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下関酒造

代表銘柄:関娘

山口県

YAMAGUCHI

1923年創業

下関酒造の建物
下関酒造の建物(2011年撮影)「下関酒造 - panoramio.jpg」 — 写真:masao1941 / CC BY 3.0縮小・WebP変換

1923年(大正12年)創業。当時は造り酒屋がなかった下関で、「自分たちの米で美味しい酒を造りたい」という想いから地元の米農家445名が結集して設立された稀有な歴史を持つ。代表銘柄の「関娘」は、地名の「関」とかつての優しい甘口の酒質を娘にたとえた「娘」に由来し、長年地域で愛されている。

山口県で初めて杜氏制度を廃止し、社員による酒造りへと移行。異業種出身などの多様な蔵人が技術を持ち寄り、地下160mから汲み上げる地下水と地元契約農家の酒米を用いて酒造りを行っている。企業理念は「酒と食と心の感動」で、下関の豊富な海産物など多彩な食文化に寄り添う酒を目指す。

全国新酒鑑評会での金賞受賞(2000年・2003年・2004年)をはじめ、「関娘」や「海響」のモンドセレクション金賞、「蔵人の自慢酒」のワイングラスでおいしい日本酒アワード最高金賞やロンドン酒チャレンジプラチナ賞、「とらふくのひれ酒」の農林水産大臣賞など、国内外のコンテストで数多くの受賞歴を誇る。

下関酒造の歩み

下関酒造は、1923年(大正12年)12月15日に設立された山口県下関市の酒蔵です。当時の下関には酒造業者がなく、地元の村長を務めていた内田勝太郎が幹部と協議して、近隣の農家が育てた米で酒を造る会社の設立を計画しました。資本金は15万円、株式は3,000株で、近隣の農家を中心とする株主445名による市民企業として、幡生の円光寺での創立総会を経て発足しています。

戦後は1954年に資本金が620万円に増え、1971年、1977年、1982年の3次にわたる近代化五カ年計画で生産設備の近代化が進みました。1982年に米焼酎、1988年にはリキュールの製造免許を得て、「ふくのひれ酒」の製造と販売を始めました。開発のきっかけは、下関の税務署長が、ふぐの本場に商品化されたひれ酒がないのは遺憾だと指摘したことでした。1996年には長男の内田忠臣が社長に就任しています。

酒造りの体制も変わりました。1992年に液化仕込みの機械を導入し、杜氏制度と社員による酒造りを併用する醸造を始め、1994年には女性スタッフだけによる酒造りを実現しています。蔵の発表では、1998年に山口県で初めて杜氏制度を廃止して社員による酒造りへ移り、26歳の杜氏と20代の蔵人からなる製造部醸造課が発足しました。現在の醸造課には、半導体メーカーのエンジニアや歯科技工士から転じた蔵人もいます。

2001年には直売店「酒庵 空」を開き、2002年に多目的イベントホール「酒蔵ホール」、2009年から酒蔵祭り、2011年には酒蔵カフェを加えています。直売店とカフェは、大正時代に建てられた社屋の一部を改装したものです。

地元の米と水で造る酒にも取り組んできました。2015年にJA下関と「下関地酒プロジェクト」を始め、下関市豊浦町と内日地区で栽培された山田錦、約3.4トンから、720mlで1,700本の「下関 Spirits445」が2016年に完成しました。銘柄名は創業時の株主数445名にちなんでいます。2018年にはシンガポール向けに「獅道」の輸出を始めています。創業100周年の節目には、主力の「せきむすめ」を純米大吟醸としてリニューアルし、ファンと一緒に酒造りを行いました。

全国新酒鑑評会では、昭和50年代後半から60年代初めにかけて金賞を受けたほか、蔵の発表では2000年にも金賞を受けています。平成14酒造年度以降の入賞は5回で、金賞は平成14酒造年度と平成15酒造年度の2回、入賞は平成16酒造年度、平成19酒造年度、平成29酒造年度です。広島国税局の清酒鑑評会の優等賞は、平成19年、20年、23年、24年、25年、27年、30年、令和2年、令和3年の9回で、平成16年は入賞でした。「ふくのひれ酒」は1991年に全国推奨観光土産品審査会で農林水産大臣賞を受けています。

蔵の発表では、「蔵人の自慢酒」がワイングラスでおいしい日本酒アワードのプレミアム純米酒部門で2018年と2019年に最高金賞、ロンドン酒チャレンジで2019年と2020年にプラチナ賞、「獅道38」は同じ2019年と2020年のロンドン酒チャレンジで金賞、「関娘 大吟醸原酒」は2018年に金賞を受け、シンガポール酒チャレンジ2023では獅道38が金賞、蔵人の自慢酒がプラチナ賞でした。

このほか、基準を満たした製品に与えられる品質評価であるモンドセレクションでは、蔵の発表によると、「海響」が2013年と2017年から2019年まで、「関娘」の「大吟醸 KUブランド」と「純米酒 KUブランド」が2014年に金賞を受けています。

酒造りの特徴

仕込み水は、蔵の真下を流れる伏流水を地下160mから汲み上げた中軟水です。花崗岩の下を流れる水で、軟水と硬水の中間にあたる水質のため、甘口から辛口まで幅広い味わいを造り分ける土台になっています。酒造りは1998年から従業員が担い、コンピューター制御による醪の撹拌や温度管理を導入しています。「獅道」では、従来は勘に頼っていた部分を数値化し、室を改造して温度と湿度の管理を徹底しました。

米は、下関産の山田錦を使う銘柄があります。「獅道38」は、契約農家が下関酒造専用に育てた山田錦を全量使い、精米歩合は38パーセントです。「蔵人の自慢酒」は下関産の山田錦を50パーセントまで磨いた純米吟醸で、「下関SPIRIT OF 445」も米、水、蔵人まで下関産にこだわり、精米50パーセントの純米大吟醸に仕上げています。「海響」は魚料理に合う、香りを抑えた精米50パーセントの大吟醸で、純米大吟醸もあります。

下関はふぐの水揚げが日本有数の港町で、「ふくのひれ酒」は蔵の看板商品です。ひれを入れると濁りやすく、長期保存が難しいとされていたため、ひれの乾燥や焼き方、保存方法から見直しました。厳選したとらふぐのひれだけを独自の方法で焼き上げ、ひれそのものを入れた一合サイズのワンカップに仕立て、開発時には製造から1年後の品質を確かめたうえで発売に踏み切りました。同じ蔵では、米と米麹だけで造るノンアルコール・無添加・無加糖の甘酒や、日本酒に梅を漬けた梅酒も造っています。

魚介との相性を意識した商品も揃えています。辛口の「馬関」シリーズ、香りを抑えた「海響」、うに、さーもん、くじら、ふぐ、おいすたーの5種を魚介に合わせて造り分けた300mlの「ALL BLUE」などです。「関娘 復刻版」は、きりっと冴える辛口の酒で、熱燗で味わう酒として売られています。平成25年の広島国税局清酒鑑評会では、燗酒部門で「上撰 関娘」が優等賞を受けました。

代表銘柄

関娘

「関娘」は1923年の創業以来、蔵の代表銘柄として造り続けられてきました。名前は、下関の「関」と、かつての優しい甘口の酒質を娘にたとえた「娘」に由来します。「超特撰 関娘 大吟醸」は精米歩合35パーセントで、洋梨を思わせる清楚で上品な香りです。広島国税局清酒鑑評会では、「関娘 大吟醸」が平成23年、24年、30年に優等賞を受けています。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
敷地内に直売店「酒庵 空」があります(平日10:00〜17:00)。併設のカフェ「shuan KU cafe」は、2026年10月時点では一時休業中です。
補足
酒蔵見学では貯蔵蔵、濾過機、瓶詰工場を見られますが、仕込み蔵には入れません。4種類のタイプの日本酒をブレンドして自分だけの一本を造る「世界に1本だけのSAKE造り」体験もあり、2025年には旅行会社の企画ツアーとしても開催されました。見学や体験は事前の予約が必要です。酒蔵祭りは例年開かれ、2026年は10月3日と4日に催されました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
山口県下関市幡生宮の下町8番23号
創業
1923年
公式サイト
www.sekimusume.co.jp

出典

sake-times.com / shimonoseki.love / sakenomy.jp / nihon-u.ac.jp / wikipedia.org / stca-kanko.or.jp / nihonshu-tourism.com / sekimusume.co.jp / oishimo-tanoshimo.com / shimonoseki-cu.ac.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / pref.yamaguchi.lg.jp / yamaguchi-tourism.jp / nta.co.jp / furunavi.jp

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