平和錦酒造
代表銘柄:金泉・PEACE
岐阜県
GIFU
1850年創業
岐阜県加茂郡川辺町に所在する1850年(嘉永3年)創業の酒蔵です。創業当時の姿を残す母屋や2棟の酒蔵があり、厚さ約40cmの土壁を持つ土蔵倉の特性を生かして年間を通じて温度変化の少ない環境で酒造りを行っています。大型設備を持たず昔ながらの道具を用い、南部杜氏の伝統技術と、遠見山の南天の滝から注ぐ伏流水(2022年時点)、五百万石や山田錦などの酒造好適米を中心に手造りされています。
代表銘柄には、華やかで清らかな泉に由来し深い味わいを持つ「金泉」や、全量無濾過原酒を展開する新ブランド「PEACE(ピース)」などがあります。2025年4月に株式会社日本酒キャピタルへ株式と事業を譲渡し、同年6月から新体制となりました。2026年1月には金泉を新しいロゴで刷新し、PEACEとあわせて新酒を発表しています。
平和錦酒造の歩み
平和錦酒造は、飛騨川沿いの岐阜県加茂郡川辺町下麻生にある酒蔵で、嘉永3年(1850年)の創業です。背後には、山頂からの眺めが「岐阜のグランドキャニオン」と呼ばれる遠見山がそびえています。江戸時代から続く土蔵倉を、今も現役で使っています。
13代目として蔵を率いたのは前島正秀氏です。国会議員の秘書を務めたのち蔵に入り、仕込みや分析は杜氏から、経営は税務署や独学で学びました。蔵の酒は、南部杜氏から受け継いだ濃く力強い味わいを持ち味としてきました。かつては日本酒度マイナス3前後の甘口が多く、2025年初めの時点では±0前後が中心です。出来たてを飲んでほしいという考えから、出荷の約半分は生酒でした。先代の杜氏は30年以上この蔵一筋で醸し続けた南部杜氏で、その下で学んだ13代目の甥の山田皓氏が杜氏を継いでいます。
かつての銘柄には「平和錦」や「アサノツユ」がありましたが、2025年初めの時点では造られていません。特別純米酒「飛騨路の寒椿」は2022年時点で誕生から約20年がたつ銘柄で、前島社長は2025年初めに一押しの酒として挙げていました。同じ「飛騨路の寒椿」の名を持つ本醸造の酒は、第56回名古屋国税局酒類鑑評会(平成19年11月発表)の本醸造酒の部で優等賞に選ばれています。
2025年4月24日、平和錦酒造は株式と事業を株式会社日本酒キャピタルに譲渡しました。2025年6月に新体制で活動を始め、同社グループ5番目の蔵となっています。新体制の発足時には、田中文悟氏が代表取締役社長に、前島正秀氏が取締役会長に就きました。日本酒キャピタルは、2025年時点で国内5つの清酒蔵・焼酎蔵を傘下に持つ持ち株会社です。創業175年の節目に、この地で酒造りを続けて岐阜・加茂・川辺の名前も県外・海外に伝えていく、と蔵は表明しました。
新体制のもとで新ブランド「PEACE」が立ち上がり、2026年1月には金泉を新しいロゴで刷新し、PEACEとあわせて新酒を発表しました。PEACEは社名の「平和錦」から名を取った銘柄です。令和7酒造年度は、第3弾のブルーと第4弾のレインボーが2026年3月12日に同時発売されています。
酒造りの特徴
蔵の小ささを生かし、大型設備を使わない手造りを守っています。母屋と酒蔵2棟は創業時のもので、厚さ約40センチの土壁が外気を遮って、蔵の中の温度をほぼ一定に保ちます。使う道具は使い込まれた年代物で、当時の木桶や道具も残っています。一度に造れる量は限られ、製造石数は令和6酒造年度で100石です。仕込みは南部杜氏の山田皓氏が担っています。譲渡前は、杜氏と蔵人の2人で仕込みを行っていました。
米は五百万石を基本とし、大吟醸には山田錦を使います。2022年時点では、五百万石は主に富山県産でした。譲渡前の2025年初め、杜氏は、使い慣れていること、そして先代から地域に愛される酒を目指してきたことを五百万石を使う理由に挙げ、昔から地域で愛された味はおいそれとは変えられないと語っていました。蔵には昔から居ついた酵母があり、譲渡前の杜氏はM310酵母を用いて、基本は酵母に任せ、道を外れそうなときだけ軽く手を入れる造りをしていました。仕込み水は、遠見山の落差約20メートルの直瀑「南天の滝」から注ぐ伏流水です。
2022年時点では、やさしい軟水のため発酵がゆっくり進み、柔らかくも味わい深い酒になるとされていました。
譲渡前の2025年初め、杜氏は、賞を狙う酒を造ると蔵の味がぶれやすいと考え、当時の味を守り続けることを大切にしていました。量販店の安売りの土俵には乗らない、という姿勢も語っていました。譲渡前の蔵売店には、日本酒や梅酒など約40種類の商品が並び、30年以上熟成させた秘蔵の古酒や、女性客の声から生まれた柚子のにごり酒もありました。
新体制のPEACEは、全量無濾過原酒で瓶貯蔵、販売店と数量を限った商品です。令和7酒造年度のPEACEブルーは、五百万石を精米歩合55パーセントまで磨き、きょうかい901号酵母で仕込んだ純米吟醸の無濾過生原酒で、長年造り続けてきたにごり酒の知識を生かした活性にごりのスパークリングです。PEACEレインボーは山田錦を精米歩合45パーセントまで磨いた純米大吟醸の無濾過生原酒で、シリーズでただ一つの純米大吟醸です。
代表銘柄
金泉
蔵を代表する銘柄で、名は華やかにして清らかな泉に由来します。蔵は「無骨な酒」と位置づけ、奥行きと深みのある味わいで飲み飽きないと語ります。生原酒とにごり原酒(ともに精米歩合70パーセント、19度)、五百万石の特別純米(60パーセント)と超辛口(60パーセント、20度)、山田錦の大吟醸(45パーセント)と純米大吟醸原酒(35パーセント)が揃い、生原酒は「金泉の代表作」です。
PEACE
社名の「平和錦」から名を取った新ブランドで、全量無濾過原酒、瓶貯蔵、販売店と数量を限った商品です。米の旨味をたっぷり醸した、フレッシュでジューシーな酒です。新米のコシヒカリで仕込む純米吟醸ホワイトが代表作で、ほかにあきたこまちの特別純米ファイヤー、美山錦のグリーン、五百万石のスパークリングブルー、山田錦の純米大吟醸レインボーがあります。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵に売店を構え、公式オンラインストアでも購入できます。
- 補足
- 予約をすれば酒造りの現場を見学できます。2026年春の時点では毎月、蔵祭りを開いており、2026年3月は21日と22日の2日間、午前9時30分から午後3時30分まで、新酒の販売を中心に行われました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岐阜県加茂郡川辺町下麻生2121
- 創業
- 1850年
- 公式サイト
- heiwanishiki.com
出典
gifusake.fun / heiwanishiki.com / facebook.com / satoyamaschule.com / youtube.com / hands-on-local.com / nihonshucapital.co.jp / tarutsuna.jp / nta.go.jp / web.archive.org / suntec-ibi.com
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