小布施ワイナリー
代表銘柄:ソガペール エ フィス
長野県
NAGANO
1867年創業
長野県小布施町にある小布施ワイナリーは、1867年に前身の清酒蔵(小布施酒造)として創業し、戦時中の廃業を経て1942年にワイン製造を開始し、1962年に清酒の製造免許を復活させた歴史を持ちます。
本業はワイナリーですが、ワイン農園の仕事が休みとなる冬の数週間、ワイン設備を共用して少量のみ醸される日本酒(SAKE)が代表銘柄「ソガペール エ フィス」です。
醸造の大きな特徴は、長野県産美山錦のみを使用する「ブルゴーニュ的単一品種思想」や、70年ぶりに復活させた旧協会1〜5号酵母、6号酵母を用いた古典生酛造りです。培養酵母や活性炭などの添加物は使用せず、純米・生酛による自然派の酒造りを徹底しています。
ワイン醸造において過去に国際コンクールや国内コンクールで金賞を受賞した実績を持ちますが、現在は脱コンクールを宣言し、畑仕事と自然派醸造に専念しています。蔵元での日本酒直売は行わず、全国の特約店を通じてのみ販売される希少な銘柄となっています。
小布施ワイナリーの歩み
小布施蔵の始まりは1867年(慶応3年)にさかのぼります。舟問屋を営んでいた曽我家が清酒造りを始め、地元に愛される小さな蔵として歩み出しました。当時の代表銘柄は「泉瀧」(いずみたき)です。
1942年(昭和17年)、戦争が激しくなって米不足が深刻になるなか、75年続いた蔵は国策によって廃業を余儀なくされました。当主の曽我市之丞は家業を失い、やむなくワイン(果実酒)造りを始めます。ワイン製造免許での製造が始まった当時は、シードルが中心でした。市之丞は、清酒の製造免許を国に没収されたのは自分の責任だと受け止め、戦後は「自分の目の黒いうちに必ず清酒造りを復活させる」が口癖でした。
戦後、市之丞は国税局をはじめとする役所に通い続けました。その努力が実り、1962年(昭和37年)に清酒製造免許が復活します。このような小さな蔵の復活は前例のないことでした。ただ、20年のブランクがあり、かつてのお得意様はすでにいなくなっていました。その時期の曽我家を支えたのはワイン造りです。蔵は、製造量が少なく利益が出なくても日本酒を造り続けることを家訓としています。
現在の小布施ワイナリーは4代目の曽我彰彦さんが率い、蔵は日本酒を、本業のワイン造りの合間に趣味で極少量を造る酒と位置づけています。2011年3月のダイレクトメールでは、培養酵母などを加えない生酛造りに取り組むことと、全商品を純米にすることを宣言しました。2012年収穫の米から、通常は使われない協会1号から5号の酵母を復刻して醸すようになり、2014年収穫の米では全商品を生酛とする体制に踏み出しています。
2026年3月製造表示で2025年収穫の長野県産美山錦を使った酒が出荷されており、冬の醸造は現在も続いています。
酒造りの特徴
仕込みは、雪と厳寒でワイン畑の仕事ができない冬の数週間に行います。ワイナリーのスタッフ全員がワイン造りから離れ、衛生管理を行ったうえで、ワインの設備を共用して醸します。目的は醸造の研究と技術の向上で、採算を意識しない造りです。生産量は、2019年時点で年間約40石(約7,000リットル)です。
原料米は長野県産の美山錦だけです。ブルゴーニュワインの単一品種の考え方にならい、一つの米にこだわります。2025年収穫分には、個人の栽培者が農薬不使用で育てた美山錦も使われ、その田の収穫量は一般の美山錦の約3分の1でした。2025年収穫米のリア サケ ナチュレルの精米歩合は70%で、蔵は低タンパクの米のため削らなくても滋味豊かな酒になると説明しています。米は木桶の甑(こしき)で蒸し、麹は機械を使わず手で造ります。
酒母は全量が生酛で、蔵はこれを「古典生酛」と呼びます。炭、アルコール、酵素、培養乳酸菌、培養硝酸還元菌、無機塩類は加えません。発酵には、旧協会1号から5号と戦前に発見された6号の酵母を使い、蔵は1号から5号を70年ぶりに復活させたと説明しています。2010年代には7号や9号の酵母を使った酒もありました。ろ過や活性炭処理で色を抜かず、淡い山吹色の酒に仕上げます。
酵母ごとに別の酒として仕込み、名前は協会酵母の番号をフランス語で読んだものです。1号はヌメロ アン、2号はドゥー、3号はトロワ、4号はキャトル、5号はサンク、6号はヌメロ シスです。1号から6号の酵母と自然界の菌を混ぜて発酵させたリア サケ ナチュレルや、1号と2号の混交発酵のイリヤ ソントンもあります。毎年新しい試みがあるため、翌年に同じ酒が出るとは限りません。
代表銘柄
ソガペール エ フィス
銘柄名は、フランス語で父と息子を意味する「ソガ ペール エ フィス」です。酵母の番号ごとに「サケ エロティック」シリーズとして出荷され、長野県産美山錦の純米、生酛造りです。蔵は「吟醸香マニア不向き」と語り、香味はワインに迎合しない方針です。ラベルには原料米の収穫年が記され、冬の仕込みのあと、1〜3月ごろから酵母ごとに順次出荷されます。販売は全国の特約店に限られます。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- ワイナリーの試飲・販売所ではワイン以外は販売していません。日本酒は全国の特約店で取り扱われています。
- 補足
- 畑仕事に集中するため、ワイナリーやワイン畑の見学案内は受け付けていません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県上高井郡小布施町大字押羽571
- 創業
- 1867年
- 公式サイト
- obusewinery.com
出典
wikipedia.org / nihonwine.jp / sakenomy.jp / cocolog-nifty.com / tanoshiiosake.jp / note.com / by-onko-chishin.com / sake-culture.com / azumarikishi.co.jp / favoriteslibrary-sake.com / yuris-usefulgoods.com / obusewinery.com / obuse.net / aikikaku.blog.jp / nomooo.jp / saketime.jp / sakeai.com / sakeno.com / houjin-bangou.nta.go.jp
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