SAKE BREWERY — HYOGO

大関

兵庫県西宮市今津出在家町4-9 1711年創業

紹介

1711年(正徳元年)、初代大坂屋長兵衛が兵庫県西宮市今津(灘五郷)の地で創業した蔵元です。江戸時代には酒銘「万両」として江戸へ樽廻船で運ばれる下り酒として親しまれ、1884年に「大関」へと改称しました。ミネラル豊富な「宮水」を仕込み水に使用し、丹波杜氏から受け継がれる技と「大関総合研究所」などの科学技術を融合させた酒造りを行っています。1964年の東京オリンピック開幕日には、手軽なコップ付き容器の「ワンカップ大関」を業界に先駆けて発売し、清酒業界に容器革命をもたらしました。「大関」「辛丹波」「金鹿」「特撰 大吟醸」などの多様な銘柄を展開するほか、長年培った醸造・発酵技術を生かして食品や化粧品などの事業開発も行っています。

歴史

1711年(正徳元年)、初代大坂屋長兵衛が灘五郷の一つ今津郷(現在の兵庫県西宮市今津出在家町)で酒造りを興したのが大関の始まりです。当時の酒銘は「万両」で、樽廻船によって江戸へ運ばれる「灘の下り酒」として親しまれました。1884年(明治17年)、当時の大相撲の最高位であった「大関」にちなみ、酒銘を「大関」へと改めました。

今津の地と大関を興した長部家には、酒造りにとどまらない地域史も残っています。1810年(文化7年)、5代目長兵衛は船の航海安全を祈願する常夜灯「今津灯台」を今津の港に建立しました。1858年(安政5年)には6代目文次郎が灯台を再建し、大正時代に電化されるまで長部家の丁稚が毎夕欠かさず灯りをともす習わしが続いたと伝えられています。樽廻船の出入りで栄えた今津郷の歴史そのものが、大関の酒造りの背景になっています。

灘の酒を高名にした要因の一つが仕込み水「宮水」です。1840年(天保11年)、魚崎の酒造家・山邑太左衛門が、西宮の水で仕込んだ酒が優れた品質になることに気づいたことから、この地下水は名水として知られるようになりました。今津郷に蔵を構える大関も、このミネラル分に富む宮水を仕込み水として用いており、灘五郷に共通する酒質の骨格を支えています。

大関の歴史の中でも大きな転機となったのが、1964年(昭和39年)10月10日、東京オリンピック開会に合わせて発売した「ワンカップ大関」です。当時の社長・10代長部文次郎が「コップをそのまま酒の容器にして売り出す」と発案し、容器の形状は東京芸術大学の小池岩太郎、「ONE CUP」の文字が入るラベルは女子美術大学の松川烝二がデザインを手がけました。1966年に新宿駅・上野駅の売店で販売が始まり、1967年には酒類業界初となる自動販売機を設置、1979年には年間販売本数1億本を達成するなど、コップ酒という新しい飲用スタイルを日本酒業界に根付かせました。

酒造り

大関は現在、寿蔵・恒和蔵・魁蔵という3つの蔵で酒造りを行っています。特定名称酒を中心に生産する寿蔵は1960年に完成し、原料米の自動処理装置や理化学分析を取り入れた発酵の自動制御を導入しています。主力となる恒和蔵は1996年完成で、白米1日24トンを仕込める能力を持ち、最新の制御装置により大量かつ安定した品質の酒造りを支えています。

2025年10月29日には、本社敷地内に小規模醸造蔵「魁蔵(さきがけくら)」が誕生しました。仕込み場をガラス張りにした「見える醸造」をコンセプトに、総米最大150kgという小仕込みで洗米から瓶詰めまでを一貫して手がけます。大量生産の体制では酒造り全体を経験しにくくなっていた社員が、丹波杜氏の技と心を体感しながら自ら考え挑戦できる場として、構想から10年を経て開設されました。

丹波杜氏は南部杜氏・越後杜氏と並ぶ日本三大杜氏の一つで、起源は1755年(宝暦5年)、篠山曽我部の庄部右衛門が池田の酒蔵の杜氏となったことに遡るとされます。江戸時代中期以降は伊丹・池田から灘五郷へ移り高い技術力を発揮し、現在に伝わる灘の銘酒の多くを作り上げました。大関はこの丹波流の技を受け継ぐ蔵のひとつであり、1980年設立の大関総合研究所による微生物学・生化学・生物工学の知見と組み合わせることで、経験と勘に頼ってきた酒造りを科学的にも支えています。

蔵データ

所在地

兵庫県西宮市今津出在家町4-9

創業

1711年(兵庫県)

公式サイト

www.ozeki.co.jp

代表銘柄

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辛丹波:本醸造酒を中心に純米酒・にごりなどを揃えるシリーズです。中でも「辛丹波 純米酒」は兵庫県産山田錦を麹米に用い、乳酸菌を加えてじっくり低温で仕込んだ純米酒で、日本酒度+7、酸度1.7、精米歩合70%、アルコール分15%と、しっかりとした口当たりとキレのある辛口の後味が特徴です。冷やすと軽快に、燗にすると純米酒らしい豊かさが際立ちます。

ワンカップ®:1964年発売の元祖カップ酒で、以来大関を象徴するブランドです。定番の「上撰ワンカップ」のほか大吟醸を詰めた「ワンカップ®大吟醸」などラインナップを展開しています。公式オンラインショップでは名入れなどオリジナルラベルを30本から作成できるカスタムサービスも提供しており、ギフト需要にも対応しています。

大関:1884年の改称以来の看板銘柄です。普通酒の「上撰 金冠」から、大関オリジナル酵母「白銀酵母」を用いた大吟醸、兵庫県特A地区産山田錦を35%まで磨いた「超特撰 大吟醸 長寿」まで幅広い価格帯・味わいを揃えています。大吟醸は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2025」メイン部門で金賞を受賞しました。

特撰 大吟醸:精米歩合50%まで磨いた米を低温でじっくり発酵させた、フルーティな香りと淡麗辛口のすっきりした味わいが持ち味の大吟醸酒として紹介されていました(日本酒度+3、酸度1.3、アルコール分15%)。ただし現在は公式ラインナップに掲載がありません。

金鹿:灘の酒本来の味を受け継ぐ、大関の中でも手に取りやすい定番の普通酒ブランドです。「金鹿 生粋」は国内産米と米こうじ、醸造アルコールを原料に、日本酒度+5・酸度1.2・アルコール分14%に仕上げたバランスの良い辛口で、1.8L瓶で流通し、冷やから燗まで幅広い温度帯で楽しめます。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

大関公式オンラインショップ(shop.ozeki.co.jp)で日本酒・甘酒・化粧品などを通信販売しています。ワンカップは名入れなどオリジナルラベルを30本から注文できるカスタムサービスも用意されています。

補足

常設の工場見学は行っておらず、年1回の蔵開き開催時のみ蔵見学ができます。2026年は3月7日に本社敷地内で「大関蔵開き」が実施され、先着120名・有料1,000円(試飲・お土産付)で蔵見学ができるほか、屋台や酒造り唄のステージイベントも行われました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

the-kansai-guide.com / ozeki.co.jp / sakenomy.jp / kato-yamadanishiki-sake.jp / mynavi.jp / mypl.net / hyogo.lg.jp / amaportal.jp / ja.wikipedia.org / rekishikaido.gr.jp / hansui.org / prtimes.jp / higashinada-journal.com / city.tambasasayama.lg.jp

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