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中川酒造

代表銘柄:福寿海・いなば鶴

鳥取県

TOTTORI

1828年創業

中川酒造の建物
中川酒造の建物(2013年撮影)「Nakagawa Shuzou.jpg」 — 写真:KASEI / CC BY-SA 3.0縮小・WebP変換

鳥取県東部で最も古い歴史を持つ、1828年(文政11年)創業の酒蔵です。創業当時は正田屋という屋号で営業し、大正時代にめでたい謡曲「枕慈童」に由来する代表銘柄「福寿海」をリリースしました。1989年(平成元年)からは、より鳥取らしさにこだわった銘柄「いなば鶴」を展開しています。

造りにおける最大の特徴は、昭和20年代に途絶えた鳥取特有の“幻の酒米”「強力(ごうりき)」を、県の農業試験場や鳥取大学と協力して復活させたことです。強力米をはじめとする地元の米と、源太夫山から引く千代川水系の良質な弱軟水を仕込み水に使用しています。また、鳥取県内の清酒製造業では最も早くHACCP適合施設認定を取得しました。

受賞歴としては、全国新酒鑑評会にて平成年間で通算10回の金賞を受賞しており、強力米100%で醸した日本酒でも金賞を獲得するなど高い評価を受けています。

中川酒造の歩み

中川酒造は、江戸時代の文政11年(1828年)に鳥取城下で創業した、鳥取県東部で最も歴史のある酒蔵です。創業当時は「正田屋」という屋号で酒を販売していました。蔵があるのは鳥取市の中心街・立川町で、日本海に面した鳥取は冬の寒さが厳しく、県内三大河川のひとつ、千代川水系の良質な水にも恵まれており、酒造りに適した条件がそろっています。

大正3年(1914年)から「福寿海」の銘柄で酒を出すようになりました。名前はおめでたい謡曲「枕慈童」に由来し、美酒による不老長寿を願って付けられたものです。福と寿が海のように多くあれという意味も込められており、以来、蔵の代表銘柄です。昭和3年(1928年)の全国清酒品評会では、県内の蔵元の中でいち早く優等賞を受けています。

もうひとつの柱が、鳥取独自の酒米「強力(ごうりき)」です。強力は大正時代に鳥取県立農業試験場が在来種から選抜育成した酒米で、一時は六千余町歩も作られていました。しかし、収穫量の少なさや背丈の高さ、大粒ゆえの倒伏の危険などから、昭和29年(1954年)を最後に姿を消しました。先代はその土地にしかない米でつくる本来の地酒を目指して種子を探しましたが、農林省の種子センターに残っていた種子はあまりに微量で栽培に至らず、最後に鳥取大学農学部で育種保存されていた種籾の提供を受けました。

元農業試験場長の篤農家とともに米作りから取り組み、強力は平成元年(1989年)に35年ぶりの復活を果たします。同じ1989年から地元の米にこだわる銘柄「いなば鶴」の展開が始まり、復活した強力だけで醸した純米大吟醸「いなば鶴 強力」は、平成2年(1990年)2月に誕生しました。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度から平成18酒造年度まで5年連続で入賞しています。このうち金賞は、平成14酒造年度と15酒造年度の「福寿海」、平成17酒造年度と18酒造年度の「いなば鶴 強力」の4回で、平成16酒造年度は「いなば鶴 強力」が入賞でした。平成17・18酒造年度(開催は平成18年・19年)の金賞は、全量強力米・精米歩合40%の酒で得たもので、強力米の優秀さを公の場で示しました。蔵は、平成年間に全国新酒鑑評会で通算10回の金賞を受けたとしています。

広島国税局清酒鑑評会でも平成15年から18年まで毎年入賞しており、平成15年は福寿海、平成16年と17年は吟醸酒の部で福寿海、純米酒の部でいなば鶴、平成18年は純米酒の部でいなば鶴が入賞しました。

平成20年(2008年)には、酒類・食品グループJFLAの事業子会社だった当時の株式会社伝統蔵(大阪市)の支援を受け、その子会社として新たなスタートを切りました。その後、2023年には株式が、2010年設立の現在の株式会社伝統蔵に移りました。2026年時点で中川酒造は同社のグループ企業で、代表取締役社長は山岸逸人さんです。平成28年(2016年)には県内の清酒製造業で最も早くHACCP適合施設の認定を取得し、令和元年(2019年)には醪圧搾機を内蔵した冷蔵室を整えています。

近年は海外のコンクールでも評価され、令和5年(2023年)のKura Master日本酒コンクールでは「いなば鶴 純米吟醸 五割搗き強力」が純米大吟醸酒部門で金賞、同年のミラノ酒チャレンジでは「いなば鶴 純米大吟醸 強力」が利き酒部門でブロンズ賞、デザイン審査部門でベストデザイン賞を受賞しました。令和6年(2024年)のKura Masterでは「いなば鶴 純米大吟醸 強力」が純米大吟醸酒部門でプラチナ賞に選ばれています。

2020年3月からは、ANAの国際線ラウンジで提供される日本酒セレクションに、鳥取県では唯一「いなば鶴 純米大吟醸 強力」が選ばれました。2026年8月には、蔵として初めてのリキュール「福寿海 プレミアムクラフトリキュール 赤葡萄サワーの素」を発売しています。

酒造りの特徴

仕込み水は、蔵の近くにある源太夫山の湧水で、弱軟水です。洗米後の浸漬にもこの水を使います。蔵は、フランスのワイン法(A・O・C原産地統制呼称法)のように真の地酒の姿を求め、テロワール(風土性)を感じる酒を醸すことを掲げています。

その中心にあるのが強力米です。酒造りに適した低タンパクな米質を重視し、低収穫量を覚悟のうえで減農薬・低窒素肥料を心がける特別栽培契約米で、「純米吟醸 五割搗き強力」と「純米大吟醸 強力」には八頭町郡家地区の強力が使われています。強力100%の「強力」シリーズは、強力米の男性的で力強い味わいを感じてもらうため、炭素ろ過を極力控えて瓶詰めします。

洗米は、精米歩合の低い吟醸酒でも糠が残ると雑味になるため入念に行います。蒸しでは、ベトついた米ができるのを防ぐために甑の底に疑似米袋を敷き詰め、蒸気が均一に回るよう配慮しています。蒸した米は放冷機で冷まして表面がべた付かない外硬内柔の状態にし、一部の吟醸酒では自然放冷でさばけの良さを高めます。麹造りは2日がかりの手作業です。酒母には日本醸造協会の7号・9号などの酵母を使いますが、長年培われた蔵付き酵母の影響もあり、蔵ならではの味わいになります。

醪は蒸米・麹・仕込み水を3回に分けて加える三段仕込みで、タンクに巻いたベルトに水を流して温度を管理しながら、低温のまま約3週間発酵させます。搾りは、低温に保たれた冷蔵室の中にある圧搾機で行い、外気温に左右されない衛生的な環境を保ちます。搾った酒を貯蔵する場合は、酵素の働きで味が変わるのを防ぐため65℃で火入れをして夏越しさせ、まろやかで深みのある味わいに仕上げます。「五割搗き強力 生にごり」は火入れをしない生酒で、瓶内発酵によるシュワっとした炭酸が楽しめます。

杜氏は原田慎さんで、平成2年に入社し、出雲杜氏組合長を務めた前杜氏のもとで伝統の技を受け継ぎました。令和元年春に入社した営業担当の中川雄翔さんも、冬の造りに加わっています。

代表銘柄

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福寿海

大正3年(1914年)から続く蔵の代表銘柄で、福と寿が海のように多くあれという願いを込めた名前です。大吟醸は精米歩合40%、金箱入りのギフト向けの一本で、蔵の発表では、インドのコンクールIWSAでBest in Showに選ばれています。このほか、酸度が約3倍の多酸系酵母を使った甘酸純吟、純米酒の米だけ、本醸造、上撰などがあります。2018年には強力米100%の純米大吟醸「山中鹿之介」を480本限定で発売しました。

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いなば鶴

1989年から展開する、鳥取の米にこだわった銘柄です。幻の酒米「強力」100%の「強力」シリーズが中心で、精米歩合40%の純米大吟醸は炭素ろ過を控え、新米の蒸しを連想させる香りと、苦味・酸味・渋味・甘味が渾然一体となった濃厚な味わいです。精米歩合50%の純米吟醸 五割搗きは端麗辛口で、かすかに葡萄の香りがあり魚介料理に合います。このほか、燗にも向く特別純米のろくまる強力や生酛造りの純米酒があります。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵の売店(鳥取市立川町2丁目305)。営業時間は8:30〜18:00で、日曜・祝日は休みです。
補足
見学は事前予約制で、2018年の県観光資料では1回10人程度までとされています。酒造期間中は受け入れられないこともあるため、事前に蔵へ問い合わせてください。JR鳥取駅からバス岩倉路線に乗り、「鳥取東高前」で降りて徒歩約1分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
鳥取県鳥取市立川町2丁目305
創業
1828年
公式サイト
nakagawa-shuzo.com

出典

tottori-guide.jp / nakagawa-shuzo.com / maff.go.jp / tottori.lg.jp / gohriki.com / pref.tottori.lg.jp / torican.jp / torinohito.jp / nta.go.jp / web.archive.org / nrib.go.jp / kuramaster.com

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