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本田商店

代表銘柄:龍力

兵庫県

HYOGO

1921年創業

兵庫県姫路市で1921年に創業した酒蔵です。「米の酒は米の味」を基本理念に掲げ、酒米の王様と評される「山田錦」の品質に徹底してこだわっています。最高品質とされる兵庫県特A地区産の山田錦を中心に使用し、農家との専属栽培契約や大学での土壌研究を通して、田んぼごとの土壌特性(テロワール)を酒造りに生かす取り組みを行っています。また、業界に先駆けて全量酒造好適米の使用や生酒の流通、大吟醸酒の醸造に挑んできた歴史があります。

受賞歴としては、全国新酒鑑評会で代表銘柄「大吟醸 米のささやき YK-35」などが、蔵の発表では2026年時点で通算31個の金賞を受賞しているほか、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でのゴールドメダル、Kura Masterでの受賞など、国内外の品評会で高い評価を受けています。

本田商店の歩み

本田家は元禄の頃から播州杜氏の総取締役として酒造りに携わってきた家で、酒蔵としての本田商店の始まりは意外にも小売酒屋でした。初代の本田新二は、現在の姫路市にあたる余部の造り酒屋の次男に生まれ、明治の終わりごろに網干駅前で酒の小売を始めます。網干駅は貨物列車が停まる駅で、近隣の酒屋の荷受けを引き受けるうちに酒を卸す問屋の役も担うようになりました。さらに近くの村の庄屋の米蔵の管理を任され、その人柄を見込まれて米を貸してもらって酒造りを勧められます。

龍野のカネヰ醤油から清酒製造の権利を譲り受け、1921年(大正10年)に酒造りを始めました。「本田商店」という酒蔵らしからぬ社名は、この小売酒屋の出発点に由来します。

「人のやらなかったこと」に挑む姿勢を強めたのは、3代目の本田武義と4代目の本田眞一郎です。1976年にしぼりたての生酒「蔵出し新酒」を発売し、1979年には「大吟醸 龍力 米のささやき」を世に出しました。燗をつけて飲むのが当たり前だった時代に、冷やして味わう大吟醸という飲み方を広めた1本です。1981年には有志の蔵とともに日本吟醸酒協会を設立し、武義が初代理事長に就きました。昭和59酒造年度(1985年発表)には、秋津地区の酒米を使った酒で、姫路酒造組合の蔵として初めて全国新酒鑑評会の金賞を受賞します。

1992年には使う米のすべてを酒造好適米に切り替え、1996年には秋津の山田錦の契約栽培による「純米大吟醸 秋津」を発売しました。1997年には、約100年ぶりに復活させた明治期の酒米「神力」を蔵の地元で栽培し、1998年にその米で清酒「神力」を造り出しています。

全国新酒鑑評会では、その後も平成8・9・12・13酒造年度に「大吟醸 米のささやき YK-35」で金賞を受賞しました。平成14酒造年度以降は、全国新酒鑑評会で22酒造年度にわたって入賞し、そのうち金賞に選ばれたのは平成14・18・22・23・24・25・26・27・29・30、令和2・3・4・5・6・7の16酒造年度です。出品は尚龍蔵と親龍蔵の2つの製造場から行っており、金賞酒は両蔵合わせて24点になります。平成22・25・27、令和2・3・4・5・7の各酒造年度は、2つの蔵がそろって金賞を受けました。

令和2酒造年度から令和7酒造年度までは6年続けての金賞です。蔵は令和7酒造年度の受賞を、通算で31個目の金賞として数えています。

全国新酒鑑評会のほかに、大阪国税局清酒鑑評会でも平成30年度から令和7年度まで毎年、優秀賞を受けています。吟醸酒の部は「米のささやき」で平成30年度、令和元年度、令和2年度、令和3年度、令和4年度、令和5年度、令和7年度の7回、燗酒用清酒の部は熟成古酒で令和元年度(「熟成古酒」)、令和3年度(「玄妙プレミアム」)、令和4年度(「玄妙 甘蜜」)、令和5年度(「玄妙」)、令和6年度、令和7年度(ともに「熟成古酒 玄妙」)の6回です。令和6年度は燗酒用清酒の部だけの受賞で、吟醸酒の部の受賞はありませんでした。

海外でも、2008年にアメリカのWorld Wine Championshipsで「大吟醸 龍力 米のささやき」が世界最高金賞のプラチナメダルを受け、純米の部では「龍力 黒ひげ」が主席金賞に選ばれました。IWCでは2021年に「大吟醸 米のささやき YK-35」が大吟醸酒の部でゴールドメダルと兵庫大吟醸トロフィーを獲得し、2021年と2024年には熟成古酒が古酒の部でゴールドメダルを受けています。

2023年には「米のささやき YK-35」がゴールドメダルを取り、2026年にはゴールドメダルと大吟醸トロフィーを同時に受賞しました。

2021年に創業100周年を迎え、同年10月には5代目の本田龍祐が代表取締役社長に就任しました。本田眞一郎は取締役会長を務めています。新型コロナの流行で売上が大きく落ち込む中、龍祐は酒造りの体制を見直すとともに、直営店の展開にも乗り出しました。2021年11月には熟成古酒に特化した直営店「タツリキショップ 玄妙庵」を姫路のイーグレひめじに開き、2024年7月には同じ建物の4階に日本料理店とのコラボ店「きこう×龍力」も開いています。

熟成古酒の「玄妙」「玄妙甘蜜」は近年の受賞の中心で、Kura Masterでは2022年に「玄妙」が金賞、2023年に「玄妙甘蜜」がプラチナメダルとベスト16、2026年にも「玄妙甘蜜」がプラチナ賞を受けました。燗酒では、2012年の燗酒コンテストで「龍力 生酛仕込み」が最高金賞を受けています。ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは2022年に「大吟醸 米のささやき YK-35」がプレミアム大吟醸部門の最高金賞に選ばれました。

全国燗酒コンテストでも2024年に「玄妙」が特殊ぬる燗部門の最高金賞、2025年に「玄妙甘蜜」が同部門の最高金賞を受賞しています。

酒造りの特徴

龍力の酒造りは、原料米の選び方に集約されます。理念は「米の酒は米の味」で、原料米の85パーセントが山田錦です。山田錦は兵庫県特A地区産のものだけを使い、等級は特上や特等を主体としています。さらに特A地区の中でも土壌条件のよい農家と専属栽培契約を結び、有機肥料、低農薬、への字型栽培、稲木掛けの自然乾燥で育ててもらっています。加東市秋津の都倉氏が栽培する山田錦は、「純米大吟醸 秋津」の原料です。

使う米はすべて酒造好適米で、山田錦のほかに岡山市東区瀬戸町産の雄町、多可町中区産の山田穂、たつの市御津町中島産の神力、豊岡市田鶴野地区産の五百萬石、兵庫錦を使い分けています。玄米からの精米も自社で行い、「米のささやき YK-35」は山田錦を100時間かけて35パーセントまで磨いています。

山田錦の土壌を調べる研究も、龍力ならではの取り組みです。3代目の本田武義は晩年の約20年間、京都大学大学院農学研究科の土壌研究室で研究を続け、加古川、東条川、美嚢川の集水域ごとに土壌の特性を調べました。その結果、社地区は粘土鉱物がイライトを主とし、東条地区と吉川町はスメクタイトを主とする粘土層で、地力にも違いがあると分かったのです。蔵は土壌の断面を示す標本のモノリスを作成し、社、東条、吉川の山田錦を別々に醸した3本の飲み比べセットも造っています。

この研究は2018年まで行われ、蔵は成果を「龍力テロワール」として酒造りに生かしています。

定番の「大吟醸 米のささやき YK40-50」は、酒母と麹に使う米を40パーセントまで磨き、掛米は50パーセントに磨いて仕込みます。この酒の酵母は、吟醸酒の火付け役となったきょうかい9号酵母の元株にあたる熊本酵母です。令和6酒造年度は米が硬く香りが出にくい年でしたが、酵素剤は使わず、例年より製麹の時間を長くとって麹の力を引き出しました。コロナ禍をきっかけに、朝5時だった就業開始を朝8時に改め、発酵を見守る造りを正式に取り入れています。

その結果、香りの高い酒は大吟醸に、旨みのしっかりした酒は純米大吟醸にと造り分けられるようになり、「純米大吟醸 米のささやき」が生まれました。

熟成酒と新しい酒米にも力を入れています。龍力は約40年にわたって熟成古酒を手がけており、「熟成古酒 玄妙」は熟成させた数種類の日本酒を独自にブレンドした酒です。「純米大吟醸 秋津」のほか、マイナス3度の冷蔵庫で貯蔵する「特別純米 氷温貯蔵生原酒 山田錦」もあります。色で飲み方を示すドラゴンシリーズは、大吟醸の「青」、燗で楽しむ特別純米の「赤」などが並び、「ドラゴン 青 Episode1」では自社で山田錦の米粉と大吟醸の酒粕を発酵、蒸留した醸造アルコールを使っています。

山田錦と神力を交配した新しい酒米は、12年の歳月をかけて育成され、2022年4月に酒造好適米と認められて「神龍錦」と名付けられました。

代表銘柄

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龍力

蔵の代表銘柄で、読みは「たつりき」です。看板は1979年に発売した大吟醸「米のささやき」で、兵庫県特A地区産の山田錦を35パーセントまで磨いたYK-35は、全国新酒鑑評会の金賞やIWCのトロフィーに輝いています。生酛仕込みの特別純米、熟成古酒の玄妙、色で飲み方を示すドラゴンシリーズ、秋津の山田錦による純米大吟醸もそろいます。

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見学・購入

蔵見学
なし
直売所
龍力テロワール館(本社1階)は蔵直販売所で、営業は月曜から金曜の9時から17時、日曜と祝日が定休、土曜は不定休です。山田錦を育む土壌標本の展示を見ながら試飲と購入ができ、JR網干駅から徒歩数分です。姫路駅地下街のグランフェスタ2番街B1Fには直販店「タツリキショップ」(10時から20時)があります。姫路のイーグレひめじ1階には、熟成古酒に特化した直営店「タツリキショップ イーグレひめじ店 玄妙庵」(12時から19時、火曜・水曜定休、祝日を除く)があり、有料試飲や熟成古酒のブレンド体験ができます。
補足
蔵見学は受け付けていませんが、毎年2月から3月上旬に新酒利酒会を開いています。2026年は2月1日から3月8日に、蔵の説明30分と利酒会1時間の約1時間半、1名2,000円(酒粕のお土産付き)で、予約はオフィシャルサイトの専用ページから受け付けました。2026年の夏には、7月4日・7月18日・8月1日・8月8日の4日間限定でプレミアム利酒会も開き、1名3,000円で「純米大吟醸 秋津」1杯とお土産が付きました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
兵庫県姫路市網干区高田361-1
創業
1921年
公式サイト
www.taturiki.com

出典

note.com / japansake.or.jp / taturiki.com / sakenomy.jp / compalyze.co.jp / zennoh-intl.com / sakagura-press.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / jp.sake-times.com / finesakeawards.jp

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