小坂酒造場
代表銘柄:百春・さんやほう
岐阜県
GIFU
1772年創業
安永元年(1772年)に創業した岐阜県美濃市の酒蔵です。江戸時代の風情を残す「うだつの上がる町並み」に位置し、創業時に建てられた主屋は国の重要文化財に指定されています。代表銘柄の「百春(ひゃくしゅん)」は「健康で百度目の春を迎えられるように」という願いから命名されました。酒造りでは、清流長良川の有機ミネラル豊富な伏流水を井戸から汲み上げて仕込み水に使用しています。このミネラル分が麹菌や酵母の発育を活発にすることで、しっかりとした香りと深い味わいを生み出しています。
伝統的な酒造りを継承しつつ、無ろ過生原酒の直汲みシリーズなどの展開も行っています。全国新酒鑑評会では平成22・平成27・平成30・令和5・令和7の各酒造年度に金賞を受賞しているほか、岐阜県新酒鑑評会でも純米吟醸酒部門で最高賞である県知事賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
小坂酒造場の歩み
小坂酒造場は、安永元年(1772年)に、現在の岐阜県美濃市にあたる地で創業しました。所在地の相生町一帯は、江戸時代の趣を残す町家が軒を連ねる「うだつの上がる町並み」として知られ、平成11年(1999年)には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。小坂家はもとは杉本屋と称し、江戸時代から酒造業を営んできた旧家です。現在は株式会社として法人化されており、9名の社員で酒造りを続けています。代表者は12代目にあたる小坂善紀氏です。
創業当時に建てられた主屋は、国の重要文化財に指定されています。指定は昭和54年(1979年)2月3日で、桁行六間、奥行八間半の切妻造で、もとは屋根の両端と中央に三本の卯建を上げた「うだつ造り」の代表的な町家でした。中央卯建の北側は後に撤去され、現在は表通りから見ると二本卯建になっています。
昭和57・58年(1982・1983年)の半解体修理では、主屋入口の祈祷札のうち最も古いもの(安永2年・1773年)や、主屋背後の酒倉2階の柱に記された安永元年(1772年)の墨書、製麹室の屋根瓦に刻まれた明和9年(安永元年)の箆書などが見つかり、これらから建物がその頃に建てられたと推定されました。工事にはおよそ6500万円を要し、江戸時代の姿がほぼ完全な形で再現されています。
主屋は明治初年の小坂家再興の際に内部が吹き抜けとなり2階に見張り間が設けられ、さらに明治20年頃には2階座敷などが増築されて、ほぼ現在の姿になりました。
代表銘柄「百春」の名は、飲む人がお酒を楽しみながら健康で百たびの春を迎えられるようにとの願いから付けられました。ラベルの筆文字は、川合玉堂や横山大観と並び称された日本画家・川端龍子によるものです。現社長の祖母が龍子とご縁があり、酒を贈ったところその味を大いに気に入られたことから、揮毫を寄せてもらったのが始まりと伝わります。
もう一つの代表銘柄「さんやほう(山野豊)」は、地元・関市倉知に伝わる倉知祭りの囃子詞に由来する名で、五穀豊穣を願う言葉が込められています。倉知祭りは、寛永11年(1634年)に、寺を創建するなど領民に功績のあった領主・村瀬平四郎の徳をしのび、五穀豊穣を願って始まったとされ、二基の御輿が押し合う勇壮な祭りとして知られています。
酒造りの特徴
仕込み水には、蔵の敷地内の井戸から汲み上げる長良川の伏流水を用いています。有機ミネラルを豊富に含む水で、麹菌や酵母の育ちを助け、しっかりとした香りと深い味わいを生み出しています。純米吟醸酒「さんやほう」を例にとると、麹造りにはおよそ44時間、酒母の育成には2週間ほどをかけ、もろみは3回に分けて4日間かけて仕込み、各回の仕込み温度はそれぞれ12℃、9℃、8℃を理想としています。
発酵中はもろみ自身の発熱で温度が15℃以上に上がりますが、それ以上にならないよう管理しながら、およそ20日間でアルコール分18%前後まで発酵させています。搾った酒はろ過や熱処理をせずにそのまま瓶詰めすると「生原酒」となり、生酒として出荷する分以外のさんやほうは火入れを行っています。
純米吟醸酒「さんやほう」には、関市小瀬で開発された地元の特産米「みのにしき」を使用しています。みのにしきは、昭和58年(1983年)に尾関二郎氏が「ハツシモ」と「ニホンマサリ」を交配して育成した品種で、ハツシモより栽培しやすく、極大粒で食味も良いのが特徴です。
原料米は関市黒屋の田んぼで栽培されており、ボランティア組織「さんやほうサポーター」が化学肥料や農薬を一切使わずに、地元の小中学生や家族連れなど幅広い参加者とともに田植えから草取り、稲刈り、そして酒造りの最初の工程である洗米までを体験する取り組みが20年以上続けられています。
酒造りの現場を率いるのは杜氏の波多野博氏です。20歳で入社し、蔵を訪れていた越後杜氏や南部杜氏のもとで学んだのち、29歳で小坂酒造場の杜氏となりました。現在も南部杜氏協会の研修会に毎年参加しながら、社長とともに酒造りにあたっています。搾りたてをろ過せずそのまま瓶詰めする無ろ過生原酒は「直汲み」シリーズとして人気を集めており、山田錦や五百万石、富山県産の雄山錦、地元産のみのにしきなど、多彩な酒米を使い分けています。中国やスイスへ輸出された実績もあります。
全国新酒鑑評会では、平成22酒造年度から令和7酒造年度までに9回入賞しており、うち金賞は平成22酒造年度、平成27酒造年度、平成30酒造年度、令和5酒造年度、令和7酒造年度の5回です。名古屋国税局酒類鑑評会でも高い評価を受けており、令和元年度(第68回)の吟醸酒の部で優等賞を受賞したのに続き、令和2年度(第69回)には純米酒の部で部門最高賞にあたる名古屋国税局長賞を受賞し、同年の吟醸酒の部でも優等賞に選ばれました。
その後も令和3年度(第70回)は吟醸酒の部と純米吟醸酒の部、令和4年度(第71回)と令和7年度(第74回)は吟醸酒の部、令和6年度(第73回)は吟醸酒の部と燗酒の部(「百春 純米上撰」)でそれぞれ優等賞を受賞しています。岐阜県新酒鑑評会でも高く評価されており、第33回では純米吟醸酒部門で最高賞にあたる岐阜県知事賞を「百春」で受賞したほか、吟醸酒部門の岐阜県議会議長賞、純米吟醸酒の部と吟醸酒の部それぞれの連合会長賞も受賞しています。
代表銘柄
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百春
長良川の伏流水を仕込み水に用いる小坂酒造場の代表銘柄です。名前には、飲む人がお酒を楽しみながら健康で百たびの春を迎えられるようにとの願いが込められています。ラベルの筆文字は日本画家・川端龍子によるもので、無ろ過生原酒「直汲み」シリーズも人気です。岐阜県新酒鑑評会第33回では純米吟醸酒部門で岐阜県知事賞を受賞し、名古屋国税局酒類鑑評会でも純米酒の部で名古屋国税局長賞を受賞するなど高い評価を受けており、全国新酒鑑評会でも平成22酒造年度から令和7酒造年度までに5回金賞を受賞しています。
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「さんやほう(山野豊)」は、関市小瀬で開発された地元の特産米「みのにしき」を使った純米吟醸酒です。名は、地元・倉知祭りの囃子詞に由来し、五穀豊穣を願う言葉が込められています。原料米は関市黒屋の田んぼで、ボランティア組織「さんやほうサポーター」が化学肥料や農薬を一切使わずに育てており、田植えから稲刈り、洗米までを地元の親子連れらが体験する取り組みが20年以上続けられています。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- ネットショップのほか、蔵の店頭でも購入できます。売店は年末年始を除き営業しています。
- 補足
- 蔵見学は6月から8月を除く期間で受け付けています。1月から3月にかけては搾りたての生原酒をその場で瓶詰めする「蔵開き」、4月から5月には有料の利き酒会「お披露目会」も開催されています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岐阜県美濃市相生町2267
- 創業
- 1772年
出典
japansake.or.jp / sakeworld.jp / sakenomy.jp / sakagura-press.com / pon.sh / tanoshiiosake.jp / yomiuri.co.jp / kuramoto-kosaka.com / pref.gifu.lg.jp / city.mino.gifu.jp / bunka.nii.ac.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / gifu-sake.or.jp / tarutsuna.jp / chunichi.co.jp / minokanko.com / letsgifu.com
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