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松井屋酒造場

代表銘柄:睦鳥・半布里戸籍・加治田城

岐阜県

GIFU

1795年創業

松井屋酒造場の建物
松井屋酒造場の建物(2024年撮影)「Matsuiya Sake Brewery ac (1).jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

岐阜県加茂郡富加町に所在する松井屋酒造場は、寛政7年(1795年)創業とされる歴史ある酒蔵です。

江戸時代の町家の佇まいを今に残す主屋(1795年建築)や酒蔵2棟(約300年前および約100年前建築)の計3棟と、酒造用具や酒造文書は「富加の酒造用具及び酒造場 附文書」として岐阜県の重要有形民俗文化財に指定されています。酒造時期以外は「松井屋酒造資料館」として一般公開されており、多数の酒造道具や昔の生活道具が展示されています。

造りの面では、和釜や木製の甑を用いた蒸し米、手作業による洗米など、昔ながらの道具と手法を守り、家族中心の丁寧な仕込みを行っています。

代表銘柄の「睦鳥(むつみどり)」は、夫婦円満の象徴であるオシドリにちなみ、家庭円満や末長い幸せを願って名付けられたお酒です。このほか、地域の歴史にちなんだ純米酒「半布里戸籍」や本醸造酒「加治田城」、地元産の古代米で造る「黒米酒」などを手掛けています。

松井屋酒造場の歩み

岐阜県加茂郡富加町の加治田は、美濃から飛騨へ通じる街道の要衝にあたります。戦国時代には織田信長の中濃攻めの要衝として、江戸時代には宿場町として栄え、近隣の村々の中心でした。加治田城の麓に広がる静かな町並みは、戦国時代の城下町を思わせます。

江戸時代、この地で酒造業を営んでいたのが「松井屋」と「文之字屋」という地元の有力者です。二家は名字帯刀を許され、村の大部分の土地を所有する地主でもありました。そのうち松井屋が、今の松井屋酒造場として当時の酒蔵を使いながら酒造りを続けています。

主屋は寛政7年(1795年)の建築です。創業も同じ寛政7年(1795年)とされています。大戸や蔀戸、鬼格子といった江戸時代の町家の佇まいを今に残し、土間には六間半(約11.7メートル)の一本物の大梁が架かります。酒蔵のうち一棟は、鬼瓦に彫られた寛政9年(1797年)の年号と、棟束の守り札に書かれた寛政7年の年号から、江戸時代中期の寛政年間に建てられたと考えられています。もう一棟は約百年前の建物です。

明治以降に酒造用具の機械化が進むなかでも、松井屋は伝統的な用具で酒造りを続けました。そのため、仕入れ、仕込みから出荷までの道具がほとんどそろって残っています。毎年冬には越後から杜氏と蔵人を招いて仕込んできましたが、杜氏の高齢化などで迎えるのが難しくなり、11代当主の酒向嘉彦さんが35歳で蔵元杜氏となって、家族で守る小さな蔵になりました。

酒向さんは蔵に残っていた7千点余りの酒造用具と生活用具を数年かけて整理し、酒造期以外に蔵を開放する「松井屋酒造資料館」を1990年に開きました。平成7年(1995年)6月には、主屋と酒蔵2棟の計3棟、酒造用具3,143点、酒造文書459点が「富加の酒造用具及び酒造場附文書」として岐阜県重要有形民俗文化財に指定されています。江戸時代の酒造りのほぼ全工程の道具と、酒造りを営む酒蔵が一体で残り、いまもそこで酒造りが続いている希有な民俗資料として指定されました。

酒造りの特徴

松井屋酒造場の酒は、三百年の歴史を持つ酒蔵で、昔の道具を使い、昔ながらの手法で丁寧に仕上げられます。家族だけで造っており、ほとんど流通していません。自家精米を行い、洗米も手作業です。蒸しは和釜と木製の甑で行い、蒸した米は手で担ぎ、木の櫂棒でもろみを醸します。搾りは袋をつるし、1つのタンクを5〜7日かけて搾ります。江戸時代からほぼ変わらないこの製法を、2023年時点では家族4人で守っています。

麹づくりでは、米のうまみがじっくり出るよう温度管理に手間をかけます。もろみは「前緩後急」の経過を忠実に守ります。炭素濾過をしないため、お酒にはほんのりと色がつき、旨味がしっかり残ります。

資料館として公開されている釜場、槽場、麹室などは、現在も酒造りで実際に使われています。米を蒸す和釜や桶、櫂といった展示品にも、いまも現役の道具が多く含まれます。酒造りの時期は12月上旬から翌年1月末頃までで、この間は資料館の見学ができません。

地元の富加町で採れた古代米を使うのも、この蔵の特徴です。黒米酒は黒米の淡い色合いと深くまろやかな味わいが持ち味で、黒米・赤米を使った雫搾りの数量限定酒も造ってきました。このほか、にごり原酒は数量限定で、とろけるような舌触りと芳醇な旨味が身上です。富加町の梨を日本酒に漬け込んだリキュールも造ってきました。酒粕で漬けたうりの漬け物「松井屋のうり娘」も手がけています。

代表銘柄

睦鳥

蔵の代表銘柄で、上撰の清酒です。名前は、夫婦仲のよいことで知られるオシドリのように、家庭円満と末長い幸せが続くようにとの願いに由来します。昔から親しまれてきた、すっきりとした口当たりのお酒です。1.8リットル瓶と720ミリリットル瓶があり、蔵の店舗でも購入できます。

半布里戸籍

富加町ゆかりの銘柄として生まれた、日本最古の戸籍「半布里戸籍」にちなむ純米酒です。結婚や出産、新しい家族のお祝いに親しまれています。精米歩合は70%、酒米は美山錦で、2023年時点では長女の嫁ぎ先である長野市の農家が育てています。まろやかな甘みと柔らかな旨味が広がる味わいです。ラベルの文字は、蔵元の長女が中学生のときに書いたものです。

加治田城

富加町ゆかりの銘柄として生まれた、織田信長と深い関わりがあった加治田城にちなむ本醸造酒です。加治田の歴史を感じさせる香り豊かなお酒で、すっきりとした飲み口の辛口に仕上げています。ラベルの文字は、蔵元の次女が中学生のときに書いたものです。1.8リットル瓶と720ミリリットル瓶があります。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵の店舗(酒の販売)は10時から18時まで、月曜日と1月1日が定休日です。
補足
松井屋酒造資料館は10時から16時まで、月曜日が休館です。入館料は大人300円、中学生以下150円で、団体割引と無料駐車場があります。酒造時期の12月上旬から翌年1月末頃は見学できません。例年、2月中旬に酒蔵開きを行い、2月4日の立春から3月上旬までおひなさま展を開いています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岐阜県加茂郡富加町加治田688-2
創業
1795年

出典

sakadachibooks.com / jimdofree.com / wikipedia.org / gifuproduct.jp / furusato-tax.jp / town.tomika.gifu.jp / matsuiya-sake.jimdofree.com / gifureki.com

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