田中酒造場
代表銘柄:名刀正宗・白鷺の城
兵庫県
HYOGO
1835年創業
天保6年(1835年)創業、兵庫県姫路市広畑に位置する酒蔵です。「温故創新」の理念を掲げ、伝統の技を受け継ぎながら新たな酒造りに挑戦しています。
代表銘柄の「名刀正宗」は創業時からの礎であり、かつて姫路城主・酒井忠実へ献上された際にはその味わいを称えられ、自筆の扁額「花気随酒」を賜った歴史を持ちます。また、姫路城の雅名を冠した「白鷺の城」や、幻の酒米とされる「亀の尾」を用いた「亀の甲」などの銘柄も手がけています。
酒造りの特徴として、一度はお蔵入りしていた伝統的な「石掛式天秤搾り」を2000年に復活・継承しているほか、播磨産の酒米を使った地元密着の米作りや超高精白米での仕込みを行っています。受賞歴としては、「白鷺の城 大吟醸」が全国新酒鑑評会にて7年連続金賞を受賞した実績があります。
田中酒造場の歩み
天保6年(1835年)、現在の姫路市広畑区にあたる地で創業しました。姫路城主の酒井家に酒を献上するために清酒づくりを始めたのが出発点で、「名刀正宗」という銘柄を主に造り続けてきました。城中に献上された際には、時の城主酒井忠実から「旨い酒」とお褒めの言葉をいただき、褒美として自筆の扁額「花氣随酒」を賜ったことが、蔵の誇りとして語り継がれています。
現在の当主は6代目の田中康博です。30歳で郷里に戻って家業に加わり、全国の有名な酒蔵を50〜60カ所は回って酒造りを研究したと語っています。3代目は戦後すぐの内閣で運輸大臣を務めるなど、姫路の政治にも深く関わった家柄です。蔵の指針は「温故創新」で、古い技を知るだけにとどまらず、作り手として新しく創ることにこだわり、5年先、10年先の酒造業界を見すえた酒造りを続けています。
伝統の石掛式天秤搾りは、1960年代まで行われていたものの、機械化が進むうちに酒槽や天秤がお蔵入りになっていました。21世紀を前に伝統の酒造りを後世に伝えたいと考えていたところ、蔵の中に道具が残っているのを見つけ、平成12年(2000年)に復活させました。もう一つの柱が米の磨きで、蔵元は2002年から日本で初めて精米歩合20%以下の米を使った酒を仕込み、年々その限界を更新して、2023年度からは精米歩合5%(白米の直径0.8ミリ以下)に達したと説明しています。
全国新酒鑑評会では、昭和63年(1988年)の鑑評会で初めて金賞を受賞しました。蔵元は、初受賞から7年連続で金賞を受けたと説明しています。平成14酒造年度以降に限っても15回入賞しており、うち金賞は平成14・15・18・20・21・22・23・24・27・30の各酒造年度の10回です。入賞にとどまったのは平成17・25・26・28・29の各酒造年度で、平成20酒造年度から24酒造年度までは5年連続の金賞でした。
大阪国税局清酒鑑評会の吟醸酒部門では、平成29年度、平成30年度、令和元年度、令和2年度と4年続けて優秀賞を受けています。
令和2年(2020年)3月、兵庫県産山田錦のみで醸す播磨の日本酒が地理的表示「GIはりま」に認証されました。当主は播磨の酒蔵でつくる団体の会長として関係者の調整にあたり、その後はフランスのワイン産地との交流にも力を注いでいます。2026年時点では専務の田中智久が蔵元杜氏として陣頭指揮を執っており、2026年のKura Masterで金賞を受けた酒もその指揮のもとで造られました。田中智久は広島大学大学院を修了後、賀茂鶴酒造で約10年経験を積み、2013年に蔵へ入りました。
フランス・パリの日本酒コンクールKura Masterでは、2019年・2020年・2021年・2022年・2024年・2025年・2026年に金賞を受け、2025年には生酛純米吟醸 白鷺の城がプラチナ賞(純米51〜65%部門)を受けてファイナリストに選ばれ、2018年には白鷺の城 Arcadia of Sengoku ~Kanbe KURODA~がプラチナ賞(純米大吟醸・純米吟醸部門の上位12酒)、2021年には名刀正宗 乙天の輸出名Chateau SHIRASAGI 65がプラチナ賞(上位16酒)に選ばれました。
ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは2019年、2024年、2025年に金賞、全国燗酒コンテストでは2018年・2019年・2023年に特殊ぬる燗部門の金賞、2022年には白鷺の城 喜縁がプレミアム燗酒部門の最高金賞を受賞しています。蔵が受賞歴として掲げるIWCでは、2016年に純米大吟醸 白鷺の城が銀賞、2022年に生酛純米吟醸 白鷺の城が銀賞、2024年に同じ生酛純米吟醸と純米大吟醸 白鷺の城 美郷錦が銅賞でした。
酒造りの特徴
原料米は兵庫県産の山田錦が中心で、白鷺の城の純米吟醸や大吟醸、名刀正宗の特別純米酒の若天・乙天・情燗屋などに使っています。亀の甲シリーズは「亀の尾4号」を使い、亀の尾は漫画『夏子の酒』で幻の米のモデルとなったことで知られる酒米です。喜縁には加西市野条町の酒米「野条穂」、純米大吟醸 白鷺の城 美郷錦には秋田県産の美郷錦を使い、有機肥料(牛の堆肥)で育てた山田錦で仕込む純米吟醸 白鷺の城 環もあります。
酒米づくりは農家と意見を出し合いながら進めており、将来は田んぼの持ち主の名前で米を表示することが日本酒の標準になるくらいにしたいと当主は話しています。
磨きは蔵の大きな特徴です。大吟醸 白鷺の城は精米歩合35%、純米大吟醸 超特選 白鷺の城 縁結は20%、縁結 結寿は14%まで磨き、結寿は心白を残した日本で一番小さな山田錦で仕込んでいます。亀の甲は、弐拾が20%、参拾九が39%、五拾五が55%で、寿亀は5%です。寿亀の白米の直径は0.8ミリ以下で、旨味が凝縮された米で造る酒は万華鏡のように変化すると蔵は表現しています。一方で精米歩合85%の生酛純米酒 米搗水車や、60%、75%の酒も造り、磨きの違いによる味の違いを楽しんでもらう考えです。
搾りは石掛式天秤搾りが特徴です。サクラ材の酒槽にもろみを詰めた布袋を重ね、盤木と呼ばれる重石を置いたうえで、約5メートルのケヤキの棒の端につるした石の重みを使い、てこの原理でゆっくり搾ります。酒槽は高さ80センチ、幅70センチ、奥行き1.3メートルで、2024年は11月26日に搾りが始まりました。蔵元は、機械式にはないまろやかな酒に仕上がると説明しています。特別純米酒 白鷺の城 稀代は石掛式天秤搾りを使った最初の商品で、名刀正宗 しぼりたて 石掛天秤搾りは12月から3月だけの期間限定の生酒(アルコール添加酒)です。
江戸時代の手法である水車精米、生酛造り、石掛式天秤搾りで仕込むのが、生酛純米酒 米搗水車です。水車を使った杵搗精米は、85%まで磨くのに約40時間を要し、精米中の品温上昇は5℃前後にとどまるため、白米の脂肪酸化が抑えられ、酒に油由来の臭いがほとんど出ないと専務は説明しています。白鷺の城 庭酒は、播磨国風土記の編纂1300年を記念した事業の一環で生まれた酒です。風土記に記述のある庭田神社で、兵庫県立工業技術センターと協働して黄麹菌と新規酵母を採取し、その菌で醸しました。
2016年の専務の紹介では、水車を使った精米歩合85%の杵搗精米による生酛純米酒でした。
代表銘柄
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名刀正宗
創業以来の礎となる銘柄で、姫路城主の酒井忠実から旨い酒と称えられ、扁額を賜った歴史があります。現在は書写山円教寺の守り神にちなむ特別純米酒の若天(蔵で一番の辛口)と、軽快な甘さの乙天、燗酒向きの情燗屋が中心です。乙天は輸出名Chateau SHIRASAGI 65でも展開し、2021年にKura Masterでプラチナ賞、2022年に金賞を受けました。冬には石掛天秤搾りの新酒も出ます。
白鷺の城
姫路城の雅名を冠した蔵の主力銘柄で、主に兵庫県産山田錦を使います。純米吟醸は長年地元で愛される定番で、大吟醸は精米歩合35%、蔵を代表する一本です。純米大吟醸 超特選 縁結は精米歩合20%、縁結 結寿は14%まで磨き、結寿は2026年のKura Masterで金賞でした。野条穂の喜縁は全国燗酒コンテスト2022のプレミアム燗酒部門で最高金賞に輝きました。
楽天で商品を見る見学・購入
- 直売所
- 蔵でも商品を販売しています。来訪は事前にお電話かお問い合わせフォームでの連絡が必要で、営業時間は8:30〜17:30、定休日は土日祝です。
- 補足
- 試飲は行っていません。周辺道路は時間帯によって交通量が多くなります。姫路駅から車で約15分、バスの場合は姫路駅北口から夢前川駅南行きに乗り(約30分)、広畑本町で降りて徒歩2分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県姫路市広畑区本町3-583
- 創業
- 1835年
- 公式サイト
- www.sake-tanaka.com
出典
japansake.or.jp / sake-tanaka.com / sakenomy.jp / issendo.jp / harima-sake.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / kuramaster.com / kansake.jp / finesakeawards.jp / jocr.jp / jozo.or.jp / h-jihou.jp / noroshiofficial.com
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