岡崎酒造
代表銘柄:信州亀齢
長野県
NAGANO
1665年創業
寛文5年(1665年)創業、長野県上田市の旧北国街道柳町に蔵を構える老舗酒蔵です。代表銘柄の「信州亀齢(しんしゅうきれい)」は、菅平水系の水や長野県産の酒米(美山錦、ひとごこち、山恵錦など)を用い、限定吸水・箱麹・小仕込みといった手間のかかる手法による丁寧な手造りで醸されています。2003年より12代目の岡崎美都里氏が全国的にも数少ない女性杜氏として酒造りを率い、夫の岡崎謙一社長とともに徹底した酒質向上を進めてきました。
地元・上田市の「稲倉の棚田」を保全する酒米オーナー制度など、地域と共存共栄する取り組みにも注力しています。平成27年(2015年)関東信越国税局酒類鑑評会の吟醸酒の部にて最優秀賞を受賞したほか、全国新酒鑑評会でも金賞を受賞するなど、そのクオリティは全国から高く評価され、入手困難と言われるほど大きな人気を集めています。
岡崎酒造の歩み
岡崎酒造は、北国街道の宿場町として栄えた上田の柳町で、寛文5年(1665年)に創業しました。屋号は「小堺屋」で、当主は代々「平助」の名を襲名していました。「問屋日記」には寛文5年の酒造米石高の書上があり、「小堺屋平24石」の記述が残っています。長らく創業は元禄16年(1703年)と伝えられてきましたが、現在はこの記録を最古のものとして1665年を創業年としています。蔵には、江戸時代からの酒造りの道具や書物も残されています。柳町は、中山道と北陸道を結んだ北国街道の要所だった町で、いまも古い家並みが残っています。
先代の時代には、経営を番頭に任せ、造りの期間だけ杜氏を招く体制でした。日本酒の需要が落ち込むなかで売り上げは低迷し、製造量は30石から50石ほどにまで減りました。蔵の前の柳町の通りを観光地として整える取り組みは実を結びましたが、酒の販路は蔵の売店での直売と、問屋への普通酒の出荷にほぼ限られていました。この蔵を継ぐ決意をしたのが、三姉妹の末っ子の岡崎美都里です。小学生のころから誰もやらないなら自分が継ごうと考えていた美都里は、東京農業大学で醸造学を学び、大手酒販会社に勤めたのち実家に戻りました。
約4年にわたって先代の杜氏から技術を学び、2003年から杜氏として造りを率いています。全国的にも数少ない女性杜氏の一人で、蔵元の12代目にあたります。
2011年には、美都里の夫の岡崎謙一が蔵に入りました。謙一は東京農業大学を卒業して岡崎酒造に婿入りしたのち、10年ほどは東京都庁や老人ホームの施設長として外で働き、番頭の定年退職を機に酒造りに本格的に関わるようになりました。岩手県の南部美人の蔵で教えを受け、各地の蔵を訪ねて学び、麹室の新造や冷蔵設備の導入といった設備投資を重ねました。銘柄は「信州亀齢」への一本化を進め、2017年には地元向けに造っていた普通酒の製造をやめて、自分たちが納得できる酒だけを造る蔵になりました。
転機は、2015年の関東信越国税局酒類鑑評会(第86回)でした。吟醸酒の部で出品197点の第1位にあたる最優秀賞を受け、純米酒の部でも優秀賞に入りました。翌2016年には大河ドラマ「真田丸」が始まって上田を訪れる人が急増し、蔵にも多くの人が訪れて、各地に信州亀齢のファンが生まれました。同じ鑑評会では、2014年(第85回)と2016年(第87回)にも吟醸酒の部で優秀賞を受けています。2018年から2022年までは5年連続で、吟醸酒の部と純米吟醸酒の部の両方で受賞しました。
2019年の吟醸酒の部が特別賞で、ほかはすべて優秀賞です。2020年には純米酒の部でも優秀賞に選ばれています。全国新酒鑑評会には、2014年から2022年のあいだに7回入賞しています。年は2014・2015・2018・2019・2020・2021・2022年で、うち金賞は2018年と2021年の2回です。2020年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE部門では、「信州亀齢 美山錦 純米大吟醸」が、部門トロフィーに次ぐ評価の銘柄に産地ごとに贈られる「長野・純米大吟醸トロフィー」に選ばれました。
岡崎酒造は、地域とともに生きる蔵であることを掲げています。上田市の稲倉の棚田は、1999年に日本の棚田百選に選ばれた棚田です。岡崎夫妻は2014年に棚田のオーナー制度に参加し、その景観に心を動かされました。2年後の2016年春からは、岡崎酒造が全量を買い取ると提案し、稲倉の棚田保全委員会の農家が酒造好適米のひとごこちを棚田で栽培するようになりました。2017年春には、保全委員会が酒米オーナー制度を立ち上げています。
2020年10月には、長野県が棚田の保全を企業が担うために設けた「棚田パートナーシップ協定」の第一号として、岡崎酒造が稲倉の棚田保全委員会と協定を結びました。2021年時点で、棚田で収穫される米の5割を岡崎酒造が引き取っています。エネルギーの面でも、2020年7月から、市民出資で太陽光パネルを増やす「相乗りくん」に屋根オーナーとして参加し、酒蔵の倉庫の屋根に太陽光パネルを置いています。
酒造りの特徴
仕込みの水は菅平水系の水です。米は長野県産を中心に使い、美山錦とひとごこちを軸に、長野県独自の酒造好適米である山恵錦、長野生まれの金紋錦、山田錦を、銘柄ごとに使い分けています。美山錦は昭和53年に「たかね錦」の突然変異から育成された米で、すっきりと軽快な味わいになります。ひとごこちは美山錦より大粒で心白の発育がよく、50%程度まで磨くと、美山錦より淡麗で味に幅のある酒になります。
造りは限定吸水、箱麹、小仕込みで、一本ずつ手造りで進めます。米の浸漬はすべて秒単位で、杜氏がストップウォッチを持って計ります。浸漬した白米は吟醸用の甑で蒸し、麹造りは室温30度ほどの麹室で二昼夜、約48時間かけ、その間は寝ずの番が続きます。仕込みは三段仕込みで、四日間かけて完了します。
搾りは、酒を空気に触れさせないように、ヤブタ式の圧搾機で行います。搾ったあとはゆっくりとタンクに移し、素早く瓶詰めします。近年は造りの時期の気温が上がっているため、一部のタンクは冷蔵設備の整った大きな冷蔵庫に入れ、ほかのタンクもチラーなどの温度管理装置で冷やして、信州の冬を再現しながら発酵を管理しています。冷蔵庫の中では、10月から5、6月ごろまで造りができます。2022年時点では、仕込みタンクは全部で9本です。麹室は新造され、瓶洗浄、火入れ、ラベル貼りを行う建屋も改修されています。
どのシリーズを飲んでも方向がぶれないことを、蔵は強みとしています。現在の商品は、純米大吟醸が金亀(金紋錦)、銀亀(美山錦)、ヘキサゴンの3種、純米吟醸がひとごこち、美山錦、山恵錦、金紋錦、山田錦と、稲倉の棚田産ひとごこち(生と火入れ)、純米酒がひとごこちと緑ラベルです。目指す酒質は、香りと甘み、すっきりとした後味、そしてフレッシュさです。
代表銘柄
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信州亀齢
蔵を代表する銘柄で、名は「鶴は千年、亀は万年」の長寿への願いに由来します。広島県西条にも同名の「亀齢」があるため、地域名を冠して「信州亀齢」と名乗っています。純米大吟醸から純米酒まで、同じ方向の酒質でそろえたシリーズで、美山錦やひとごこち、金紋錦、山田錦など、米の違いで飲み比べられます。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵元直営店(上田市中央4丁目7-33)。営業時間は9時から16時で、定休日はありません。お一人様1日1本までの販売です。
- 補足
- 蔵見学は行っていません。店頭の販売状況は蔵のSNSで案内されます。元日・2日など臨時に休業する日があり、その案内も蔵のSNSで出されます。上田駅から1.1km、徒歩17分ほどで、お車の場合はタイムズ上田柳町を利用します。蔵の通り向かいには、2025年6月に一棟貸しの酒蔵ホテル「KIREI」が開業しました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 長野県上田市中央4-7-33
- 創業
- 1665年
- 公式サイト
- www.ueda.ne.jp
出典
sakenomy.jp / yanagimachi-ueda.jp / wikipedia.org / into-the-local.com / sake-genkabar.com / mohilog.com / naganosake.jp / nihonmono.jp / sakestreet.com / shimizuya.info / nakamatuya.com / shinshu-kirei.com / ueda.ne.jp / kurashi-futo-shinshu.jp / jp.sake-times.com / osakesuki.jp / saketime.jp / kurabitostay.com / inaguranotanada.com / nrib.go.jp / nta.go.jp
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