中村酒造
代表銘柄:宝船
山口県
YAMAGUCHI
1902年創業
山口県萩市に位置する中村酒造株式会社は、明治35年(1902年)に初代・中村聞輔によって創業された酒蔵です。幕末に造成された「姥倉運河」のそばに蔵を構え、萩の春の風物詩である「しろうお漁」にちなみ「しろうおの里」の酒蔵としても親しまれています。
代表銘柄の「宝船」は、もともと同社が所有していた漁師町の蔵で大漁祈願を込めて醸されていた銘柄に由来します。漁師町で育まれた歴史から、全体に辛口の酒質を特徴としており、伝統を守り継ぎながら丁寧な酒造りが行われています。原料米には「山田錦」のほか、山口県オリジナルの酒米「西都の雫」なども使用されています。
また、技術面でも高い評価を受けており、全国新酒鑑評会では平成16年に「宝船」で金賞を受け、蔵の発表では平成8年・12年にも金賞を受賞しています。広島国税局清酒鑑評会では平成16年から10年続けて入賞・優等賞に選ばれました。めでたい銘柄名から、かつては市内の祝宴の鏡開きで使うのが通例でした。
中村酒造の歩み
中村酒造は、山口県萩市の城下町にある小さな蔵元です。蔵は、長州藩13代藩主の毛利敬親が安政2年(1855年)4月に造成した「姥倉運河」のすぐそばにあります。この一帯では昔から、春になると四ツ手網で獲る萩の風物詩「しろうお漁」がさかんで、新酒ができあがる頃に漁は最盛期を迎えます。蔵が「しろうおの里」の酒蔵と呼ばれるのは、この風景にちなんでいます。
創業は明治35年(1902年)8月で、初代の中村聞輔が創立しました。大正3年に酒造業を始め、昭和28年12月に法人化して中村酒造株式会社となりました。かつての同社は、いまの萩市椿東新川の蔵のほか、漁師町の越ヶ浜と、現在の長門市仙崎にも酒蔵を持っていました。
代表銘柄「宝船」は、このうち越ヶ浜の蔵で、大漁祈願を込めて醸されていた銘柄です。椿東新川の蔵で造られていた銘柄は「萩正宗」でしたが、3つの蔵を現在の場所に集約するとき、「萩正宗」は「宝船」に統一されました。大漁のしろうおを載せて帰ってきた船を人々が祝い喜ぶ情景に、幸せや繁栄を願う気持ちを重ねた名です。蔵は、明治の頃から萩で「宝船」を造り続けてきたと説明しています。かつて萩市内の祝宴の鏡開きでは、「宝船」を使うのが通例でした。
曾祖父の代に酒造りを始めてから四代目にあたる世代が、杜氏を引き継いでいます。2021年時点では、経営者杜氏として親子2人で昔ながらの酒造りを守りつつ、新しい時代の日本酒造りにも挑戦しています。代表取締役社長は、2016年には中村正彦さんでしたが、現在は中村雅一さんです。目指すのは「いつまでも地元に愛される酒」を作り続けることで、背伸びも萎縮もせず、謙虚に酒造りに向き合う姿勢を掲げています。
全国新酒鑑評会では、平成16年(開催年、以下同じ)に金賞を受け、平成17・18・20・21・23年にも入賞しています。蔵の発表では、平成8年と平成12年にも金賞を受けています。広島国税局清酒鑑評会では、平成16年から25年まで10年続けて「宝船」が選ばれました。平成16〜18年は入賞、平成19年以降は優等賞です。吟醸酒と純米酒の部のほか、平成20年以降は純米吟醸酒、平成25年は大吟醸酒でも受賞しています。
酒造りの特徴
主力の吟醸系は、山口県萩産の酒造好適米「山田錦」を使います。大吟醸と純米大吟醸「しろうおの里」は山田錦100%で精米歩合35%、純米吟醸も山田錦100%で精米歩合60%に仕上げ、酵母は1801を用います。大吟醸と純米大吟醸は低温でじっくりと醸します。大吟醸はフルーティーな香りときめ細かな味わいで、のどごしがすっきりしており、蔵は冷酒で楽しむことを一番のおすすめにしています。純米大吟醸は辛さを控えた、飲みごたえのある味わいです。
山口県独自の酒米「西都の雫」も使います。「西都の雫」は、幻の米と呼ばれる「穀良都」を母方に、「西海222号」(親は山田錦)を父方として交配選抜された品種です。これを100%使った純米酒は精米歩合60%、協会9号系酵母で、ふくらみのある味わいと熟成感があり、ひやかぬる燗に向きます。本醸造も「西都の雫」を原料米とし、精米歩合60%、日本酒度+5.0のやや辛口で、糖類を一切使わず、純良な米と純粋な水に味の調整に必要な最小限のアルコールだけを加えて造ります。
酒質は、漁師町で愛されてきた歴史から全体に辛口で、「宝船 辛口」は日本酒度+5.0、酸度1.4、アルコール分15度以上16度未満で、糖類を一切使わないすっきりした酒です。一方、蔵の主銘柄である上撰は日本酒度+1.0、酸度1.5のやや甘口で飲みやすく、新築祝や上棟祝、新船祝などの祝い事の贈答に向く縁起酒として地元で親しまれ、ふくヒレ付きの「上撰 ふくヒレ酒」は山口県の土産として人気です。普通酒の原酒を詰めた「長州志士」は、アルコール分19度以上20度未満、やや甘口でコクがあります。
長く大津杜氏が酒造りを担い、その後は蔵の親子が引き継いで、時代に合わせた多様な酒質にも挑んでいます。
萩市出身の実業家、藤田傳三郎の偉業をたたえる市民グループ「香雲の会」の活動の一環として、純米吟醸「藤田傳三郎」も醸しています。山田錦100%、精米歩合60%で、ラベルには翁の自署を用いています。2021年3月には、萩市と阿武町の6蔵が造る日本酒が国の地理的表示「GI 萩」に指定され、中村酒造もその1つです。萩市と阿武町の集落営農法人と酒造会社が連携する萩酒米みがき協同組合にも、酒造会社として名を連ねています。
代表銘柄
宝船
代表銘柄で、漁師町の越ヶ浜で大漁を祈って醸されていた酒名に由来します。蔵を現在の椿東新川に集約する際、もう一つの銘柄「萩正宗」も「宝船」に統一されました。定番の上撰は日本酒度+1.0のやや甘口、「宝船 辛口」は+5.0で、辛口は糖類を一切使いません。大吟醸と純米大吟醸「しろうおの里」は萩産山田錦を精米歩合35%まで磨き、西都の雫を使った純米酒や本醸造、純米吟醸、純米吟醸「藤田傳三郎」もそろいます。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵で販売しています。定休日は日曜・祝日で、土曜も休むことがあります。
- 補足
- 見学は通年受け付けており、事前の予約が必要です。蔵の内部見学と工程の説明、試飲や販売があり、団体も歓迎しています。大型バスで来る場合は、蔵へ入る道が難しいため事前に相談が必要です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 山口県萩市大字椿東3108-4
- 創業
- 1902年
- 公式サイト
- shirouo.jp
出典
hagishi.com / y-shuzo.com / hagi-gochi.jp / hagi-migaki.com / ymtc-webstore.jp / y-sakagurameguri.com / shirouo.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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