老田酒造店
代表銘柄:鬼ころし
岐阜県
GIFU
1720年創業
1720年(江戸享保年間)創業の歴史を持つ岐阜県高山市の酒蔵です。全国に数多く存在する「鬼ころし」銘柄について、蔵元は、昭和30年代初めに全国で最初に「鬼ころし」を清酒の銘柄(飛騨自慢 鬼ころし)として採用したと説明しており、蔵は「鬼ころしの元祖」を名乗っています。
元々は高山市の中心部(現在の古い町並みエリア)で仕込みを行っていましたが、良質な水と自然環境を求めて高山市清見町へ醸造所を移転しました(旧店舗は直営小売部として営業)。仕込み水には飛騨山脈から湧き出るミネラル豊かな伏流水(硬水)を使用し、原料米には岐阜県産の酒造好適米「ひだほまれ」などを中心に採用しています。
同蔵の「鬼ころし」は単に辛いだけでなく、飲み手の「心の中に宿る鬼(邪心や悪い心)」を追い払ってほしいという願いを込めて醸されています。伝統の技法と温度管理などの設備を併用し、飛騨の気候を生かしたキレのある辛口酒を中心に展開しています。
老田酒造店の歩み
老田酒造店は、江戸時代の享保年間、1720年代の創業と伝わる飛騨高山の酒蔵です。古くから辛口の酒を造り続け、地元では「老田の鬼ころし」の名で長く親しまれてきました。蔵の看板銘柄は、いまも「飛騨自慢 鬼ころし」です。
「鬼ころし」は、辛口の強い酒を指す言葉として国語辞典にも載る普通名詞です。同名の銘柄は全国の蔵にあり、老田酒造店の「飛騨自慢 鬼ころし」とは別の酒です。15代目蔵元の老田英夫さんは、2023年の取材で、昔は甘口の酒が上等とされ、辛口の酒は地元の人が普段に飲む酒だったと話しています。その辛口の酒が「鬼ころし」と呼ばれており、「その呼び名を昭和30年代初め、うちが最初に銘柄として採用したと聞いています」とのことです。蔵はこの経緯から自らを「鬼ころしの元祖」としていますが、これは蔵元自身の説明です。
「鬼ころし」だけでは商標登録ができないため、蔵は「飛騨自慢」の名を冠して銘柄にしました。銘柄にすると爆発的に売れ、のちに全国の酒蔵が同じ名前の酒を造るようになったと蔵元は話しています。ラベルには、疫病除けの神様である鍾馗様が2匹の鬼を退治する姿が描かれています。名前には、鬼も退治できるほどの辛口という意味と、人の心に潜む悪い心を取り除いてほしいという願いが込められています。
蔵はもともと、古い町並みで知られる高山の中心部、上三之町にありました。平成2年(1990年)に、自然と水に恵まれた高山市清見町の現在地へ醸造場を移しています。清見は市街地から車で約30分の山あいです。中心部の旧店舗は、直営の小売部として今も営業しています。
現在の株式会社老田酒造店は2006年12月に設立され、年間出荷量は700石です。2026年時点で、蔵は酒蔵の経営課題に取り組む株式会社伝統蔵のグループ企業で、取締役社長は山岸逸人さんです。杜氏の茂島義弘さんは1969年生まれで、先代の越後杜氏から受け継いだ技術を守りながら、時代の変化と自分の感性を加えた酒造りを目指しています。酒は高山を中心に岐阜県内、東京から九州まで流通し、中国、香港、韓国、タイ、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス、スペインなどへも輸出されています。
受賞では、全国新酒鑑評会で平成28酒造年度に「飛騨自慢鬼ころし」が入賞しています。岐阜県新酒鑑評会では、令和2酒造年度の吟醸酒の部で岐阜県知事賞と連合会長賞、平成26酒造年度の吟醸酒の部で連合会長賞を受けました。名古屋国税局酒類鑑評会では、平成21年度の吟醸酒の部で優等賞に選ばれています。
酒造りの特徴
仕込み水は、蔵の敷地内の自家井戸から汲み上げる飛騨山脈の伏流水で、ミネラルを豊富に含む硬水です。この水は仕込み水だけでなく、米を洗って水を吸わせる工程や、原酒に加える水にも使われています。敷地内には、開放されている「大清見水」の井戸もあります。
清見の冬は、気温がマイナス10度以下になり、周囲に2メートルの雪壁ができる極寒の地です。蔵はこの厳しい寒さが酒造りに適しており、きりっとした辛さを生むと考えています。蔵は特定名称酒に、冬に北アルプスの雪解けの伏流水で育つ岐阜県生まれの酒造好適米「ひだほまれ」を使うとしています。大粒で心白の出る割合が高く、タンパク質が少ない米で、蔵は、ひだほまれで造る酒は五味のバランスがよいとしています。純米大吟醸は精米歩合50%のもののほか、山田錦を35%まで磨いたものもあります。
大吟醸にも山田錦を35%まで磨いて使い、純米酒と一部の本醸造は58%、本醸造は68%です。普通酒には岐阜県産米を70%まで精米して使っています。
製麹では、蒸した麹米を室に引き込むときの温度調整が難しく、ここで良い麹ができるよう気を配ります。大吟醸などの小規模な仕込みには、タンクの周囲に冷媒を循環させて超低温の仕込みに対応するサーマルタンクを使います。蔵は、歴代杜氏の造りの流儀の本筋は違えず、基本技術と柔軟な応用力を大切にして、時代に合った方法で実践するとしています。使う酵母は、主な本醸造と純米酒で901号、純米吟醸、純米大吟醸原酒、大吟醸で協会1801号です。
季節の酒も多彩です。寒仕込みの純米酒を蔵内で秋まで熟成させた「怒髪衝天 ひやおろし」、純米大吟醸の無濾過生原酒を雪を利用した天然の冷蔵庫で貯蔵した「飛騨乃雪室酒」、新米で仕込む初しぼりの生原酒や生酒などがあります。清酒のほか、酒粕を原料にした「飛騨おんど」、飛騨産の宿儺かぼちゃやよもぎを使った本格焼酎も造っています。
代表銘柄
鬼ころし
辛口の「鬼ころし」を代表する銘柄で、正式名は「飛騨自慢 鬼ころし」です。本醸造、純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、大吟醸まで幅広く揃います。最も辛口の純米原酒「怒髪衝天」は、重量感のある本格辛口です。ラベルには鍾馗様が鬼を退治する姿が描かれ、コロナ禍では疫病退散を願う酒としても求められました。
見学・購入
- 直売所
- 直営の小売部が高山市上三之町67の古い町並みにあり、銘柄の試飲や購入ができます。
- 補足
- 営業時間は9時から17時で、休業日は不定休です。試飲の受付は9時から16時までです。醸造所は高山市清見町にあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岐阜県高山市清見町牧ヶ洞1928
- 創業
- 1720年
- 公式サイト
- onikorosi.com
出典
jizake-japan.com / onikorosi.com / sakenomy.jp / gifu-np.co.jp / hida-nombe.jp / fubu.jp / saketime.jp / monogatari-sake.com / jetro.go.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / takayama-gh.com / dentogura.jp
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