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米澤酒造

代表銘柄:今錦

長野県

NAGANO

1907年創業

米澤酒造の建物
米澤酒造の建物(2021年撮影)「米澤酒造.jpg」 — 写真:古峰 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

1907年(明治40年)創業。代表銘柄「今錦」は、南信州伊那谷の地酒として醸されてきました。後継者不在や設備の老朽化に直面していたものの、地域の伝統文化や棚田の風景を守るため、2014年に寒天メーカーの伊那食品工業(かんてんぱぱグループ)の傘下となり新たな体制で再出発しました。2026年7月1日に米澤酒造株式会社は伊那食品工業に合併して解散し、製造は伊那食品工業の今錦醸造場、販売は同名で新たに発足した米澤酒造株式会社が担っています。

造りの最大の特徴は、手間と時間のかかる伝統的な「酒槽(さかぶね)搾り」を、普通酒から純米大吟醸まで全ての酒で守り続けている点です。仕込み水には南アルプスの伏流水を使用し、地元産の美山錦などの酒米を中心に醸すことで、やわらかな旨味と爽やかな酸味が調和した酒質を実現しています。

その品質は高く評価されており、世界規模の品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」で「純米大吟醸 年輪」などが金賞を受賞したほか、「Kura Master」や「全米日本酒歓評会」など国内外の主要コンテストで多数の賞を獲得しています。

米澤酒造の歩み

米澤酒造は明治40年(1907年)、南信州・伊那谷のほぼ中央、天竜川東岸の現在の中川村大草にあたる地で創業しました。養命酒発祥の地と同じ集落にあり、南アルプスの伏流水に恵まれた土地で、酒米は地元産を優先し、今では珍しくなった酒槽(さかぶね)でもろみを搾る酒蔵として、代表銘柄「今錦」を醸してきました。中川村で唯一の酒蔵でもあります。

しかし後継者の不在と設備の老朽化が重なり、蔵は一時、廃業の危機に立たされました。そこで相談したのが、同じ長野県伊那市に本社を置く寒天メーカー、伊那食品工業です。1958年に設立され、家庭用寒天「かんてんぱぱ」を展開する同社の塚越寛氏は、当時「日本で最も美しい村」連合の副会長を務めており、これが縁で事業継承の話が始まりました。地元の酒蔵がなくなれば地域の文化がひとつ失われるという考えから決断は早く、2014年に米澤酒造は伊那食品工業のグループ会社となりました。

再建は設備の刷新から始まりました。1年目に貯蔵庫と冷蔵庫を入れ替え、2年目に麹室を新設し、3年目にタンク室と造り蔵を新築して、売店や応接室を含む建物も新しくなりました。投じた費用は総額でおよそ8億円に上ります。2017年には全面リニューアルした蔵がオープンし、酒蔵見学のコースや、中央アルプスを眺めながら試飲できるコーナーが設けられました。リニューアル後の新シリーズとして誕生したのが、旗艦酒の「年輪」です。

新体制になってからの評価は着実に積み上がっています。事業継承から4年後の2018年には、IWCの純米大吟醸酒の部で「今錦 年輪 純米大吟醸」が金賞を受賞しました。2020年にも年輪が金賞を受け、あわせて中川村の純米大吟醸として地域別のトロフィー(リージョナル・トロフィー)に選ばれ、2021年には同部門で3銘柄が金賞に並びました。

フランスの日本酒コンクール「Kura Master」では、2023年に「年輪 純米大吟醸」、2024年に「NENRIN S 純米大吟醸」、2026年に「今錦 純米吟醸 美山錦」がプラチナ賞を受けています。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に13回入賞しており、うち金賞は令和2酒造年度、令和4酒造年度、令和5酒造年度、令和7酒造年度の4回です(令和元酒造年度は入賞)。長野県清酒品評会では第69回(2022年)から第73回(2026年)まで5年続けて県知事賞を受けました。

関東信越国税局酒類鑑評会の優秀賞は、2012年の第83回(純米酒の部)と2017年の第88回(純米吟醸酒の部)にもあり、2019年の第90回以降は純米吟醸酒の部で毎年受賞して、2025年の第96回で7年連続になりました。ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、2022年に「今錦 特別純米酒」、2024年に3銘柄、2026年に「HAKUMEI」が最高金賞を受賞しています。世界酒蔵ランキングでは2020年から6年続けて10位以内に入り、2025年は第10位でした。

2022年からは、伊那食品工業グループが中川村の棚田の維持管理を引き継ぎ、地域の人たちと田植えから稲刈りまでを行っています。2026年7月1日、米澤酒造株式会社は伊那食品工業に吸収合併されて解散しました。蔵は移転せず、同じ中川村大草の蔵で伊那食品工業の今錦醸造場が酒造りを引き継ぎ、同じ名前で新たに発足した米澤酒造株式会社が販売元として今錦を届けています。事業継承を決断した伊那食品工業の最高顧問で、米澤酒造の会長でもあった塚越寛氏は、2026年6月29日に88歳で亡くなりました。

販売元の米澤酒造株式会社の代表取締役社長は塚越英弘氏です。

酒造りの特徴

仕込み水には、構内の井戸から汲み上げる南アルプスの伏流水を使います。蔵が基本の酒質に掲げるのは、爽やかで調和した酸味と柔らかな旨味です。酒米は、地元の中川村と飯島町の米を基本としています。中川村の飯沼地区の棚田で育てた美山錦を使うのが「おたまじゃくし」で、田植え、草刈り、稲刈りを村の人たちと一緒に行います。収穫量が限られるため数量限定の酒で、特別純米酒や生原酒、秋の「ひやおろし」などがあります。

その妹分の「中川村のたま子」は、中川村全域の美山錦を使い、2023年の全米日本酒歓評会の純米部門でグランプリ(最高賞)に選ばれました。グループ会社のぱぱな農園でも酒米の栽培が始まっています。

酒米の品種は銘柄ごとに使い分けています。今錦は基本的に美山錦を用い、純米吟醸には、長野県だけで生産される金紋錦や、2020年から長野県の酒造好適米として登録された山恵錦も使います。純米大吟醸の「年輪」は兵庫県産山田錦を39パーセントまで磨き、さらに上位の「NENRIN S」は山田錦を35パーセントまで磨いています。

造りは、洗米と浸漬、蒸米、麹づくりを経て、酒母に仕込み水、掛け麹、蒸米を加える三段仕込みで進みます。搾りには酒槽を使い、最後のひと搾りまで48時間をかけてゆっくり搾ります。普通酒から純米大吟醸まで酒槽で搾る方針は、事業継承後も変えませんでした。伊那食品工業は寒天づくりで同じ圧搾の仕組みになじみがあり、効率の良い方式を取り入れる道もありましたが、槽搾りは蔵の伝統であり文化だとして残しました。長年使われた木製の槽は2021年に引退し、現在はステンレス製の槽です。

麹室には電子重量計のロードセルを導入し、米の重さと水分を正確に管理しています。出荷前には瓶詰めと火入れを行います。

伊那食品工業の研究開発部には、日本酒の分析や試験醸造に取り組む研究チームがあり、杜氏の坂口竣弥氏と連携して酒造りを支えています。長野県工業技術総合センターが開発した吟醸香の高い「長野D酵母」の選抜も進め、米、水、酵母のすべてが長野産の純米吟醸酒を造ってきました。今錦 純米吟醸は、2018年のブリュッセル国際コンクールの純米吟醸部門でトロフィー(最高賞)に選ばれました。

代表銘柄

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今錦

米澤酒造の主力ブランドで、今錦シリーズは酒槽で搾っています。定番の特別純米酒は長野県産米を全量使い、精米歩合は59パーセントです。全米日本酒歓評会では2020年から2025年まで毎年金賞を受け、2025年の全国燗酒コンテストのプレミアム熱燗部門では最高金賞(出品180点のうち上位10点)を受賞しました。純米吟醸には美山錦、金紋錦、山恵錦の3種があり、純米大吟醸には今錦 純米大吟醸のほか、旗艦の年輪と、それを超えるものとして造られたNENRIN Sがあります。

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見学・購入

蔵見学
なし
直売所
今錦本店(直営ショップ)。営業時間は9時から17時(1月から2月末は16時30分まで)、定休日は月曜日(祝日は営業)。試飲は予約不要(10名以上は事前連絡)で、お車でお越しの運転者には提供できません。
補足
蔵見学の受け入れは当面休止しています。アクセスは中央自動車道の駒ヶ根ICから約25分、松川ICから約20分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
長野県上伊那郡中川村大草4182-1
創業
1907年
公式サイト
www.imanisiki.co.jp

出典

nagano-shohi.net / japansake.or.jp / imanisiki.co.jp / jtb.co.jp / sozainochikara.jp / sake-times.com / sakenomy.jp / sakagura-press.com / getnavi.jp / ina-dani.net / vill.nakagawa.nagano.jp / diamond.jp / nrib.go.jp

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