SAKE BREWERY — YAMAGATA
水戸部酒造
紹介
山形県天童市に位置する水戸部酒造は、1898年(明治31年)に創業した酒蔵です。代表銘柄に「山形正宗」などを持ち、現在は5代目の水戸部朝信氏が蔵元杜氏を務めています。2010年からはすべての酒を純米酒で醸造する全量純米蔵となりました。
仕込み水には、奥羽山系を源流とする日本酒蔵としては有数の硬水(硬度約120)を使用しており、豊かな米の旨味と「銘刀正宗の切れ味」と称されるシャープなキレが特徴です。伝統的な「槽(ふね)搾り」で雑味を抑えた酒造りを行う一方、ワインの乳酸発酵技術(マロラクティック発酵)を応用した「まろら」の開発など、革新的な醸造にも挑戦しています。また「米造りからの酒造り」を掲げ、2004年から自社での酒米栽培を開始し、2018年には農業生産法人「水戸部稲造」を設立して米作りにも取り組んでいます。
歴史
水戸部酒造は、明治31年(1898年)に山形県天童市で創業されました。仕込み水に選ばれた奥羽山系の伏流水と地場産米を活かした酒造りを続け、100年以上にわたって地域に根差した蔵として歩んできました。
現在の蔵元杜氏は5代目の水戸部朝信氏です。水戸部氏は1996年(平成8年)に一橋大学経済学部を卒業し、在学中にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校へ留学しています。卒業後は総合商社の丸紅に入社し財務部で輸出金融業務を担当していましたが、2000年に実家の経営が厳しいという連絡を受け、家業を継ぐことを即断して丸紅を退職しました。帰郷後は山形県工業技術センターで1年間、酒造りの基礎を学んだといいます。
その後、2006年に杜氏に就任し、2008年には代表取締役に就任して蔵元杜氏として経営と酒造りの両方を指揮する体制となりました。2010年には醸造用アルコールの添加を廃止し、米と水だけで醸す全量純米蔵へと転換しています。
米作りにも早くから取り組んでおり、2004年には天童市原町の自社田で酒造好適米「山田錦」の栽培を開始しました。当初は約17アール(510坪)という小規模な作付けでしたが、その後着実に規模を拡大し、2018年には農業生産法人「株式会社水戸部稲造」を設立しています。栽培面積はその後も広がり、2023年時点で850アール(25,000坪)に達しました。ワイン産地のドメーヌ型経営を参考にしながら、100%自社栽培にはこだわり過ぎない柔軟な「ほぼドメーヌ」を志向している点も特徴です。
酒造り
仕込み水には、松尾芭蕉が訪れたことで知られる名刹・山寺を源流とし、蔵の周辺を流れる立谷川の扇状地に湧く伏流水を使用しています。硬度は約120と、日本酒の仕込み水としては全国的にも有数の硬水で、この水質が豊かな米の旨味と「銘刀正宗の切れ味」と称されるシャープでキレのあるフィニッシュを生み出しています。
上槽(搾り)には、江戸時代以前から用いられてきた伝統的な道具「槽(ふね)」を使用しています。もろみに優しい圧力をかけながらゆっくりと搾ることで、雑味の少ない自然な味わいの酒に仕上げています。瓶詰めの際には一本一本を湯煎にかけて加熱殺菌を行い、1℃単位で温度管理を行うほか、杜氏と蔵人全員による利き酒を経て出荷のタイミングを見極めています。
原料米は、地元山形産の「出羽燦々」「亀の尾」を中心に、兵庫県秋津産の「山田錦」、岡山県赤磐産の「雄町」を積極的に使用しています。
2014年からは、赤ワインの醸造で用いられる「マロラクティック発酵」の技術を日本酒に応用する試験醸造にも取り組みました。乳酸菌の働きによってもろみ中のリンゴ酸を乳酸へと変化させることで、やさしく柔らかな酸味を生み出す製法で、伝統的な酒造りと異業種の技術を組み合わせる革新的な試みとして商品化されています。
蔵データ
代表銘柄
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山形正宗
1760円
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- 酔芙蓉
- 乙七
- malola
山形正宗:水戸部酒造の看板銘柄で、銘柄名の「正宗」にちなみ、「銘刀正宗の切れ味」と称されるシャープなキレ味が持ち味です。硬度約120の硬水で仕込み、2010年からは醸造用アルコールを使わない全量純米造りに転換しました。「紅」「藍」「麹塵」など原料米の異なるシリーズ(いずれも精米歩合40%)を展開し、豊かな米の旨味とキレのある後味を楽しめる一本として親しまれています。
malola:「まろら(malola)」は、赤ワイン醸造で用いられる「マロラクティック発酵」の技術を日本酒に応用した実験的な一本です。乳酸菌の働きでもろみ中のリンゴ酸を乳酸へと変化させ、やさしく柔らかな酸味を生み出します。地元産の酒米「出羽燦々」を精米歩合60%まで磨いて醸造し、2014年に試験醸造を開始しました。伝統と異業種の技術を融合させた挑戦的な一本です。
見学・購入
なし
山形県の観光情報サイトによれば、酒造見学および蔵での直売は行っていません。購入は公式オンラインショップ「山形正宗オンラインショップ」(yamagata-masamune.jp)などを通じて行う形になります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
yamagata-sake.or.jp / mitobesake.com / sakenomy.jp / j-s-p.or.jp / japan-sake.site / yamagata-masamune.jp / meti.go.jp / yamagatakanko.com / jp.sake-times.com / hit-press.org / allabout.co.jp
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