山陽盃酒造
代表銘柄:播州一献
兵庫県
HYOGO
1837年創業
兵庫県宍粟市山崎町にて、江戸時代後期の天保8年(1837年)に創業した酒蔵です。代表銘柄の「播州一献」は、播州地域の良質な恵みを活かして醸したお酒をどうぞという思いから命名されました。
酒造りでは兵庫県原産米(山田錦など)にこだわり、仕込み水には兵庫県最高峰である氷ノ山の伏流水(揖保川水系)を用いています。料理の引き立て役となるよう、香りは控えめで口当たりが柔らかく、透明感と後切れの良さを追求した酒質が特徴です。また、但馬地域の明延鉱山跡の旧坑道(明壽蔵)を活用した天然貯蔵庫での長期熟成や、兵庫県産リンゴを使ったシードル「RonRon」の醸造など、伝統を維持しながら新しい取り組みも行っています。Kura Masterをはじめとするコンテストでの受賞歴もあります。
山陽盃酒造の歩み
山陽盃酒造は、天保8年(1837年)10月に初代の壺阪恵市郎が糠屋伝七の家を買い受けて酒造業を始めたのが起こりです。創業の地は、現在の宍粟市山崎町山崎にあたります。かつて高瀬舟が米や材木を運んだ揖保川のほとりの城下町で、蔵の前の通りは酒蔵通りと呼ばれてきました。一帯には多くの酒蔵が並んでいましたが、いまは山陽盃酒造と、はす向かいの老松酒造の2蔵が残っています。
昭和25年(1950年)に壺阪酒造有限会社が設立され、昭和41年(1966年)に山陽盃酒造有限会社へ改称、昭和54年(1979年)に株式会社となりました。平成10年(1998年)には6代目の壺阪興一郎さんが代表取締役に就き、平成22年(2010年)には母屋と仕込み蔵が兵庫県の景観形成重要建造物に指定されています。現在は7代目の壺阪雄一さんが蔵元です。雄一さんは東京で酒類卸の営業職を経て2008年に入社し、但馬杜氏のもとで修業を積み、2015年から杜氏として製造を率いています。
平成30年(2018年)11月8日、蔵は大きな火災に見舞われました。ボイラー室付近から出た火が母屋などへ燃え移り、蔵のおよそ半分にあたる約1,400平方メートルが焼け、明治から大正にかけて建てられた木造の仕込み蔵も失われました。幸い死傷者はなく、麹室などは大きな被害を免れ、4日後の11月12日には洗米を再開しています。母屋は再建されて蔵元直営の「播州一献ストア」となり、焼け残った梁や柱が店内の吹き抜けに使われています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても15回入賞し、うち金賞は10回です。金賞は平成16酒造年度が最初で、平成19・20・21・22酒造年度の4年連続、さらに平成24・27・28酒造年度と令和5・6酒造年度に受賞しています。平成26・29酒造年度と令和元・2・4酒造年度は入賞です。令和元酒造年度は決審が中止され、金賞は選ばれませんでした。平成20年には、大吟醸が但馬杜氏組合杜氏自醸酒研究会の県知事賞を受けています。
海外や国内のコンクールでも評価を受けています。IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門では、2021年と2025年に、純米大吟醸 播州吉川産山田錦でゴールドと、兵庫県の純米大吟醸を対象とするトロフィーを受賞し、2024年には純米吟醸 愛山、2026年には純米大吟醸 播州吉川産山田錦と純米吟醸 山田錦でゴールドを得ています。Kura Masterでは2017年(純米酒)、2018年、2020年、2024年に金賞、2022年と2025年にプラチナ賞を受賞しました。
酒造りの特徴
原料米は兵庫県産だけを使います。山田錦のほか、兵庫北錦、兵庫夢錦、愛山などの県産酒米を使います。大吟醸や純米大吟醸には、六甲山の北側にあたる特A地区の播州吉川産山田錦を用いる銘柄があります。仕込み水は、兵庫県最高峰の氷ノ山を水源とする揖保川水系の伏流水を自社の井戸から汲み上げており、硬度30mg/L前後の口当たりのよい軟水です。播州のものを播州の蔵が播州の水で醸すことを信念としています。
造りは小仕込みを基本とし、浸漬は計算した限定吸水で行います。火災後の新しい蔵には、ステンレス製の麹室や冷蔵型の酒母室、冷蔵型の仕込み蔵が整えられました。搾りには自動圧搾機を使い、搾った酒は垂れ壺を介さず、ポンプも使わずに重力だけで下の揚げ桶へ移し、翌日にクリーンルームで瓶詰めするグラビティシステムを採っています。最高峰の大吟醸には、袋に入れたもろみから自然に滴るしずくだけを斗瓶に直接取る袋搾り斗瓶取りがあります。愛山は低温長期のもろみで醸し、2023BYからは米の厚さ方向を削る真吟精米も用いています。
明延鉱山の旧坑道には、関西で唯一の鉱山貯蔵庫「明壽蔵」があります。養父市にある明延鉱山は昭和62年(1987年)に閉山した錫の鉱山で、明壽蔵の名は近くの大壽立坑と明延の一字ずつに由来します。坑内は遮光性が高く、一年を通して10〜12℃前後の一定温度に保たれ、振動もありません。ここで熟成させる鉱山熟成大吟醸「明壽蔵」は、山田錦40%精米の大吟醸を貯蔵した酒で、5年以上を目安に熟成させ、味わいを見て出荷するため、5年未満の場合もあります。
熟成酒に取り組み始めた平成のころに、自然の力で長期熟成ができる場所を探して設けた貯蔵庫です。2025年6月には、明壽蔵で1年熟成させた純米酒「明延」の蔵出しがありました。養父市大屋町宮垣の蛇紋岩地層で育てた兵庫北錦を使い、坑内の平均気温は約12度です。
令和2年(2020年)6月には果実酒の製造免許を取り、日本酒の醸造技術を生かしたシードル「CIDRE RonRon」も手がけています。2018年の火災を経て地元の魅力を酒に詰めて発信しようと決め、2年の研究開発を経て同年12月に発売しました。兵庫県産のリンゴだけを原料に清酒酵母を使い、瓶内二次発酵で仕込みます。セミスイートとドライのほか、アルコール分2%のロンロン ライトも定番で、2026年のJapan Cider Cupではドライが銀賞を受賞しました。
代表銘柄
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播州一献
「播州一献」は、兵庫県産の酒米だけで醸す山陽盃酒造の代表銘柄です。名は、播州の米と水で手間ひまを惜しまず醸した酒を一杯どうぞという思いに由来します。食卓に置いて料理と合わせることを理想とし、旨味と程よい酸があり、後味がすっと切れる酒を目指しています。特A地区の播州吉川産山田錦の純米大吟醸、播州産愛山の純米吟醸、超辛シリーズなど、通年品から季節限定酒まで揃います。
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- 直売所
- 蔵に併設された直営店「播州一献ストア」(宍粟市山崎町山崎28)で、播州一献やシードル、酒粕、徳利などのグッズ、宍粟市内でのみ買える「庭酒」、地元の発酵関連の名産品を扱っています。営業時間は11時から16時30分、定休日は年末年始です。駐車場があり、山崎ICから車で約5分、山崎バス停から徒歩約7分です。
- 補足
- 母屋を再建した店内では、火災で焼け残った梁や柱、宍粟市音水産の樹齢250年のヒノキの一枚板のテーブルを見ることができます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県宍粟市山崎町山崎28
- 創業
- 1837年
- 公式サイト
- www.sanyouhai.com
出典
sakenomy.jp / j-s-p.or.jp / vintage-nishiharima.jp / sanyouhai.com / harima-sake.jp / inuisaketen.online / nihonshu-tourism.com / kuramaster.com / jp.sake-times.com / jozo.or.jp / hasegawasaketen.com / nta.go.jp / nrib.go.jp
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