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諏訪御湖鶴酒造場

代表銘柄:御湖鶴・國譲り・御湖鶴くろ

長野県

NAGANO

1912年創業

大正元年(1912年)に前身の菱友醸造が創業し、創業者が諏訪湖に飛来する鶴を夢に見たことにちなんで「御湖鶴」と命名された。菱友醸造は2017年4月に事業を停止したが、2018年に福島県の磐栄運送株式会社が事業を継承し、「諏訪御湖鶴酒造場」として新体制で再スタートを切った。旧蔵を改修して醸造を再開したのち、老朽化した蔵を建て替え、近代的な設備で酒造りを行っている。酒造りでは「心ときめく酒」をテーマに掲げ、契約農家によって栽培された原料米を使用。

日本酒はすべて純米酒以上で醸造し、0.1℃単位の温度管理と衛生管理を徹底している。受賞歴としては、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2021のSAKE部門において、「御湖鶴 純米吟醸 山恵錦」が「チャンピオン・サケ」を受賞したほか、全国新酒鑑評会で令和4・令和6酒造年度に金賞、第95回関東信越国税局酒類鑑評会(2024年)の純米吟醸酒の部で最優秀賞を受賞している。

諏訪御湖鶴酒造場の歩み

諏訪御湖鶴酒造場の前身は、1912年(大正元年)に下諏訪町の御田町で創業した菱友醸造です。7年に一度の御柱祭で知られる諏訪大社下社のお膝元にあり、下諏訪町唯一の酒蔵でした。銘柄「御湖鶴(みこつる)」は、初代の創業者がある夜、諏訪湖に飛来して一服の安らぎをとる鶴の華麗な姿を夢に見たことにちなんで名づけられています。当初の社名は「下諏訪酒造株式会社」で、大正11年(1922年)に「菱友醸造株式会社」へ改称しました。

昭和18年11月の第1回清酒品評会、昭和31年11月の第3回、昭和33年11月の第4回では、いずれも優秀賞を受賞しています。

平成15年(2003年)5月に近藤昭等氏が代表取締役社長に就任し、杜氏も務めて、同じ2003年に「新生・御湖鶴」として再出発しました。平成17酒造年度の全国新酒鑑評会で入賞し、国際品評会IWCのSAKE部門でも2011年から2015年にかけてメダルを受けたほか、2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会の公式日本酒の造り手の一つとなり、2013年にはJAL国際線ビジネスクラスで純米大吟醸が提供されました。

しかし、他の酒類との競争の激化や若者の酒離れで売上が減り、積極的な設備投資による借入金が資金繰りを圧迫して、2017年4月22日付で事業を停止し、自己破産の準備に入りました。

町や商工会議所などが後継事業者の支援に動くなか、設備は競売にかけられ、福島県いわき市の運送会社である磐栄運送(磐栄グループ)が落札しました。下諏訪町唯一の酒蔵の灯を消してはならないと、2018年に名乗りを上げたのは磐栄運送自身です。磐栄グループの村田裕之氏にとって、取引先から贈られた御湖鶴が最初の縁でした。醸造責任者には、長野銘醸で2017年7月まで酒類統括部長兼杜氏を務めた竹内重彦氏が就きました。

竹内氏は2018年1月から下諏訪に通って設備を点検し、衛生面の問題や設備の老朽化を踏まえて、必要最低限の設備を入れ替えたうえで、既存の建物を改修して2018年の暮れに試験醸造を兼ねた初年度の造りを始めました。銘柄は、知名度を生かして早く飲んでもらえるよう「御湖鶴」を引き継いでいます。

この初年度の酒が2019年に新生の御湖鶴として初めて出荷されました。試験醸造の終了後に蔵の建て替えが進められ、老朽化した蔵を取り壊した新しい蔵で、2019酒造年度から本格的に酒造りを行っています。コンセプトに「いつでも何度でも 心ときめく酒」を掲げ、2035年までに世界中のトップレストランで提供される日本酒になることを目標にしています。竹内氏は2026年時点も杜氏を務めています。

新しい蔵での2造り目にあたる2020酒造年度の「御湖鶴 純米吟醸 山恵錦」は、2021年6月、IWCのSAKE部門の純米吟醸の部でゴールドメダルと純米吟醸トロフィーを受け、SAKE部門に出品された1,499銘柄の頂点にあたる「チャンピオン・サケ」にも選ばれました。長野県の酒として初めてのチャンピオン・サケです。山恵錦は長野県が開発した酒米です。全国新酒鑑評会では、令和元酒造年度と令和2酒造年度に入賞し、令和4酒造年度と令和6酒造年度の純米大吟醸が金賞を受賞しています。

長野県の鑑評会でも成績を重ねています。新しい蔵での最初の酒である2019年度の酒は、2020年9月の第67回長野県清酒品評会で、100点余りが出品された純米吟醸酒部門の首席になりました。令和4酒造年度の長野県新酒鑑評会では純米大吟醸が101点の出品中、第1位と第3位を受賞しています。令和6酒造年度の長野県清酒鑑評会では108点の出品中第1位、令和7酒造年度は純米吟醸酒部門の135点の出品中第1位です。長野県清酒品評会では第70回(2023年)、第72回(2025年)、第73回(2026年)に県知事賞を受賞しました。

関東信越国税局酒類鑑評会では、2023年の第94回で純米吟醸酒の部の優秀賞、2024年の第95回で同部の最優秀賞を受賞しています。民間の評価では、ワイングラスでおいしい日本酒アワードで2022年に純米吟醸 山田錦 無濾過生原酒が最高金賞、純米吟醸 諏訪美山錦 無濾過生原酒が金賞に入り、2023年には純米吟醸 ひとごこち 無濾過生原酒がプレミアム純米酒部門の324点の出品中で最高金賞を受賞しました。全国燗酒コンテスト2024では純米辛口が金賞を受けています。

酒造りの特徴

日本酒はすべて純米酒以上で造っています。純米吟醸に使う酒米は山恵錦、美山錦、ひとごこち、金紋錦、山田錦、五百万石の6種類で、生産者と田んぼを固定した契約栽培です。生産者は、美山錦が山田ライスセンター、ひとごこちが川船ふぁーむ、金紋錦がまるやま農産、山恵錦が小和田ファーム、山田錦が宮澤ファームで、いずれも長野県内を中心とする特定の農家です。純米吟醸は精米歩合、酵母、アルコール度数などを揃えて醸造し、米の品種や産地の違いを飲み比べられるように構成されています。

造りの特徴は、杜氏の経験や勘に頼りきらない再現性の高さです。伝統的な職人技を尊重しながら、発酵データや温度情報を共有・分析するICT技術を取り入れています。純米吟醸の原料米は精米工場で50パーセントまで磨き、洗米と吸水は天候、気温、湿度、気圧、水温を踏まえて行います。蒸米は甑(こしき)で蒸し、0.1度単位で温度を見極めるため、衛生と品質を高める目的であえて手で運びます。麹造りは24時間体制で温度と水分量をリアルタイムに把握し、発酵中は0.1度単位で温度を制御して毎日成分分析を行います。

仕込みから搾りまでは3週間から1か月ほどです。

火入れは、加水濾過をせず、生酒のまま瓶詰めしたあと湯煎で殺菌する方法です。瓶ごと63度まで温度を上げて4分間保ち、冷水シャワーで25度まで一気に冷まします。上級酒でしか行わないことが多い手間のかかる方法ですが、すべての火入れ酒にこの手法を採用しています。貯蔵も瓶詰めの状態で行い、生酒はマイナス5度の氷温で保管します。この加熱方法のため、火入れ酒には一般的なものより固い耐熱性のキャップを採用しています。

商品は、麹米に美山錦を使う純米辛口(火入れ、おりがらみ無濾過生原酒)、純米吟醸の各品種(火入れと無濾過生原酒)、安曇野市産の山田錦を35パーセントまで磨いた純米大吟醸、純米仕込みの梅酒などです。2022年12月には、山恵錦の純米吟醸を上回る品質を目指したプレミアム商品「Mikotsuru Phoenix series」を発売しました。2022年の第5回長野県甘酒鑑評会では「プレミアム甘酒」が県知事賞を受賞しています。

なお、2025酒造年度は米市場の混乱で酒米の金紋錦を確保できず、純米吟醸 金紋錦の仕込みを見送りました。

代表銘柄

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御湖鶴

諏訪御湖鶴酒造場の主力銘柄で、日本酒はすべて純米酒以上で造っています。純米吟醸は精米歩合50パーセント、アルコール度数16度に揃え、山恵錦、美山錦、ひとごこち、金紋錦、山田錦、五百万石と酒米の違いで味わいを飲み比べられる構成です。2021年のIWCでは純米吟醸の山恵錦がチャンピオン・サケに選ばれ、全国新酒鑑評会では純米大吟醸が令和4酒造年度と令和6酒造年度に金賞を受賞しています。

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國譲り

菱友醸造の純米酒の一つとして造られていた銘柄です。下諏訪町唯一の酒蔵が、諏訪大社下社のお膝元で醸していた酒でした。蔵は2017年4月に事業を停止しており、現在の諏訪御湖鶴酒造場の商品ラインナップには含まれていません。現行の主力銘柄は、純米吟醸を中心とする「御湖鶴」で、すべての日本酒を純米酒以上で造っています。

御湖鶴くろ

菱友醸造の時代に手がけていた純米吟醸の「御湖鶴 純米吟醸くろ」です。通年の商品のほか、秋の「くろ 秋上り」、春の「くろ おりがらみ生」といった季節の商品もつくられていました。蔵は2017年4月に事業を停止し、現在の諏訪御湖鶴酒造場の商品ラインナップには含まれていません。現行の主力銘柄は、純米吟醸を中心とする「御湖鶴」です。

御湖鶴(旧)

菱友醸造が醸していた時代の御湖鶴です。「透明感のある酸味」を味わいのコンセプトに、香りは控えめで酸の存在感を引き出し、料理に寄り添う酒を目指していました。純米酒から純米吟醸、純米大吟醸、季節限定酒まで商品が幅広く、金紋錦の純米吟醸は2011年のIWCのSAKE部門で銀メダルを、金紋錦の純米酒は2012年・2014年・2015年に銅メダルを受賞しています。2013年にはJAL国際線ビジネスクラスに純米大吟醸が搭載されました。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵元直営ショップ(下諏訪町3205番地17)。営業時間は10時から16時30分(試飲のラストオーダーは16時)、定休日は水曜日(一部例外あり)。現行商品のほか、蔵でしか買えない限定酒、樽から瓶詰めする量り売り、グッズを販売し、専用サーバーで保管した酒を酒器で味わう有料試飲があります。
補足
酒造セミナーとして、酒米の展示、蔵内部の見学、製造工程の見学ができます。金・土・日・祝日の10時30分と14時の2回(金曜日は午後のみ)、所要30〜40分、定員10名、参加費は小学生以上1名350円で、前日までに電話か直営ショップで予約が必要です(1団体2名以上。メールフォームからの予約は不可)。日本酒と御湖鶴のファン向けで、旅行会社の観光ツアーは受け入れていません。酒造繁忙期の12月と1月は休止する場合があります。JR下諏訪駅から徒歩約10分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
長野県諏訪郡下諏訪町3205番地17
創業
1912年
公式サイト
www.mikotsuru.com

出典

sakenomy.jp / mikotsuru.com / naganosake.jp / oishiisake.jp / sakestreet.com / shimosuwaonsen.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / nagano-sake.or.jp / jp.sake-times.com / business.nikkei.com / finesakeawards.jp / furusatonosake.com / aviationwire.jp / allabout.co.jp / fukeiki.com / web.archive.org

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