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三千盛

代表銘柄:三千盛

岐阜県

GIFU

1772年創業

安永年間(1772年〜1781年)に初代・水野鉄治が現在の岐阜県多治見市笠原町で創業した老舗蔵元です。明治の中頃までは「マル尾」などの銘柄で親しまれ、昭和初年に上級酒として「三千盛」が誕生しました。

甘口の酒が主流であった時代にあって、頑なに辛口の酒造りを追求し、精米歩合50%・日本酒度+10という当時としては非常に珍しい超からくちの酒を世に送り出しました。すべての製品を精米歩合60%以下の高精白で醸して雑味を排し、軽快でスパッと後味が切れる透明感のある味わいに仕上げています。

その抵抗なく飲めるすっきりとした飲み口は「水口(みずくち)」の酒とも評され、作家の永井龍男氏をはじめとする愛飲家に支持されて全国の料亭や寿司店などでも親しまれるようになりました。料理の味を引き立てる食中酒として高く評価されており、海外の品評会「ロンドン酒チャレンジ」でも2013年から4年連続でメダルを獲得するなど実績を残しています。

三千盛の歩み

三千盛は、岐阜県多治見市笠原町で酒造りを続ける蔵です。江戸時代中期の安永年間(1772〜1781年)に、初代の水野鉄治が造り酒屋を現在の多治見市にあたる地で開業したのが始まりです。明治の中ごろまでは「金マル尾」「銀マル尾」「炭マル尾」の三種の銘柄で親しまれ、その後「黄金」と名を改め、昭和の初めに上級酒だけを初めて「三千盛」と名付けて売り出しました。株式会社三千盛としての設立は1994年(平成6年)です。

戦後は甘口の酒が全盛の時代でした。「もっと甘くしなければ売れない」という声が社の内外から聞こえるなかで、「今の味を変えるな」と励ましてくれる人たちに力づけられ、辛口でありながら口当たりがやわらかく飲みやすい酒を目指して努力を続けました。2002年当時、蔵の主人は、ある評論家から辛口というよりも「水口」の酒だと評されたことを我が意を得た言葉と受け止め、水のように抵抗なくいくらでも飲めて、しかも日本酒独特の旨さがあり、酔いざめのよい酒を最高の酒と考えていました。

昭和30年代のはじめには、時の主人の水野高吉が、精米歩合50%、日本酒度+10という当時としては珍しいすっきりとしたからくちの酒を造り、「三千盛特級酒」として発売しています。

この酒の評価を大きく変えたのが、作家の永井龍男との出会いです。永井龍男は三千盛の酒に惚れ込み、出版界の方々に広めました。その推薦で口にする人が増えると、「三千盛でなければダメだ」という愛飲家が現れ、全国に点在する有名な料亭や寿司店にも置かれるようになりました。東京の飲食店などで扱われるようになったのは、永井龍男の力によるところが大きいのです。

水野家では、後継者の名に「鉄」の字をつけるのが習わしです。六代目の水野鉄治は東京農業大学で醸造を学んだ技術畑の蔵元で、料理に合う酒を一貫して追い求めました。2024年には長男の水野鉄盛が七代目として初めて酒造りを指揮し、現在は水野鉄盛が代表を務めています。鉄盛の名の「盛」の字は、三千盛にちなんで付けられたものです。

七代目は、自らの名を冠した新ブランド「鉄盛」も立ち上げ、三千盛とは違う方向の酒づくりにも挑んでいます。また、三千盛の酒粕を使ったスキンケアシリーズ「HADAYOI」の化粧水とクリームも展開しており、酒造りの枠を超えた取り組みを広げています。

酒造りの特徴

三千盛が目指すのは、料理とともに楽しむ食中酒です。日本料理の繊細な味わいを引き立てるには、酒の甘み、旨み、酸味、苦み、渋み、そして香りが料理以上に強くてはならないと考え、酒質を設計しています。日本酒度は+12〜+19、滴定酸度は1.0〜1.4、アミノ酸度は0.6〜1.1、アルコール分は14.8〜18.5%ほどの範囲に収まり、超甘口の「あぺりてぃふ」を除くほとんどの商品が、これ以上濃醇では料理の妨げになるという考えに沿っています。辛さは喉の奥を刺すような刺激ではなく、後味がスパッと切れる点にあります。

造りの出発点は精米です。精米は全量を自社で行い、専任の担当者もいます。すべての製品が高精白で、10月から4月にかけては24時間休みなく精米機が動き続けます。精米歩合は、普通酒の「銘醸」が60%、本醸造の「本醸」が55%、吟醸の「特醸」が50%、「悠醸」や「業物」などの純米大吟醸が45%、「まる尾」が40%と幅があり、「大業物」は37%の美山錦、「最上大業物」は自社精米で23%まで磨いた美山錦を使います。米は山田錦や美山錦などを使い分けています。

仕込みの工程では、米を約50分蒸します。麹米は中までふっくらとしながら弾力があり、握ってもぱらぱらとほぐれやすい蒸し上がりにし、掛米は麹米と蒸し方を変えて硬めに仕上げます。麹造りでは蒸米の温度を30度以上に保ち、約48時間かけて育てます。酒母には2週間をかけ、できた酒母を大きなタンクに移して、麹、蒸米、仕込み水を3回に分けて加えます。辛口に仕上げるため、発酵の勢いが強い状態を保ち、約1か月でもろみを搾ります。

酵素の力が強い麹を造り、汲み水の割合を調整して適度な糖濃度に整えるといった工夫で、辛口でありながら味のある酒を実現しています。通年の商品は、生の新酒をろ過したあと65℃以上で火入れし、6か月から1年ほど熟成させて味が落ち着いてから出荷します。

通年の商品に加え、季節ごとの限定酒も醸しています。冬には新酒の「香るはつしぼり」と発泡性の「純米大吟にごり」、春には岐阜県特有の「G2酵母」を使った生酒の「香るしぼりたて」、夏には「香るすずみさけ」と「アクティブスパークリング」、秋には冬に搾った酒を熱処理して夏の間に6か月寝かせた「香るつきみさけ」が出ます。42年ぶりに開発された岐阜県産の新品種の酒米「酔むすび」を全量使った純米大吟醸もあります。

「まる尾」は、かつての銘柄の名を平成18年に復活させた山田錦100%の純米大吟醸で、復活時は岐阜県内だけの限定販売としました。超甘口の「あぺりてぃふ」は、食前酒や食後のデザート酒を想定した異色の一本です。蔵の酒造りを率いる杜氏は中村公二です。

代表銘柄

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三千盛

蔵の名を冠した、からくち一筋の銘柄です。すっきりとして後味がスパッと切れ、料理の味を引き立てる食中酒として、純米大吟醸の「業物」や「小仕込純米」、本醸造の「本醸」、普通酒の「銘醸」まで高精白で醸しています。海外では、ロンドン酒チャレンジで2013年に小仕込純米がゴールドメダル、2014年にまる尾がシルバーメダル、2015年と2016年に小仕込純米がシルバーメダルを受け、4年連続でメダルを獲得しました。

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見学・購入

直売所
蔵元直営ショップがあり、営業時間は9:00〜17:00です(毎月の月末営業日は14:00まで)。「金まる尾」は蔵元直営ショップだけの販売です。
補足
蔵の祭りの際には、多治見駅北口からシャトルバスが運行されます。2024年11月23日の新酒祭りでは、酒蔵見学ツアー(約15分、各回定員10名、当日受付)も行われました。2026年は2月22日に酒祭りが開かれています。ゴールデンウィークやお盆、年末年始は蔵元直営ショップも休業となります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岐阜県多治見市笠原町2919
創業
1772年
公式サイト
michisakari.com

出典

japansake.or.jp / michisakari.com / jizake-japan.com / tetsumori.jp / gifushoko.or.jp / chunichi.co.jp / a2tajimi.jp / note.com

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