土屋酒造
代表銘柄:鳳桜・夢吟醸 桜子・とうきょう地酒
東京都
TOKYO
1873年創業
東京都狛江市に所在していた酒蔵(土屋酒造株式会社)です。代表銘柄には「鳳桜(おおとりさくら)」や「夢吟醸 桜子」「桜子」などがあります。
明治6年(1873年)創業で、鎌倉時代から続く旧家にルーツを持ちます。江戸時代築の土蔵で酒造りを行っていました。
跡継ぎであった兄の急逝を受け、5代目となる土屋桜子氏が1994年に蔵に入り、女性蔵元として酒造りの世界へ転身しました。1998年(平成10年)には全国新酒鑑評会で金賞を受賞したほか、「和良醸酒」の精神のもと、インターネットを通じた直販や講演活動など精力的に情報発信を行いました。
その後、2004年7月に酒蔵が解体されて休業(休蔵)状態となり、現在は酒造りを行っていません。
土屋酒造の歩み
土屋酒造は、明治6年(1873年)に土屋長右衛門が創業した酒蔵です。所在地は現在の東京都狛江市岩戸南にあたる地で、土屋家は鎌倉時代から続く旧家とされ、敷地には樹齢500〜600年とされる柿の老木が5、6本立っていました。仕込みは江戸時代に建てられた土蔵の中で、秋から春にかけて行われていました。蔵には家付き酵母が棲みついており、部外者はなかなか入れない場所でした。社是には「よい人・よい水・よいお酒は環境に支配されます」という趣旨の言葉を掲げ、造り手と売り手の顔が見える酒を目指していました。
転機は、蔵の跡継ぎになるはずだった兄の急逝です。風邪をひいてわずか1週間で、21歳の若さで亡くなりました。妹の土屋桜子さんは大学でコンピュータ・プログラミングを学び、大学院を修了して情報分野の研究開発に携わっていましたが、母が病気になったことも重なり、その道を離れて蔵に入ります。兄が遺した、夢を追い続けること、夢を現実にすることこそが夢だという趣旨の詩が、酒造りへ進む支えになりました。当時は女人禁制とされてきた酒造りの世界に飛び込んだ、女性の蔵元です。
桜子さんは1994年に土屋酒造へ入社し、翌年には広島の国税庁醸造研究所で1年間学んでから、酒造りの現場に立ちました。のちに五代目蔵元として土屋酒造株式会社の取締役を務めました。1996年からは日本酒のインターネット販売を始め、1998年からは「さくらこの日本酒講座」を企業や大学で開くなど、情報発信にも力を入れました。会員制の「桜子友の会」では、季節ごとの会員限定酒を届け、酒蔵見学の機会も用意していました。
1998年には東京の地酒として「夢吟醸 桜子」を発売し、同じ年にその大吟醸で全国新酒鑑評会の金賞を受けました。「鳳桜」の大吟醸「笑門来福」にも、平成6年度の金賞受賞の実績がありました。純米原酒「鳳桜 やわくち」は、東京国税局主催の鑑評会で長年にわたって連続して優等賞を受けた酒です。桜子さんが手がけた銘柄は、東京国税局の新酒鑑評会などでも優秀な成績を収めました。
しかし酒蔵は2004年7月に解体され、跡地には大型マンションが建てられました。蔵の解体後も、2009年ごろには「夢吟醸 桜子」の予約を受け付けていました。会社は存続していますが、酒造りは2000年代半ばから休止しており、現在は酒造りを行っていません。桜子さん自身は、蔵の休業後も、日本酒文化に貢献した人を叙任する「酒サムライ」の活動などで、日本酒の普及に取り組んできました。
酒造りの特徴
桜子さんは、酒造りに携わって7年ほど経った頃、麹、酒母、もろみのどの工程にも酵母や麹菌など目に見えない微生物の力が深く関わっており、コンピュータや機械だけでは完全に置き換えられないと感じていました。「和良醸酒」の言葉どおり、醸す人々の和が何より大事だと実感していました。
人気の「夢吟醸 桜子」は、季節ごとにボトルとデザインを替える春夏秋冬のシリーズとして、季節限定で売り出していました。2001年には「夢吟醸 桜子」の仕込みが3回目を迎え、味わいが落ち着きを見せ始めており、秋田の山内杜氏と協力して仕上げていました。同年の春版は、兵庫県産の山田錦と協会901号酵母を使った純米大吟醸で、桜色のボトルに詰め、日本酒度+3、酸度1.4、アルコール度数15.5度でした。夏版は瑠璃色のボトルに入った、すっきり切れのいい大吟醸タイプでした。
「鳳桜」の大吟醸「笑門来福」は、兵庫県産の山田錦を100パーセント使い、35パーセントまで磨いたお酒です。大吟醸純米「吟の舞」は、山田錦を45パーセントまで磨き、低温発酵の技術を使った低アルコールの酒で、二度開かれた東京サミットで英国のサッチャー首相をはじめ各国の首脳に味わってもらった自信作でした。純米原酒「やわくち」は、山田錦を高度に精米し、特許製法でつくる低アルコール原酒でした。ほかに吟醸辛口の「通」や特別本醸造もありました。
地域名を冠した酒も多く、商標登録した「とうきょう地酒」の吟醸辛口原酒は新潟県産の五百万石を使いました。「せたがやの郷」「ちょうふ地酒」は特選吟醸純米と特別本醸造で、「ちょうふ地酒」の特選吟醸純米は精米歩合60パーセントでした。世田谷区の玉川地区だけで売る「鮎恋 たま川」は五百万石を60パーセントまで磨いた吟醸純米酒です。「狛乃里」は、多摩川の源といわれる山梨県小菅村の水をタンクローリーで運んで仕込み水に使い、「こすげ」は小菅村の地酒として造りました。
代表銘柄
鳳桜
夢吟醸 桜子
とうきょう地酒
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 補足
- 酒蔵は2004年7月に解体され、跡地は集合住宅になっているため、蔵見学や店頭での購入はできません。かつては会員制の桜子友の会で酒蔵見学の機会を設けていました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 東京都狛江市岩戸南1-5-2
- 創業
- 1873年
出典
rekishi-roman.jp / sakurako.ne.jp / vercel.app / npa.co.jp / pon.sh / allabout.co.jp / congiro.hatenablog.com / sakeno.com
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