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太田酒造場

代表銘柄:辨天娘

鳥取県

TOTTORI

1909年創業

太田酒造場の建物
太田酒造場の建物(2016年撮影)「Oota shuzoujou.jpg」 — 写真:KASEI / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

太田酒造場は、1909年(明治42年)に鳥取県東部の若桜町で創業した酒蔵です。代表銘柄である「辨天娘(べんてんむすめ)」の名称は、地元の若桜弁財天(弁天さん)に由来しています。一時期酒造りを中断していましたが、2002年(平成14年)に小規模で丁寧な純米酒造りを目指して酒造りを再開しました。

造りの最大の特徴は、「燗して尚良くなる純米酒」を目指している点です。原料米には全量若桜町産の酒米(地元の契約栽培米や自社栽培米)を使用し、生産者や田んぼごとに区別して仕込んでいます。また、すべての仕込みにおいて蒸し米の自然放冷を行い、もろみは昔ながらの「木槽(木のふね)」で袋搾りするなど、手間暇をかけた丁寧な酒造りを徹底しています。米や麹の食文化を大切にし、食事に寄り添う酒造りを続けています。

太田酒造場の歩み

太田酒造場は、1909年(明治42年)に鳥取県東部の若桜町で酒造りを始めた蔵です。町は森林が面積の95%を占める山あいにあり、蔵は旧街道沿いにあります。かつては町内に何軒もの酒蔵がありましたが、いまは太田酒造場が唯一の蔵です。蔵元の曽祖父が杜氏として働いていた蔵から独立する形で創業し、冬になると島根から出雲杜氏を迎えて酒を醸す、という営みが代々続いてきました。

転機は1992年に訪れます。出雲杜氏が高齢になって蔵に来られなくなり、人手も足りなくなったため、やむなく自社での酒造りを休み、他の蔵への委託に切り替えました。休蔵の間に、4代目社長の従弟にあたる中島敬之さんが入社しました。同じころ、蔵人のまかない食だった大根のなら漬を商品化し、地元の人からたくさんいただくきゅうりも、続けてなら漬にして売り出しました。

約10年の休蔵を経て、2002年に自社での酒造りを再開します。中島さんが杜氏となり、鳥取県の酒造技術者として知られる上原浩先生の教えを受けながらの再出発でした。再開した平成14酒造年度(14BY)の仕込みは、タンク2本、約6石(一升瓶でおよそ600本)です。再開と同時に、アルコール添加をしない純米造りに切り替えました。10年の空白でファンがいなかったため、自分たちが好きな酒に振り切る道を選びました。最初の取引は県内の酒屋で、そこから関西を中心に県外にも広がりました。それまでは、まったく地元向けの酒でした。

再開後は、米づくりにも踏み込んでいきます。2004年に酒米の契約栽培と自家栽培を始め、栽培の勉強会も開きました。2009年には鳥取の復活米・強力(ごうりき)の栽培に取り組む「強力を育む会」に加わって強力の栽培を始め、この年から酒米がすべて若桜町内産になりました。2010年からは、酒米生産者の名前を裏ラベルに記しています。2012年(平成24年)には、広島国税局の清酒鑑評会の燗酒部門で、純米大吟醸酒の辨天娘が優等賞を受けました。

仕込みの規模も広がり、2017年にはタンク28本(うち生酛3本、山廃1本)を仕込むまでになりました。

いまの社長は5代目の太田章太郎さんです。東京の大学を出て銀行に勤め、岡山や大阪などの店舗で約7年働いたのち、父や蔵人たちが酒造りを再開して活気づく姿を見て蔵を継ぎました。代替わり後も基本方針は変えず、米づくりに向かう時間をしっかり確保するようにしています。2023年9月には東京の「若手の夜明け」で燗酒を提供して高い評価を受け、東京のコーヒー店との蔵でのコラボ企画など、他の分野との交流にも取り組んでいます。

酒造りの特徴

酒造りの柱は、「燗して尚良くなる純米酒」です。目指すのは、燗にして尚良くなる純米の食中酒です。再開時にアルコール添加をやめて純米造りに切り替え、純米酒は燗にして一層おいしくなるという上原先生の考えも受け継いでいます。酒質を第一に、すべての仕込みで蒸し米は自然放冷にし、もろみは木槽による袋搾りで搾ります。お米をしっかり溶かし、十分に発酵させた酒は、50〜70℃のお燗にしても味が崩れません。香りは控えめで、お米の味わいがふくらみます。炊きたてのご飯と同じ感覚で、一年を通して熱燗でも楽しめる酒を目指しています。

原料米はすべて若桜町産で、地元農家との契約栽培米と自社栽培米だけを使います。使う品種は、玉栄、五百万石、山田錦、鳥取の復活米である強力、鳥取県の新品種である鳥姫の5種類です。生産者ごと、品種ごとにタンクを分け、ブレンドはしません。仕込んだ順に「1番娘」「2番娘」と名づけて出荷し、裏ラベルには品種と生産者名、仕込みの番号が載ります。たとえば平成30酒造年度の6本目のタンクは、山本敬二さんが育てた玉栄だけで仕込み、「H30BY 6番娘」として出荷されました。同じ蔵の酒でも、生産者や米による違いを味わえます。

商品には生酛や山廃の純米酒もあり、これらは酵母を添加せずに仕込みます。そのほかの商品では、6号酵母や7号酵母を使い、純米大吟醸には701号酵母を使っています。鳥姫は栽培が難しく、2024年時点で使う蔵は太田酒造場だけです。2024年の取材時点では太田さん自身も鳥姫を栽培しており、契約農家と収穫の時期や穂の長さなどを毎年見比べながら話し合っています。町内で使われなくなったトンネルの中で貯蔵する玉栄の熟成古酒もあります。

「青ラベル」は、粒が小さいなど検査規格に届かない酒米を契約農家から買い取り、5品種を合わせて仕込む酒です。等級検査を受けられず純米酒を名乗れませんが、アルコール添加はせず、ほかの純米酒と同じ手間をかけています。

蔵では酒のほかに、無添加の甘酒、大根やきゅうりのなら漬、鯖の熟鮓も造っています。大根なら漬は、酒蔵の中で2年かけ、7回の漬け替えで仕上げます。鯖の熟鮓は、クマ笹を敷き詰めた木桶に麹と塩鯖を1か月漬け込む、添加物を使わない昔ながらの製法です。米と麹の文化を酒とともに伝えていくことを、蔵元の役目と考えています。

代表銘柄

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辨天娘

銘柄名は、地元若桜町の弁財天(若桜弁財天)にちなみます。玉栄、五百万石、山田錦、強力、鳥姫の5品種を、生産者ごと、品種ごとに別のタンクで仕込んでブレンドせず、仕込み順に「1番娘」「2番娘」と名づけて出荷します。裏ラベルには生産者名が載ります。酒質は、しっかり発酵させた純米酒で、お燗にすると米の旨みがふくらみます。生酛や山廃の純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、にごり酒もあります。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵の売店で日本酒、甘酒、なら漬などを購入できます。若桜鉄道の若桜駅から徒歩で約10分で、営業時間は8時30分から19時、定休日は不定休です。
補足
酒蔵見学は、2018年12月作成の鳥取県の地酒ガイドでは1回10名程度とされています。酒造期間中は見学できない場合があるため、必ず事前に電話(0858-82-0611)で予約してください。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
鳥取県八頭郡若桜町若桜1223-2
創業
1909年
公式サイト
www.bentenmusume.com

出典

town.wakasa.tottori.jp / sakura.ne.jp / bentenmusume.com / tottori.lg.jp / torinohito.jp / torican.jp / na-na.media / pref.tottori.lg.jp / kanko.town.wakasa.tottori.jp / tottori-guide.jp / sakeworld.jp / nihonmono.jp / nta.go.jp

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