
- 創業
- 1865年
- 公式サイト
- www.motooi.com
出典
naganojoho.com / motooi.com / sakenomy.jp / nagano-cvb.or.jp / ameblo.jp / hakkochoju-nagano.jp / online.bunka.go.jp / city.nagano.nagano.jp / 59jo.com / web.archive.org
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