SAKE BREWERY — HYOGO

剣菱酒造

兵庫県神戸市東灘区御影本町3-12-5 1505年創業

紹介

室町時代の永正2年(1505年)以前に創業し、500年以上の歴史を持つ兵庫県神戸市の老舗酒蔵です。伊丹から灘へと醸造の舞台を移しながら、「止まった時計でいろ」という家訓のもと、時代の流行に左右されない伝統の味を守り続けています。

酒造りの特徴として、毎年異なるお米のできに合わせて精米歩合を調整するため、精米歩合のラベル表示を行っていません。また、ろ過をし過ぎないことで米本来の旨みや黄色みを帯びた伝統の味わいを活かしています。木製の甑(こしき)や麹蓋の使用、天然乳酸菌を利用する伝統的な山廃仕込みといった昔ながらの手作業を継承し、仕込み水には灘の「宮水」を使用しています。

受賞歴として、2008年に「黒松剣菱 180ml」でグッドデザイン賞を受賞し、2016年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しています。

歴史

剣菱の起源は、稲寺屋という酒屋が伊丹で酒造りを始めた永正2年(1505年)以前にさかのぼります。伊丹の酒は「下り酒」として江戸で人気を博し、元禄10年(1697年)には稲寺屋治郎三郎が伊丹第一位の酒造株を獲得、元禄13年(1700年)には伊丹郷町の惣宿老に就任するなど町の重鎮となりました。元禄15年(1702年)には赤穂浪士の討ち入り前に剣菱が飲まれたとされ、文献に「けんびる」という言葉が残るほどの流行を見せ、元文5年(1740年)には8代将軍徳川吉宗の御膳酒に指定されています。

しかし稲寺屋は、元禄14年(1701年)には仲間内の取り決めを破って酒樽を不正に積み出し(稲寺屋事件)、制裁を受けました。その後も経営は続かず、寛保3年(1743年)に酒株を手放して廃業しました。同年、津国屋が2代目の蔵元として剣菱を継承し、明治5年(1872年)までの100年以上にわたって経営しています。この時期に生まれた「瀧水」の商標は、津国屋の当主・坂上桐蔭が大鹿村で山の水を汲んで酒を醸していたことにちなむ、水へのこだわりを示す商標です(箕面の滝の水にちなむとも伝えられます)。剣菱は国学者の平田篤胤や漢詩人の頼山陽らにも高く評価されました。

明治維新後は稲野利三郎、次いで池上茂兵衛が蔵元を務めましたが、米騒動や関東大震災などで経営は苦しくなりました。昭和3年(1928年)、大阪・谷町で酒販店を営んでいた白樫家が経営を引き継ぎ、醸造の拠点を伊丹から灘(住吉)へ移しています。昭和18年(1943年)には戦時の企業統合令により甲南酒造へ合併され「剣菱」の名は一時姿を消しますが、昭和24年(1949年)の甲南酒造解散に伴い、現在の御影の地で剣菱の名が復活し、同年12月14日に剣菱酒造株式会社として改めて設立されました。戦後、政府が奨励した三倍増醸酒の製造を拒み、米の支給量が減らされても剣菱本来の味を守り抜いたと伝えられています。

平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災では所有していた8つの蔵のうち7つが倒壊する被害を受け、その後4蔵まで再建しましたが、2019年に1蔵を閉鎖し現在は3蔵体制で製造を続けています。2020年には、それまで他の蔵から酒を仕入れる「桶買い」に頼っていた分を含め、製造のすべてを自社醸造へと切り替えました。

酒造り

剣菱酒造には代々受け継がれる3つの家訓があります。流行を追わず一貫した酒造りを貫く「止まった時計でいろ」に加え、「お客さまからいただいた資金は、お客さまのお口にお返ししよう」という原則のもと、得た利益を蔵元の贅沢にではなく酒質の向上に充てる方針を守り、さらに「一般のお客さまが少し背伸びしたら手の届く価格までにしろ」として、江戸時代同様に誰もが同じ剣菱を楽しめる価格を維持し、プレミアム化の申し出も断り続けています。

醸造体制は神戸市東灘区内の複数拠点で分担されており、浜蔵(深江浜町)で瓶詰めと精米を、中蔵(魚崎南町)と魚崎蔵(魚崎南町)で仕込みを行っています。社員数は53人(2024年10月時点)で、うち蔵人は約50人、正社員はそのうち8人です。2020年には従来行っていた他蔵からの桶買いを廃止し、製造のすべてを自社醸造に一本化しました。長年広告を一切打たない方針で知られ、営業活動も社長自らが担う体制が続いています。

蔵データ

所在地

兵庫県神戸市東灘区御影本町3-12-5

創業

1505年(兵庫県)

公式サイト

www.kenbishi.co.jp

代表銘柄

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剣菱:剣菱酒造の看板となる定番酒で、「辛みと旨みがバランスよく調和した、飲みやすいやわらかな味わい」が特徴です。冷やから燗まで幅広い温度帯で楽しめるよう造られており、1.8L・900ml・300mlの瓶のほか、四斗樽や二斗樽などの樽仕込みも用意されています。精米歩合はあえてラベルに表示せず、米の出来に応じて毎年調整することで変わらぬ味を守っています。

黒松剣菱:黒松剣菱は濃厚で芳醇な味わいの一本です。まったりとした穀物香に水あめを思わせる甘い香りが重なり、米の旨み・甘味・コクを舌全体に感じさせます。控えめな酸味と渋味が複雑さを添え、熱燗にするとさらに味が開くため、正月や祝い事の席で親しまれてきました。琥珀色を帯びた見た目も特徴で、照り焼きやすき焼きなど肉料理との相性の良さで知られています。容量は1.8L・900ml・180ml瓶のほか各種樽が用意されています。

瑞穂黒松剣菱:瑞穂黒松剣菱は純米酒で、兵庫県産の山田錦を用いた山廃仕込みの酒のうち、2年以上熟成させたものだけをブレンドして仕上げています。優雅な香りと剣菱ならではのコクのある円熟した味わいが特徴で、華やかな余韻を残しながらも後味の引かないキレの深さを併せ持ちます。720ml瓶で流通しています。

見学・購入

蔵見学

なし

補足

公式サイトで「酒の販売・蔵の見学は行っておりません」と明記されています。2020年開設のオンラインショップ(kenbishi.com)や取引先を通じた流通で購入できます。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

sake-times.com / kenbishi.co.jp / japansake.or.jp / compalyze.co.jp / sakestreet.com / jp.sake-times.com / saketime.jp / store.shopping.yahoo.co.jp / note.com

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