今井酒造店
代表銘柄:若緑・五岳
長野県
NAGANO
1691年創業
長野県長野市小島に所在する今井酒造店は、元禄4(1691)年に創業した老舗酒蔵です。北信濃の善光寺平に位置し、犀川の清らかな水や、美山錦・山恵錦などの長野県産の原料米を使用しています。創業以来「味本位の酒造り」を一貫して掲げ、全量特定名称酒(本醸造・純米酒・吟醸酒)を全量手造りで製造しています。大量生産に頼らず、熟練の技術と手間を惜しまない伝統の製法を守り続けている点が特徴です。代表銘柄には、創業以来地元で長く親しまれている「若緑」のほか、「五岳」があります。
酒類鑑評会においても第91回関東信越国税局酒類鑑評会の純米吟醸酒の部で「五岳」が優秀賞を受賞するなど、品質の高さが評価されています。
今井酒造店の歩み
今井酒造店は、元禄4年(1691年)に創業した長野市小島の酒蔵です。善光寺に関わる仕事をしていた先祖が、現在の長野市小島にあたる地に移り住んで酒造りを始めました。この地に居を構えた理由について蔵は、江戸時代に宿場町として栄えた隣村の長沼と善光寺を結ぶ道筋を考えてのことだったのではないかと推測しています。
弘化4年3月24日(1847年5月8日)には善光寺平を震源とする直下型の大地震が起こり、蔵も大きな被害を受けました。このとき多くの記録や文献が失われたため、江戸時代の当主の名前ははっきり分かっていません。明治から昭和初めにかけては九代目栄左ェ門、十代目金作が当主を務め、肥料問屋や生糸を扱う商売も営んでいましたが、十代目の代には世界恐慌もあって経営が苦しい時期がありました。
昭和初めから昭和63年までは十一代目大太郎、十二代目千仭が当主でした。十一代目の代に経営を立て直し、十二代目の代の昭和30年ごろには、当時はまだ珍しかった純米酒に力を入れ始めました。純米酒への取り組みは、長野県内でも早い取り組みとされています。酒粕を使った漬物づくりに加え、昭和60年ごろからは米焼酎と、地元の特産である杏を原料にしたワインの製造も始め、お客様の多様な声に応える商品づくりを進めました。会社としては昭和25年(1950年)6月5日に株式会社として設立されています。
平成3年からは十三代目の用一の代になり、現在の代表取締役社長は今井孝です。日本酒の需要は昭和40年代後半をピークに、食生活の洋風化やお酒の多様化などで落ち込み、厳しい状況が続いています。そうしたなかで、長野県産の美山錦を使った純米吟醸「五岳」を醸し、2017年には長野県木島平産の金紋錦を使った純米大吟醸「五岳」も生み出して、「五岳」を「若緑」と並ぶもう一つのブランドに育てようとしています。地元の志を同じくする小売店の皆さんと米を栽培し、そのお米で造る「風の露」も立ち上げました。
特別本醸造の「風の露 生原酒」は令和3年度から山恵錦を100パーセント使用しています。また、杏ワインの酵母を、従来のものから杏から抽出した酵母に切り替え、味わいの向上を図っています。主力ブランド「若緑」の名は江戸時代の謡曲にちなむもので、「理想を高く、進取の気持ちを持ち若さを忘れずに」という思いが込められています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成21、22、27、30、令和元、3、5、6、7の各酒造年度の9回、「若緑」が入賞しています。うち金賞は令和3酒造年度と令和6酒造年度の2回です。関東信越国税局酒類鑑評会では、第78回(平成19年)から第80回(平成21年)までの3年連続で優秀賞を受けています。部門は第78回が燗審査の部、第79・80回が燗酒の部です。
第83〜86回(平成24〜27年)も4年連続の優秀賞で、令和2年の第91回、令和4年の第93回、令和6年の第95回、令和7年の第96回でも優秀賞に選ばれ、第95回と第96回は吟醸酒の部、純米吟醸酒の部、純米酒の部の3部門すべてでした。長野県清酒品評会では、2024年の第71回から2026年の第73回までに、吟醸酒部門と純米吟醸酒部門で計4回、長野県知事賞を受けています。ワイングラスでおいしい日本酒アワードのプレミアム純米部門では、「五岳 特別純米酒」が2023年と2025年に最高金賞、2024年に金賞でした。
酒造りの特徴
今井酒造店は、善光寺平に広がる北信濃の地で、戸隠、飯綱、黒姫、妙高、斑尾の北信五岳に囲まれ、大水脈である犀川の清冽で豊かな清水に恵まれた環境にあります。地元長野県産の米を中心に、全量手造りで、特定名称酒だけを造っています。特定名称酒は米の等級や麹の使用割合、醸造アルコールの量が決められ、糖類などの添加物を使わない品質基準のあるお酒で、純米酒、本醸造酒、吟醸酒などがこれにあたります。
造りには甑や和釜といった昔ながらの道具を使い、可能な限り手作業で仕込んでいます。蔵が伝統の味と考える甘味のある旨口の酒に仕上げるため、三段仕込みのあと、発酵が終わる直前に四段目のお米を加えています。ただし吟醸酒や辛口の酒など一部のお酒では、この四段目の仕込みは行っていません。「大辛口」は吟醸酒と同じ低温仕込みで、じっくり発酵させています。
酒造りの一年は、11月に日本酒の製造を始め、1月に大吟醸と純米大吟醸の仕込みに入り、2月に搾り、3月に酒造りを終える流れです。1月には戸隠山の雪の中にお酒を埋める雪中酒や、雪囲い酒の埋蔵も行い、雪囲い開きは3月、雪中酒の掘り出しは4月です。5月に全国新酒鑑評会、夏に夏酒の出荷、7月に初呑み切り、9月にひやおろしの出荷と長野県清酒品評会、10月に関東信越国税局の鑑評会、12月に新酒の発売と板粕の販売が続きます。
日本酒のほかに、杏ワイン(6月に仕込み)、米麹だけで造る甘酒、自社醸造の特別純米酒に長野県産りんご果汁を合わせたリキュール「cuore di mela」、酒粕を使った粕漬けなども手がけています。季節の酒には、搾ったままで濾過も火入れもせず瓶詰めする「しぼりたて」や、搾る直前の醪を網でこしてそのまま瓶詰めした、酵母が生きた「奥信濃にごり酒」があります。「若緑」の生貯蔵酒は、搾ったあと生のままマイナス3度で貯蔵し、出荷の直前に一度だけ熱処理をします。
代表銘柄
若緑
蔵の代表銘柄で、創業以来、この地で飲み継がれてきた地酒です。定番の「若緑」本醸造は長野県産米を使った、飲み飽きしない濃いめの甘口と旨味のバランスが特徴で、冷やしてもお燗でも楽しめます。大吟醸や、搾った後に生のまま低温で貯蔵する生貯蔵酒、特別純米酒を十年熟成させた大古酒もあります。「若緑」の名は江戸時代の謡曲にちなみます。
五岳
「若緑」と並ぶもう一つのブランドに育てようとしている純米系の銘柄です。純米吟醸は長野県産の美山錦を使い、柔らかな香りとすっきりした味わいが特徴です。山恵錦を39パーセントまで磨いた純米大吟醸、山恵錦の特別純米酒もあり、特別純米酒はワイングラスでおいしい日本酒アワード2023で最高金賞を受けています。
見学・購入
- 補足
- お電話でのお問い合わせは平日の8時30分から17時15分まで受け付けています。商品は蔵の公式通販サイトや、長野市内を中心とした酒販店、スーパーなどで取り扱われています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県長野市大字小島62
- 創業
- 1691年
- 公式サイト
- www.wakamidori.com
出典
sipory.jp / wikipedia.org / wakamidori.com / naganojoho.com / rakuten.co.jp / naganosake.jp / nta.go.jp / pref.nagano.lg.jp / finesakeawards.jp
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