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稲田本店

代表銘柄:いなたひめ・トップ水雷

鳥取県

TOTTORI

1673年創業

稲田本店の建物
稲田本店の建物(2013年撮影)「Inata Honten.JPG」 — 写真:KASEI / CC BY-SA 3.0縮小・WebP変換

鳥取県米子市に所在する稲田本店は、1673年(延宝元年)創業の歴史ある酒蔵です。「お酒造りは心が全てである」「醸し・新し・おもしろし」をテーマに掲げ、提携農家から調達した酒米などこだわりの原料と水を生かした手造りの酒造りを行っています。伝統を守る一方で先進的な挑戦も重ねており、明治時代にはビール工場を開設したほか、1931年(昭和6年)には全国に先駆けて冷やして飲むお酒(冷用酒)「トップ水雷」を発売しました。

「トップ水雷」の銘は、のちに大正天皇となる嘉仁親王の米子行啓に随行した東郷平八郎(東郷元帥)が命名した「水雷」に由来します。また、約40年ぶりに復活した鳥取県原産の酒造好適米「強力(ごうりき)」を使用した純米吟醸酒の製造など、地域の米を生かした酒造りにも取り組んでいます。代表銘柄には出雲神話のヒロインに由来する「稲田姫(いなたひめ)」や「トップ水雷」などがあります。

稲田本店の歩み

稲田本店の創業は延宝元年(1673年)にさかのぼります。稲田家3代目当主・嘉右衛門が「因幡屋」の屋号を掲げ、現在の伯耆町大岸にあたる地で酒と醤油の製造業を始めました。元禄中期には当主・稲田半兵衛が米子市紺屋町へ移り住み、屋号を「稲田屋」に改めて、今日につながる酒蔵の礎を築きました。

明治25年(1892年)には7代目・稲田藤治郎が久米町にビール工場を建設し、本場ドイツで学んだ技師を招いて「イナタビール」として売り出しました。瓶は手拭いで手づくりし、長いコルク栓でガス漏れを防ぐなど工夫を凝らした地ビール製造の先駆けでしたが、隣家からの出火で工場が全焼し、製造は中止となりました。大正4年(1915年)には合名会社稲田本店を設立し、代表社員に稲田秀太郎が就任、大正7年(1918年)には醸造場を紺屋町から久米町へ移転し、以後70年にわたって久米町で酒造りを続けました。

昭和6年(1931年)には、稲田元長の代に全国に先駆けて「冷やして飲む」お酒を開発し、「トップ水雷」の名で売り出しました。この酒銘は、のちに大正天皇となる嘉仁親王が米子を行啓された際に随行した東郷平八郎(東郷元帥)が、日露戦争の日本海海戦で活躍した新兵器「水雷」にちなんで命名したもので、東郷元帥直筆の書は今も同社の資料館に保存されています。昭和42年(1967年)には、同業他社に先駆けて精米歩合50%の純米酒の醸造を始めています。

昭和62年(1987年)には、隣接していた鳥取大学医学部附属病院の拡張工事にともない、久米町の醸造場を現在の米子市夜見町へ移転しました。平成7年(1995年)11月に代表社員・稲田重美が死去し、後任に梅原正顕が就任しました。平成8年(1996年)10月には合名会社稲田本店と株式会社梅原商事が合併して現在の商号「株式会社稲田本店」となり、酒類の製造販売業に不動産賃貸業と保育園業を加えて経営基盤を強化しました。

平成10年(1998年)12月には、稲田本店の清酒が楽しめる居酒屋「稲田屋」を東京日本橋に開き、以後多店舗展開を進めて、現在は東京都内11店舗、米子市内1店舗で「稲田姫」を味わえる店を構えています。平成21年(2009年)10月には、代表取締役が梅原正顕から成瀬以久に交代し、現在に至ります。

平成14年(2002年)2月には、鳥取県原産でありながら栽培の難しさから約40年にわたり造られていなかった酒造好適米「強力」が地元の酒蔵や農家の情熱によって復活したことを受け、これを使った純米吟醸「稲田姫 強力」を発売しました。以後、強力米を使った酒造りは同社の看板のひとつとなっています。

酒造りの特徴

稲田本店の酒造りは、杜氏・信木真一が先代杜氏・折坂薫から受け継いだ「お酒造りとは心が全てである」という考えを軸にしています。新しい取り組みも過去の伝統に裏づけられたものだとして、提携農家などから仕入れた酒米と水にこだわり、蔵人が一丸となって手づくりの酒を醸しています。

主に使う酒米は、山田錦、新潟県で生まれた五百万石、そして鳥取県原産の強力の3種です。強力は栽培の難しさから長らく途絶えていましたが、「強力をはぐくむ会」によって品質が守られながら栽培が受け継がれています。精米歩合は純米大吟醸で30〜45%、純米吟醸で55%、純米酒で60〜75%と商品ごとに磨き分けており、山田錦を使った純米大吟醸は林檎を思わせる控えめな吟醸香と落ち着いた米の旨みを、強力を使った純米吟醸はふくらみのある果物系の香りと米のうま味を特徴としています。

こうした酒造りは全国新酒鑑評会でも評価されており、平成14酒造年度以降、「稲田姫」の名で16回入賞しています。うち金賞は平成18酒造年度、平成21酒造年度、平成25酒造年度、平成27酒造年度、令和4酒造年度の5回です。

稲田本店の技術力は、他の鑑評会や国際コンクールでも評価されています。広島国税局清酒鑑評会では、平成28年から令和7年まで10年連続で優等賞を受賞しており、令和2年・令和4年・令和5年は吟醸酒・純米酒・燗酒の3部門すべてで受賞しました。平成30酒造年度の鳥取県新酒鑑評会では、第一位となる「鳥取県知事賞」を受けています。

令和2年(2020年)のインターナショナル・ワイン・チャレンジSAKE部門では、シェリー樽で熟成させた「稲田姫 Junmai sherry BARREL」が古酒の部でゴールドメダルを獲得し、産地別の「鳥取・古酒トロフィー」も受賞しました。

代表銘柄

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いなたひめ

出雲神話でヤマタノオロチからスサノオノミコトに救われた出雲美人・稲田姫にちなんで名づけられた、稲田本店の看板銘柄です。山田錦を40%まで磨いた純米大吟醸から、新潟県系統の五百万石を使う純米吟醸、鳥取県原産の希少な酒造好適米「強力」を使ったシリーズまで幅広く展開しています。なかでも精米歩合55%の強力を使った純米吟醸「いなたひめ強力」は、同社で一番人気のお酒です。

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トップ水雷

日露戦争の日本海海戦で活躍した新兵器「水雷」にちなみ、のちに大正天皇となる嘉仁親王の米子行啓に随行した東郷平八郎(東郷元帥)が命名した銘柄です。昭和6年(1931年)には全国に先駆けて「冷やして飲む」お酒として発売され、地元米子で長く親しまれてきました。現行の純米酒は新潟県系統の酒米「五百万石」を精米歩合60%まで磨き、辛口ながら旨みのある味わいに仕上げており、冷やから燗まで幅広い温度で楽しめます。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
酒蔵見学の最後には、稲田本店おすすめの日本酒6種類から選んで無料で試飲できるほか、大吟醸を揃えた有料試飲サーバー(1杯100円・税別)も見学時以外に利用できます。オンラインショップでも通信販売を行っています。
補足
酒蔵見学は所要40分〜1時間、入場無料で、見学3日前までの事前予約が必要です。土日祝日の見学は15名以上(最大30名)からの受け付けとなります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
鳥取県米子市夜見町325-16
創業
1673年
公式サイト
www.inata.co.jp

出典

allway-japan.com / sakenomy.jp / inata.co.jp / wikipedia.org / na-s-da.net / rakuten.co.jp / tottori.lg.jp / ja.wikipedia.org / saketime.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / jp.sake-times.com

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