SAKE BREWERY — YAMAGUCHI
阿武の鶴酒造
紹介
山口県阿武郡阿武町に位置する阿武の鶴酒造は、1897年に創業した酒蔵です。日本酒需要の低迷に伴い1983年に製造休止へ追い込まれましたが、元デザイナーである6代目の三好隆太郎氏が他蔵での修行を経て、約34年ぶりとなる2016年に自社醸造を再開・復活させました。
地元の阿武町産山田錦や伊良尾山の弱軟水を仕込み水に使用し、手作業を中心とした丁寧な酒造りを行っています。代表銘柄には創業以来の「阿武の鶴」をはじめ、6代目が新たに立ち上げた「三好」、山口県出身のイラストレーター五月女ケイ子氏とコラボレーションした「三女子」などがあります。
近年は国内外で高い評価を受けており、スペインの国際コンテスト「CINVE」での金賞受賞や「MILANO SAKE CHALLENGE」での「三好 Green」のトリプル受賞、「SAKE COMPETITION 2024」における「三好 Black」のシルバー受賞など、多数の受賞歴を誇ります。
歴史
阿武の鶴酒造は、日本海に面した山口県阿武郡阿武町奈古の地で1897年に創業しました。戦後も酒造りを続けていましたが、日本酒需要の低迷を受けて1983年の冬を最後に自社での醸造を休止し、以降は他蔵から仕入れた酒を自社銘柄として販売する形で営業を続けていました。
転機となったのは、6代目にあたる三好隆太郎氏の帰郷です。三好氏は1983年に阿武町で生まれ、東京の大学で建築を学んだのち、大手アパレル企業でデザイナーとして勤務しました。2008年に退職した後は日本酒造りを志し、千葉県、埼玉県、岐阜県、青森県の酒蔵を渡り歩いて修業を重ねました。岐阜での修業中、実家の阿武の鶴酒造が酒造免許を保持したままであることを知り、生まれ育った土地で酒造りを再開しようと決意し、2014年に帰郷しました。
帰郷後は、長年使われていなかった蔵の片付けと設備の整備に約1年を費やしました。当初は金融機関からの融資を断られるなど資金面の課題に直面しましたが、山口県内で「東洋美人」を醸す澄川酒造場の澄川宜史氏が自社設備の使用を申し出て支援し、同酒造場での試験醸造を経て再起の道筋が開けました。2017年4月、阿武の鶴酒造の蔵から34年ぶりに甑の湯気が上がり、同年5月に復活後初めての新酒が完成しました。これと同時に、三好氏自らが蔵元杜氏として手がける新ブランド「三好」も立ち上げられました。翌酒造年度からは澄川酒造場から借りていた麹室に代わり、自社の麹室を使用した醸造に移行しています。
復活後の「三好」は「SAKE COMPETITION 2017」のラベルデザイン部門で7位に入るなど早くから注目を集めました。2022年には山口県出身のイラストレーター五月女ケイ子氏とのコラボレーションにより新銘柄「三女子」を発売するなど、地元とのつながりを生かした商品展開を続けています。
酒造り
醸造は三好隆太郎氏が蔵元杜氏として一貫して手がけています。仕込み水には蔵の井戸水を使用し、使用米はすべて山口県産で、その9割は蔵から目と鼻の先にある水田で栽培された山田錦が占めています。三好氏は「地元の水と米で造ることが地酒のあるべき姿」と語っており、蔵では「メイド イン 阿武」を掲げた酒造りを志向しています。
復活当初は近隣の澄川酒造場から麹室を借りて醸造していましたが、翌酒造年度からは自社の麹室を整備し、仕込みから麹づくりまで蔵内で完結する体制に移行しました。蔵元挨拶では「飲んで頂いた方に寄り添える日本酒を目指し精進して参ります」と述べられており、丁寧な仕込みによって米の旨味を引き出しながら、飲み手に寄り添う酒造りを大切にしています。
蔵データ
代表銘柄
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- 三女子
三好:「三好」は、34年ぶりの酒造り再開と同時に三好隆太郎氏が立ち上げた新ブランドです。純米吟醸のGreenは「後味に煌く苦みと辛味が味わいを引き締める」味わい、純米のBlueは「米の旨味を生かした濃厚な味わいに、柔らかな酸が爽やかな」味わいとされています。CINVEではGreenが金賞、Blueが銀賞を受賞したほか、SAKE COMPETITION 2024ではBlackが純米吟醸部門でシルバーを受賞しています。
三女子:「三女子」は、山口県出身のイラストレーター五月女ケイ子氏とのコラボレーションにより2022年に発売された純米大吟醸です。旨口・辛口・甘口の3タイプがあり、原料米は阿武産山田錦を100パーセント使用、精米歩合45パーセントで醸されています。ラベルには乾杯する3人の女性キャラクターが描かれ、皆で集まりにくい時期にも「乾杯の笑顔」を届けたいという思いが込められています。
阿武の鶴:「阿武の鶴」は、1897年の創業以来受け継がれてきた蔵の看板銘柄です。休造を経て2017年に醸造が再開されて以降も、米の旨味を生かした食中酒向けの酒造りが受け継がれており、「Orizuru(おりがらみ)」などの商品を通じて蔵の「メイド イン 阿武」の酒造りを伝えています。
見学・購入
なし
JR山陰本線奈古駅から徒歩約5分に位置しますが、蔵での直売や酒蔵見学は行っていません。商品は近隣の酒販店(リカーズみよし)などで購入できます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
hagi-migaki.com / sakenomy.jp / y-shuzo.com / abunotsuru.jp / chihososei-journal.jp / montbell.jp / prtimes.jp / todoroki-saketen.com / jp.sake-times.com / hagi-gochi.jp / y-sakagurameguri.com / sakeai.com / yamatoya-e.com
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