高田酒造
代表銘柄:此君
鳥取県
TOTTORI
1875年創業
鳥取県倉吉市の観光名所「白壁土蔵群」エリアに位置する高田酒造は、文久元年(1861年)から昭和30年ごろまで醤油醸造を営み、明治8年(1875年)に酒造りを始めました。天保14年(1843年)に建てられた歴史的価値の高い主屋をはじめとする建築群は、鳥取県指定保護文化財となっています。代表銘柄「此君(しくん)」の酒名は、中国の故事の一節「なんぞ此の君なかるべけんや」に由来しています。酒造りでは昔ながらの手作業による工程を重視し、品質管理が行き届く少量生産を貫いています。
平成12・13酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞した実績を持つほか、鳥取県産の「玉栄」や「山田錦」などの酒米を用い、米本来の旨味とキレのあるシャープな味わいを共存させた酒造りを行っています。
高田酒造の歩み
高田酒造は、鳥取県の中ほどにある倉吉の旧市街、玉川と本町通りに挟まれた細長い敷地にあります。屋号は「ひわだ屋」で、蔵元の家は文久元年(1861年)から昭和30年ごろまで醤油醸造を営み、明治8年(1875年)に酒造りを始めました。敷地の中心にある主屋は天保14年(1843年)の建築です。この年を記した棟札と、明治14年の家相図が家に伝わっており、建築年代と当時の敷地の構成がはっきり分かります。鳥取県は、県内で近世末の商家を知る指標となる重要な遺構と評価しています。
明治40年(1907年)には、皇太子(後の大正天皇)の山陰行啓に随行した憲兵将校の宿泊所になりました。主屋と仕込蔵を含む「高田家住宅及び醸造施設」は、平成22年(2010年)9月17日に鳥取県の保護文化財に指定されています。明治26年から29年にかけて倉吉の豪商の茶室を移したとされる中庭の庭園「高田氏庭園」も、同じ日に県の名勝に指定されました。庭には水琴窟があります。この一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区「倉吉市打吹玉川伝統的建造物群保存地区」にあたり、白壁土蔵群と赤瓦の町並みの一角を成しています。
酒名の「此君(しくん)」は、中国の故事の一節「なんぞ此の君なかるべけんや」から「此君」を抜き出し、屋号「ひわだ屋」の紋を冠して名付けられました。全国新酒鑑評会では、平成10酒造年度に入賞し、平成12酒造年度と平成13酒造年度には、山田錦を半分より多く使う第Ⅱ部の吟醸酒(商標「まるひ此君」「マルヒ此君」)が2年続けて金賞を受けました。平成14酒造年度も同じ第Ⅱ部で「マルヒ此君」が入賞しています。
管轄の広島国税局の鑑評会でも、平成14年(2002年)春の新酒鑑評会(平成13酒造年度の酒、出品138場のうち入賞55場で、いずれも優等賞)と、同年秋の清酒鑑評会の吟醸酒の部(出品120場のうち入賞51場)で入賞しました。平成18年(2006年)の清酒鑑評会では、純米酒の部で「ちくりん」が入賞しています。
平成23酒造年度(23BY)までの10年ほどは、蔵は造りを縮小していました。転機は、東京での会社勤めを経て蔵に戻った高田昌樹さんです。前の杜氏について酒造りを学び、23BYに初めて自分の酒を1本仕込みました。仕込みは24BYに5本へ増え、25BYは約30石、26BYはタンク8本で50石弱と、少しずつ規模を戻していきます。現在は高田昌樹さんが代表取締役を務めています。国内だけでなく、香港、上海、ソウルなど海外にも此君を届けています。
平成28年(2016年)10月21日の鳥取県中部地震では、倉吉市で最大震度6弱が観測され、仕込蔵は柱が折れるなどの被害を受けました。土台の腐食やシロアリの被害も進んでいたため、令和5年(2023年)度から3期に分けた保存修理工事に入っています。第1期は傾いた建物を元の高さに戻すもので、折れた柱は木組みで継ぐ根継ぎで直し、折れた梁も取り替えました。工事費の一部を集めるクラウドファンディングには、目標の200万円を上回る211万円が36人から寄せられました。
「夏は涼しく、冬はしっかりと冷える」仕込蔵と、長い年月の間にそこに住み着いた微生物が、此君の味わいに欠かせないと蔵は考えており、100年に一度の修復で次の100年に残す計画です。
酒造りの特徴
此君は、多くの工程を手作業で行うことで品質を高め、きちんと管理できるよう少量生産を基本としています。2000年代初めの蔵は、酒造りで一番大切にしているのは正直に造ることだと掲げていました。「一麹、二もと、三造り」と言われる中で、蔵が重んじたのは「一蒸し米、二蒸し米、三蒸し米」、つまり良い蒸し米です。そのために、洗米を10キロずつに分けて手で洗い、水切りをして、加水率が最良になるよう整えていました。仕込水には、大山の伏流水と、市内で唯一滝のある岩倉の湧水(超軟水)を使っていました。
近年の此君を特徴づけるのは、酒母に用いる酸基醴酛(さんきあまざけもと)です。高温で糖化した蒸米に培養した乳酸菌を加えて造る方法で、乳酸菌が作る自然な酸味とボディ感のある酒質を生みます。原料米は鳥取県産の玉栄が中心で、無濾過原酒を主力にしています。2025酒造年度の定番は、色で呼び分けるラベルです。純米吟醸の赤ラベルは701酵母(泡なし7号)でドライに、紺ラベルは601酵母(泡なし6号)で瑞々しく、銀ラベルは901酵母でジューシーに仕上げています。この3本はいずれも玉栄を58%に精米しています。
玉栄を75%の精米で醸す純米の黒ラベルは、米のボディ感のある味わいです。アルコール度数は13度から14度と低めです。
季節や熟成の商品も幅広く手がけています。冬に仕込んだ新酒を一度火入れして涼しい蔵で寝かせ、秋に出すひやおろしがあります。さらに1年熟成させた二夏越えのひやおろしや、10年あまり蔵で寝かせた長期熟成の純米もあります。熟成の純米のうち2015酒造年度の緑ラベルは、鳥取県産の山田錦を70%に精米し、高温糖化の酒母に醸造用乳酸を加えて仕込んだ、日本酒度プラス19の超辛口です。このほか、活性にごり、乳酸菌の働きで通常の此君の約2倍の酸度になった「Shikun SUI SUI」などの限定酒があります。
酒粕は、玉栄だけで醸した此君の酒粕として売られています。
代表銘柄
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此君
此君は鳥取県倉吉市の高田酒造を代表する銘柄で、白壁土蔵群の一角にある蔵で少量生産を基本に手作業で造られています。酒名は中国の故事の一節にちなみ、屋号「ひわだ屋」の紋を冠したものです。近年は乳酸菌を使う酸基醴酛で、鳥取県産の玉栄を主に醸します。純米吟醸の赤・紺・銀と純米の黒が中心で、アルコール度数は13度から14度と低めです。ジューシーな酸と軽快な旨みが持ち味で、ひやおろしや長期熟成酒もあります。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵の売店(鳥取県倉吉市西仲町2633)。営業時間は9時から17時で、定休日は水曜と木曜です(2026年時点)。
- 補足
- 仕込蔵は仕込みや出荷の作業があるため、個別の見学には対応していません。名勝に指定された庭園は内部非公開です。購入は売店のほか、蔵元直営のオンラインショップでもできます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 鳥取県倉吉市西仲町2633
- 創業
- 1875年
- 公式サイト
- shikun.jp
出典
sakenomy.jp / sake-times.com / shikun.shop / pref.tottori.jp / tottori.lg.jp / kotobank.jp / jizakeyakodama.com / official.shikun.shop / shikun.jp / readyfor.jp / db.pref.tottori.jp / city.kurayoshi.lg.jp / web.archive.org / www.nta.go.jp / nrib.go.jp / tottori-guide.jp
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