山内酒造場
代表銘柄:小野櫻・ふかもり
岐阜県
GIFU
岐阜県中津川市に蔵を構える山内酒造場(現・山内酒造株式会社)。創業年は不詳とされていますが、鎌倉時代の落ち武者が土着して酒造りを始めたという伝承があり、江戸時代から続く歴史を持っています。代々受け継がれてきた代表銘柄の「小野櫻」や3・4月限定の「春一番地」に加え、後継者不在の蔵を継いで22代目当主となった大鋸伸行氏が立ち上げたブランド「ふかもり」などを醸造しています。
仕込み水には裏山から湧き出る阿寺断層の超軟水(小野沢の伏流水)を用い、酒米には地元・中津川市産をはじめとする岐阜県産の「ひだほまれ」や「五百万石」を使用しています。和釜に木桶の甑(こしき)を載せて米を蒸し、木舟(佐瀬式)で搾るなど、江戸時代からの伝統的な道具と手造りの工程を大切に守り、少量生産で丁寧な酒造りを行っています。令和4年度の名古屋国税局酒類鑑評会では、燗酒の部で「小野櫻 特別純米 藍ラベル」が優等賞に選ばれました。
山内酒造場の歩み
山内酒造は、木曽谷の入口にあたる美濃坂下に蔵を構えています。信州と飛騨を結ぶ近道が木曽川を渡って北へ延びるこの一帯は「裏木曽」と呼ばれ、蔵は現在の中津川市上野小野沢にあります。
創業年は分かっていません。蔵には、鎌倉から落ち延びた武士がこの山奥に入り、刀を捨てて百姓になり、酒造りを始めたという言い伝えがあります。「山内」の姓は、昔はヤマノウチと読み、北鎌倉の地名にちなんだ呼び名が名前になったと伝わります。江戸時代初期から続く蔵で、江戸時代からの銘柄に「小野櫻」があります。
先代まで21代続いた蔵は、夫婦二人が全工程を手造りし、江戸時代からの造りを守って年に約20石だけを仕込んでいました。後継者がおらず、いずれは廃業するという話になっていた蔵を引き継いだのが、中津川宿の本町通りで酒販店「中山道大鋸」を営む大鋸伸行さんです。
大鋸さんは2021年時点で酒販店を継いで30年になり、全国の蔵元を訪ね歩き、泊まりで造りの手伝いもしてきましたが、造り手の苦労を実感しないまま語る自分に納得できない思いを抱えていました。一方、小さな中津川の街に5つも酒蔵があることを誇りに思い、各蔵の協力を得て「中津川五銘酒」という商品をつくりました。この5蔵のうち、唯一すべて手造りで最も少量しか造っていなかったのが山内酒造で、後継者がおらずいずれは廃業という話を聞き、「私にやらせてください」と蔵を継ぐことを決めました。
50歳で広島の酒類総合研究所の寮に入り、2か月の杜氏の勉強と試験を経て、22代目当主になりました。平成29酒造年度の造りから、大鋸さんが杜氏として酒を造っています。
先代の「小野櫻」「春一番地」に加え、大鋸さん自身の新ブランド「ふかもり」が加わりました。2020年には岐阜県新酒鑑評会(第27回)の純米酒部門で、小野櫻が岐阜県酒造組合連合会の会長賞を初めて受賞しました。2023年の第30回でも、小野櫻が純米酒の部で連合会長賞に選ばれています。令和4年度(第71回)名古屋国税局酒類鑑評会では、燗酒の部で「小野櫻 特別純米 藍ラベル」が優等賞に選ばれました。2024年末の時点でも、大鋸さんは「日本一小さな酒蔵」山内酒造の蔵元として、酒販店と蔵の両方を担っています。
酒造りの特徴
酒米は、地元・中津川市苗木産の米を中心に、岐阜県産の酒造好適米「ひだほまれ」と「五百万石」を使います。ひだほまれは1972年に岐阜県高冷地農業試験場で、ひだみのり、フクノハナ、フクニシキの3種を掛け合わせて生まれた品種です。大粒で耐寒性に優れ、高地での栽培に向いており、タンパク質が少ないため純米吟醸に向くとされます。
仕込み水は、蔵の裏山から湧く超軟水の伏流水「小野沢の伏流水」です。鉄分の多い山を避け、阿寺断層から湧き出る清水を濾過して使っています。酒はすべて純米仕込みで、蔵元は自らの蔵を「世界一と言っても過言では無い程の小さな造り酒屋」と表現しています。
洗米と浸漬は、その日の気温から吸水率を計算し、一度に10キロずつ、ストップウォッチで秒単位に時間を計って行います。米は和釜に木桶の甑(こしき)を載せて蒸します。江戸時代の頃の造りを伝える方法で、全国でも珍しいと蔵は説明しています。酒母のあとは、麹、蒸米、水を3回に分けて加える三段仕込みでもろみを育てます。
搾りは、昔ながらの佐瀬式の木舟で行います。最初はもろみの重さだけで搾り、約3日かけてゆっくりと搾ることで、繊細で上品な新酒を搾ります。木舟搾りはこの蔵の特徴でもあり、木桶の甑や木舟など昔ながらの木の道具を使い続ける、少量生産の手造りの蔵です。
代表銘柄
小野櫻
江戸時代からの銘柄で、先代から受け継がれる蔵の看板です。ひだほまれを使い、精米歩合55%の特別純米酒を藍ラベルとして造るほか、生酒や、しぼりたての無濾過生原酒もあります。岐阜県新酒鑑評会では2020年の第27回と2023年の第30回に純米酒の部で連合会長賞、令和4年度の名古屋国税局酒類鑑評会の燗酒の部で優等賞を受けています。
ふかもり
22代目当主の大鋸伸行さんが立ち上げた新ブランドです。五百万石を使い、精米歩合55%の純米吟醸酒として、火入れ、生酒、無濾過生原酒の3タイプで造っています。蔵の手造りの工程と木舟搾りで仕込まれ、食中酒向きの辛口の酒として販売されています。小野櫻が先代から続く銘柄であるのに対し、ふかもりは大鋸さんが蔵を継いでから世に出した酒です。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵のお酒は、中津川市本町の酒店「中山道 大鋸」のウェブサイトから購入できます。市内の中津川市栄町にあるにぎわいきき酒処でもきき酒ができます。
- 補足
- 蔵見学は無料で、昔ながらの木製の酒造道具を展示しています。事前予約制で、電話は0573-65-2619です。最寄りはJR中央線の坂下駅で、濃飛バス下呂行きに乗り、小野沢バス停から徒歩2分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岐阜県中津川市上野小野沢134番地1
- 公式サイト
- yamauchisyuzou.com
出典
nakatsugawa.town / yamauchisyuzou.com / gpc-gifu.or.jp / anchorman-inc.tokyo / gifuproduct.jp / chunichi.co.jp / readyfor.jp / nta.go.jp / keihoweb.com / corne-sake.hatenablog.com
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