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長野銘醸

代表銘柄:聖山・姨捨・姨捨正宗

長野県

NAGANO

1689年創業

江戸時代の元禄2年(1689年)に長野県千曲市姨捨の地で創業した、330年以上の歴史を誇る酒蔵です。現存する仕込み蔵や貯蔵蔵など12棟の建造物が国の登録有形文化財に指定されています。造りの最大の特徴は、醸造アルコールを使用しない全量純米酒へのこだわりです。仕込み水には信州更科の湧水(八幡の七清水など)を使用し、原料米には長野県産米や、仕込み水と同じ水を用いて地元・姨捨棚田で栽培された酒米などを100%使用しています。

機械に頼らない昔ながらの手造りを継承し、飲む人の体に優しい「医食同源」を理念に掲げ、食事に寄り添う酒造りを行っています。代表銘柄には「姨捨正宗(オバステ正宗)」「棚田」「聖山」などがあります。

長野銘醸の歩み

長野銘醸は、和田家に生まれた与八郎(のちに平兵衛正公と改名)が、信濃国更科郡八幡中原の地で分家し、村の肝煎を務めながら酒造業を興したことに始まると伝えられています。元禄2年(1689年)の記録に酒造石高92石とあるのが確認できる最も古い記録であることから、この年を創業の年としています。当時の銘柄は「松泉」「高砂」で、現在の代表銘柄「姨捨正宗」の名が使われるようになったのは江戸時代後期からです。

蔵が位置する千曲市八幡・姨捨は、万葉の時代から月の名所として知られ、なかでも「田毎の月」の景色で名高い土地です。松尾芭蕉も更科紀行にその情景を書き残しています。姨捨山には、老いた者を山に置き去りにしたという棄老伝説が伝わります。長野銘醸の酒蔵そのものが、日本遺産「月の都 千曲」の構成文化財に選定されています。また、事務所や酒蔵、貯蔵蔵、南蔵、米蔵、文庫蔵、長屋門など12棟の建造物は、平成26年(2014年)に国の登録有形文化財として登録されました。

仕込み水には、地元の校歌にも歌われる「八幡の七清水」の湧き水を用いており、なかでも桜清水は日露戦争の戦勝記念に蔵を訪れた東郷平八郎元帥らに「天下第一泉」と名付けられ、明治天皇にも献上された名水です。この湧き水は姨捨の棚田を潤したのち、冬の酒造りにも使われています。

昭和23年(1948年)、多くの蔵元が醸造アルコールや糖類を加えた増醸酒に移行するなかで、11代目の和田芳郎は純米酒造りを守り続けました。昭和28年(1953年)には、田中哲朗氏を中心に結成された吟醸酒グループ「研醸会」に参加し、長野県が醸造試験場の指導に従って吟醸酒の醸造を取りやめるなかでも吟醸酒を醸し続けました。この姿勢が、現在の純米・吟醸蔵としての礎になっています。

昭和35年(1960年)に個人経営から長野銘醸株式会社として法人化し、昭和62年(1987年)には普通酒の製造をやめ、主力の「オバステ正宗」もすべて特定名称酒となりました。平成19年(2007年)には醸造アルコールを一切使わない造りとなり、「オバステ正宗」もすべて純米酒になっています。平成22年(2010年)には、冬場だけ蔵に来る杜氏制度から、社員が通年で酒造りに携わる体制へと移行しました。

15代目にあたる現在の代表取締役・和田直道氏は、諏訪赤十字病院脳神経外科部長を務めた経験を持つ脳神経外科医としての顔も持っています。平成15年(2003年)に蔵元を継いで以降、「医食同源」の考えのもと、身体にやさしく翌日に残りにくい酒造りを掲げています。

酒造りの特徴

長野銘醸の酒造りの核となっているのは、醸造アルコールを一切加えない全量純米酒へのこだわりです。「酒米を育てる水」と「仕込み水」に同じ湧き水を使うことで健全な発酵が進み、悪酔いしにくくまろやかな酒質になるという考え方を大切にしています。添加物を用いない醸造は水質に左右されるため、地元姨捨の名水を軸とした水づくりを酒造りの出発点としています。

製法面では、酒母立て・丸米・三段仕込みという伝統的な技法を守り、添加アルコールや酵素剤などの化学薬品を使わない発酵にこだわっています。平成22年(2010年)以降は季節雇いの杜氏に頼らず社員による通年醸造体制をとっており、仕込みから貯蔵・熟成、商品開発まで一年を通じて酒質向上に取り組んでいます。

一部の商品は搾った原酒を瓶燗火入れしたのち、氷点下の冷蔵庫で低温長期熟成させることで香りと味わいを整えてから出荷しています。原料米には長野県産米を用いており、姨捨の棚田で契約栽培された米で仕込む「棚田」のように、地域の農家と協働する取り組みも進めています。

長野銘醸の酒質は、国内外の鑑評会でも高く評価されています。全国新酒鑑評会では令和元酒造年度・令和2酒造年度にいずれも入賞し、令和2年11月の第91回関東信越国税局酒類鑑評会では純米吟醸酒の部で優秀賞を受賞しました。海外の日本酒コンクール「Kura Master」でも、2021年度純米大吟醸酒部門で「姨捨正宗 純米大吟醸」が金賞、2022年度同部門で「純米大吟醸 棚田」がプラチナ賞、2023年度同部門で「純米大吟醸 棚田 ラグラース」が金賞を受賞しています。

代表銘柄

聖山

聖山は、蔵や姨捨の棚田、そして仕込み水の源となる八幡の七頭清水が、いずれもこの山にあることから名付けられた銘柄です。地元では「ひじりやま」とも呼ばれるこの山で育った米と、蔵に伝わる湧き水を用いて醸されており、2012年に新ブランドとして販売が始まりました。

姨捨

代表銘柄の姨捨正宗は、松尾芭蕉が更科紀行で名月に酔いしれたと伝わる姨捨の地にちなんで名付けられました。なかでも特別純米は、多くの蔵が増醸酒に移った昭和23年に純米酒を守り抜いた蔵の心意気を受け継ぐ一本で、長野県産米を59%まで磨き、ふくよかな香りとお米の旨みを感じる濃醇な味わいに仕上げています。普段の晩酌から贈答まで幅広く楽しめる銘柄です。

姨捨正宗

姨捨正宗のなかでも月の都は、万葉の時代から名月の里として知られる姨捨の情景にちなんだ純米吟醸です。厳選した長野県産ひとごこちを59%まで磨き上げ、七頭の湧き水を源流とする水とともに醸すことで、上品でフルーティーな香りとまろやかで濃醇な味わいに仕上げました。煌めく月をあしらった上品なボトルは、女性や大切な人への贈り物としてもおすすめです。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
長野銘醸の直売所での購入のほか、電話やファックスでの注文にも対応しています。
補足
蔵見学は完全予約制で、事前の問い合わせが必要です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
長野県千曲市大字八幡275
創業
1689年
公式サイト
www.obasute.co.jp

出典

sakedata.jp / japansake.or.jp / obasute.co.jp / naganosake.jp / sakagura-press.com / sake-labo.com / navita.co.jp / sasaya.co.jp / nrib.go.jp / jozo.or.jp / tsukino-miyako.jp / online.bunka.go.jp / jp.sake-times.com / web.archive.org / nta.go.jp / kuramaster.com

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