SAKE BREWERY — HYOGO

辰馬本家酒造

兵庫県西宮市建石町2-10 1662年創業

紹介

1662年(寛文2年)に初代辰屋吉左衛門が西宮の邸内で清冽な井戸水を見つけ、酒造りを始めたとされる灘五郷(西宮郷)の老舗酒蔵です。基幹銘柄「白鹿」の名は、唐の玄宗皇帝の宮中に千年生きた白鹿が迷い込んだという長生を祈る故事に由来し、特定名称酒には「黒松白鹿」が用いられています。酒造りにおいては「酒はつくるものではなく、育てるもの」を信念とし、酒造適水とされる「宮水」や兵庫県産の酒米、六甲おろしといった恵まれた風土を生かした醸造を行っています。伝統的な技法を受け継ぐ一方で、近代的な製造拠点「六光蔵」では最新技術を導入しており、全国新酒鑑評会で4年連続金賞を受賞するなど、高い技術と品質を維持しています。また、酒造道具や文献などを展示する「酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)」や直営レストラン「白鹿クラシックス」を展開するほか、教育・地域文化を支える社会貢献活動など多角的な事業にも取り組んでいます。

歴史

1662年(寛文2年)、初代辰屋吉左衛門が西宮の邸内に井戸を掘り、湧き出た清冽な水を得て酒造りを始めたと伝えられています。当初は「酒造りには樽が要る」との考えから酒樽づくりも家業とし、酒造業と樽廻船による輸送を両輪に事業を広げていきました。

江戸時代中期以降、灘・西宮の酒は「下り酒」として江戸で人気を博し、幕末には灘の銘酒としての地位を確立しました。1842年(天保13年)には十代辰馬吉左衛門が西宮酒造家の総代となり、江戸積酒造に貢献しています。事業は回漕業や金融業にも広がり、1848年(嘉永元年)には居宅蔵の井戸水が良質であるとして、灘の酒造家十数軒へ「宮水」として販売を始めました。灘五郷・西宮郷における宮水利用の歴史を語るうえで欠かせない出来事です。

明治以降は博覧会での評価が相次ぎました。1877年(明治10年)の第一回内国勧業博覧会で清酒「白鹿」が花紋章を受賞、1889年(明治22年)のパリ万国博覧会でメダルと賞状を受賞し、国内醸造石高は全国第一位となりました。1893年(明治26年)にはシカゴ万国博覧会にも出品し入賞しています。1894年(明治27年)には新田醸造蔵が十番蔵まで完成し、のちに「双子蔵」と呼ばれる煉瓦造りの蔵として100年以上現役で使われました。1917年(大正6年)に辰馬本家酒造株式会社を設立し、1920年(大正9年)には丹波杜氏・梅田多三郎が高級酒「黒松白鹿」を完成させ、樽詰で発売しています。商標「白鹿」は、唐の玄宗皇帝の宮中に迷い込んだ千年生きた白鹿が長寿の瑞祥とされたという中国神仙思想の故事に由来し、江戸時代の看板には「宜春苑 長生自得千年寿 白鹿」と記されていました。

1945年(昭和20年)の戦災で自社53蔵のうち35蔵を焼失しましたが、煉瓦造りの双子蔵は奇跡的に残された蔵のひとつでした。しかしその双子蔵も、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災による壊滅を免れることはできませんでした。震災に先立つ1993年(平成5年)には、自動化設備と手造り蔵を同じ建屋に備えた新蔵「六光蔵」が完成しており、丹波杜氏の伝統技術と最新技術を融合させる体制がすでに整えられていました。1982年(昭和57年、創業320年)には、酒造りの歴史資料を公開する白鹿記念酒造博物館(酒ミュージアム)を開設しています。

酒造り

白鹿の酒造りの根本には「酒は造るものではなく、育てるもの」という理念があります。仕込み水には西宮の邸内井戸から採れる「宮水」を用いており、酵母の発酵を促すリンやカリウムなどのミネラルを多く含む硬水でありながら鉄分が極めて少なく、酒造りに適した水とされています。1848年(嘉永元年)には居宅蔵の井戸水を灘の酒造家十数軒に「宮水」として販売した歴史も持ちます。

使用する山田錦は、兵庫県美嚢・加東地区で1936年に品種改良によって生まれた酒米で、白鹿が使用するものはすべて兵庫県産です。契約栽培農家でつくる「白鹿会」を通じて調達しており、灘の酒造家と農家の信頼関係が優れた酒米づくりを支えてきました。仕込みには六甲山から吹き下ろす寒風「六甲おろし」も欠かせない自然条件です。

杜氏は丹波杜氏の系譜を受け継ぎ、1920年には丹波杜氏・梅田多三郎が高級酒「黒松白鹿」を完成させています。1993年に完成した「六光蔵」は、自動化設備と手造り蔵を同一建屋に併設した蔵で、丹波杜氏の伝統技術と最新のバイオテクノロジーを融合させています。時代が変わっても、杜氏や蔵人の手加減によって生まれる微妙な違いを大切にする姿勢が受け継がれています。

蔵データ

所在地

兵庫県西宮市建石町2-10

創業

1662年(兵庫県)

公式サイト

www.hakushika.co.jp

代表銘柄

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黒松白鹿:1920年(大正9年)に丹波杜氏・梅田多三郎が完成させた高級酒で、樽詰での発売以来、白鹿の特定名称酒に用いられる基幹ブランドです。上撰・特撰・超特撰など幅広い等級を展開し、超特撰では純米大吟醸「豪華千年壽」や特別純米「山田錦」なども揃います。料理の味を引き立てる旨口でマイルドな酒質を志向しています。

すずろ:しぼりたての酒を冷蔵で貯蔵したフレッシュな味わいが特徴の、春夏限定の普通酒です。ほのかに薫るさわやかな香りとやや甘みのある口当たりで、日本酒度は-2、アルコール分は14~15度未満。薬味を添えた冷奴など夏の料理との相性を意識しており、ワイングラスでおいしい日本酒アワードでも複数回受賞しています。

白鹿:「毎日気軽に飲むお酒」と位置づけられる、普通酒を中心とした日常づかいのブランドです。代表的な「白鹿 辛口」は日本酒度+4で、五味のバランスがよく軽くさっぱりとした飲み口が特徴。常温からぬる燗・熱燗まで幅広い温度帯で楽しめ、日々の食卓に寄り添う酒として展開されています。

ozu:2014年に京都で開いた発信拠点「おづKyoto -maison du sake-」から生まれた現代的なシリーズです。看板商品「おづプルミエ」は精米歩合35%の純米大吟醸で、宮水を用いて醸造されています。洗練されたボトルデザインを通じて、日本酒に親しむ新しいライフスタイルを提案するブランドです。

見学・購入

蔵見学

あり(要事前確認)

直売所

白鹿クラシックス(酒蔵の店)では有料試飲が可能です。白鹿オンラインショップでの通信販売のほか、酒ミュージアムでも刊行物などの販売を行っています。

補足

酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)は記念館と酒蔵館の2施設からなり、酒造りの歴史資料の展示や、こどもツアーなどの体験プログラムを提供しています。所在地は兵庫県西宮市鞍掛町8-21、営業時間は10:00~17:00(入館は16:30まで)、休館日は火曜(祝日の場合は翌日)と年末年始・夏期休暇です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

japansake.or.jp / sakedata.jp / hakushika.co.jp / chuo-kanko.or.jp / wikipedia.org / tanoshiiosake.jp / compalyze.co.jp / sakeworld.jp / nishinomiya-style.jp / nihonshu-tourism.com / sake-museum.jp / sakagura-press.com

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