花の露
代表銘柄:花の露・鴻臚館
福岡県
FUKUOKA
1745年創業
「花の露」は福岡県久留米市城島町に位置し、1745年(延享2年)に創業した酒蔵です。代表銘柄「花の露」の名は、中国の古詩で美酒を称える言葉「花露」に由来します。筑後川の軟水を用い、ほのかに甘くふくよかな口当たりの酒造りを特徴としてきました。代表銘柄のほか、古代の迎賓施設・鴻臚館から名付けられた純米大吟醸「鴻臚館」なども展開していました。フランスの日本酒コンテスト「Kura Master 2023」で金賞を受賞するなど、国内外で評価を獲得しています。
旧会社の株式会社花の露は2024年12月に事業を停止して自己破産申請の準備に入り、2025年2月に破産手続開始の決定を受けました。2025年12月に地元企業のベストアメニティ株式会社が競売で土地と建物を落札し、2026年4月に施設と酒造事業を承継して酒類製造免許の交付を受けました。新しい酒は2027年2月に披露される予定です。
花の露の歩み
花の露は、福岡県久留米市城島町で1745年(延享2年)に創業した酒蔵です。城島は、筑後川の豊かな水、大粒の筑後米、芳香を放つ日田杉、三潴杜氏の技量、水運の便に恵まれ、古くから酒造りが盛んな土地でした。花の露はその城島で最も古い酒蔵とされ、当初は庄屋でしたが、のちに日本酒の醸造を始めました。
銘柄名の「花の露」は、中国の古詩などで美酒をたたえるときに使われる雅語「花露」に由来します。社名はかつて冨安本家酒造株式会社で、のちに株式会社花の露となりました。日本酒を主力に、1981年ごろからは焼酎の製造も始め、リキュールや酒粕も手がけてきました。町の中心部に位置する敷地は約2万2000平方メートルあり、近くの県立三潴高校へ土地を無償で譲渡するなど、地域にも貢献してきました。13代目の冨安拓良さんが代表を務めていました。
全国新酒鑑評会では、冨安本家酒造の名で出品した平成16酒造年度に金賞を受賞し、令和元酒造年度にも入賞しています。それ以前にも、平成3年度と7年度に金賞を受賞したと酒の事典に記録されています。平成14酒造年度以降に限ると、入賞は2回で、金賞は平成16酒造年度の1回です。福岡・佐賀・長崎を管轄する福岡国税局の酒類鑑評会では、清酒で平成15年から令和5年にかけて、少なくとも13の年に受賞しています。平成15年・18年・19年・20年は純米酒の部で優等賞、平成21年・22年は同部門で金賞でした。
平成23年には純米酒の部で最高賞の大賞に輝き、同じ年の吟醸酒の部(純米吟醸酒の出品区分)でも金賞を受賞しました。平成24年は純米酒の部と吟醸酒の部、平成26年も両部門で金賞、平成25年は純米酒の部、平成27年は吟醸酒の部で金賞、令和3年と令和5年には純米酒の部で金賞を受賞しています。
フランスで開かれる日本酒コンクール「Kura Master」でも評価を重ねました。純米大吟醸「鴻臚館」は2017年にプラチナ賞、2018年・2020年・2023年に金賞、純米大吟醸「繚爛」は2017年と2022年に金賞、2018年と2020年にプラチナ賞、特別純米「花の露」は2017年にプラチナ賞、2020年と2023年に金賞を受賞しています。麦焼酎「からす」も2022年に金賞を受賞しました。
2024年12月、設備投資による負債を抱えていたところに、コロナ禍で落ち込んだ業務用の需要が収束後も戻らず、物価高も重なって、花の露は事業を停止し、自己破産申請の準備に入りました。2025年2月18日には、福岡地方裁判所久留米支部から破産手続開始の決定を受けています。2024年の出荷量は約90キロリットルと、最盛期の20分の1まで減っていました。その後、食品卸売業や旅館業を手がける久留米市三潴町のベストアメニティ株式会社(代表の内田弘さん)が、競売にかけられた土地と建物を2025年12月に落札しました。
2026年4月1日には久留米税務署長による酒類製造免許の交付式が行われ、施設・不動産と酒造事業を承継しました。2027年2月の城島酒蔵びらきで刷新した酒を披露する予定で、花に由来する独自酵母の開発・製造も目指しています。20億円以上を投じて酒蔵を改装し、飲食店や温泉・宿泊施設などを2028年秋をめどに整備する計画です。
酒造りの特徴
仕込みには筑後川の軟水を用い、ほのかに甘くふくよかな味わいの酒を造ってきました。蔵が目指したのは「この土地の暮らしに調和するお酒」で、当時の社長の冨安さんは、九州の料理は北の地方に比べてやや甘めの味付けが好まれることから、その土地の米と水で造れば自然とこの土地の食べ物に合う酒になると考えていました。旧会社の時代の酒は香りが控えめで、煮物や白和え、甘めの九州醤油でいただく刺身などによく合う食中酒でした。
米は、定番の純米酒に福岡県産米「夢一献」を60%に精米して用いていました。純米吟醸と「鴻臚館」には福岡県糸島産の山田錦を使い、それぞれ50%、45%まで磨いていました。酒造りは三潴杜氏の技と知恵を受け継いで行われてきました。仕込み蔵は、床に開けた穴で2階と1階の仕込みタンクがつながり、2階から作業ができる造りです。作業所は明治初期に建てられたものです。
純米大吟醸「繚爛」は、精米歩合39%で、低温熟成させた雫絞りの原酒だけを使い、果実味にあふれるなめらかな味わいに仕上げていました。「鴻臚館」は山田錦を45%まで磨き、雫搾りで搾る純米大吟醸でした。
日本酒のほか、焼酎や果実酒も造ってきました。赤紫蘇と城島町で育った山田錦を使った本格しそ焼酎「山の香」は、福岡国税局の本格焼酎の部で令和3年に大賞、平成26年・令和5年・令和6年に金賞を受賞しています。麦焼酎でも、「むつごろう」が平成14年と15年に優等賞、平成22年と27年に金賞、「からす」が平成25年と29年に金賞、「左文字」が令和元年に金賞を受賞しました。ほかに、生レモンと米麹と砂糖だけで造る「レモネーゼ」や、純米酒をベースにした林檎梅酒など、日本酒を気軽に楽しんでもらうための商品も造っていました。
代表銘柄
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花の露
旧会社の時代に造られていた、蔵の名を冠した代表銘柄で、名は美酒をたたえる雅語「花露」に由来します。福岡県産米「夢一献」を60%に精米した純米酒は、やわらかく飲み飽きしない味わいで、特別純米は精米歩合55%の、香り控えめでふっくらとした食中酒でした。福岡国税局の酒類鑑評会では平成23年に純米酒の部で大賞を受賞し、2023年のKura Masterでは特別純米が金賞を受賞しています。
楽天で商品を見る鴻臚館
旧会社の時代に造られていた純米大吟醸で、古代の迎賓施設として知られる福岡の史跡「鴻臚館」の名を冠していました。福岡県糸島産の山田錦を45%まで磨き、雫搾りの技法で搾り上げ、果実のような香りと濃醇な風味が特徴で、アルコール度数は15度でした。Kura Masterでは、2017年にプラチナ賞、2018年・2020年・2023年に金賞を受賞しています。
見学・購入
- 補足
- 毎年2月に城島で開かれる酒蔵びらきには、花の露も参加してきました。2026年に酒類製造免許を取得して再建が進められており、新しい酒は2027年2月の酒蔵びらきで披露される予定です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福岡県久留米市城島町城島223-1
- 創業
- 1745年
- 公式サイト
- hananotsuyu.co.jp
出典
sake-labo.com / japansake.or.jp / sakenomy.jp / kurumenavi.com / sakedata.jp / crossroadfukuoka.jp / yomiuri.co.jp / interq.or.jp / pon.sh / tnc.co.jp / bestamenity.co.jp / sasatto.jp / prtimes.jp / news.tnc.co.jp / data-max.co.jp / fukuoka-sake.org / fukuokanosake.com / kuramaster.com / nipponsake.jp / kurumefan.com / nta.go.jp / nrib.go.jp
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