吾妻嶺酒造店
代表銘柄:あづまみね・悠楽
岩手県
IWATE
1684年創業
吾妻嶺酒造店は、岩手県紫波郡紫波町に所在する酒蔵です。1670年代に近江商人の村井権兵衛が上方流の「澄み酒」を造った「権兵衛酒屋」を起源とし、南部杜氏誕生のきっかけとなったとされる岩手県最古の造り酒屋です。現在は13代目蔵元の佐藤元氏(兄)と杜氏の小田中公氏(弟)の兄弟で酒造りを行っています。酒造りにおいては平成30年の仕込みから醸造用アルコール添加の製品を廃止し、純米酒造りに特化する方針を掲げ、全工程に目が届く年間3万本(一升瓶換算)を限度とした少量生産を行っています。
東根山から続く水脈の水を仕込み水に使用し、原料米には主に「美山錦」を採用。含みのある味わいとキレの良さを備えた「岩手らしい酒」を追求しています。また、生産量の約6割が生酒である点も特徴です。代表銘柄には「あづまみね」や「悠楽」があります。
吾妻嶺酒造店の歩み
吾妻嶺酒造店の起源は、1670年代に近江商人の村井権兵衛が、現在の紫波町にあたる地に構えた「権兵衛酒屋」です。権兵衛は南部藩で初めて、上方流の「澄み酒」を造りました。この酒屋は、日本最大の杜氏集団である南部杜氏が生まれるきっかけとなった蔵で、現在の岩手県で最も古い造り酒屋でもあります。蔵は1684年(貞享元年)を創業としています。江戸中期の天明元年(1781年)に「志和酒造店」として創業したことを起点に数える場合もあります。
当家である佐藤家の祖先は京都の薬商人で、室町時代から奥羽との交易のために何度もこの地を訪れ、近江商人の村井家と親しい関係を築きました。蔵は古くから、盛岡八幡宮や志和稲荷神社をはじめとする岩手県内9社の神社・八幡宮の御神酒を納めており、盛岡八幡宮には江戸時代から奉納を続けています。
現在は、13代目の蔵元の佐藤元さんと、弟で杜氏の小田中公さんの兄弟蔵です。元さんは昭和46年生まれで、東京農業大学醸造学科を卒業した平成6年に入社し、平成27年に代表社員・第十三代蔵元に就任しました。蔵に戻った頃は地元向けの安価な普通酒が中心で、売り上げは年々落ち込み、純米酒は1種類しかありませんでした。量より質へと純米酒造りに舵を切りましたが、県内の酒販店やお客さんからは、パック酒が2本買える値段だと見向きもされませんでした。販路を全国に求めて歩き、地元で「吾妻嶺は岩手を捨てた」と言われても純米造りを続けました。
経営は厳しく、元さんは電気技師だった弟の公さんに、力を合わせて蔵を再建しようと頼み続けました。のちに公さんが蔵に入り、杜氏となった年に東日本大震災が起きます。蔵は壁がすべて崩れ、停電で酒を搾れず、廃業の危機に直面しました。その後は被災地支援を通じて取引が増え、経営は安定に向かいました。
平成30年秋の仕込みからは、醸造用アルコールを添加した製品を廃止し、純米大吟醸・純米吟醸・純米酒に特化する方針を掲げました。令和2年4月にはオンラインでの販売を始め、現在は酒粕を使った石鹸など、スキンケア商品「1684 AZUMAMINE」も手がけています。
酒造りの特徴
主力は純米酒と純米吟醸酒です。地元の食材との相性を楽しんでもらうために、果物のようなフルーティな吟醸香をあえて抑え、米の旨みを最大限に生かす、玄人好みの造りを心がけています。目指す味わいは、米の旨みがたっぷりと感じられる、芳醇でキレのある岩手らしい酒です。
仕込み水は、蔵の裏手にそびえる町内最高峰の東根山から続く軟水の伏流水です。酒米は地元の酒米農家との契約栽培で調達しており、元さん自身が選んだ美山錦が製造量の7割を占めます。そのほかに、町内で栽培されるぎんおとめも使います。限定の純米大吟醸には雄町も用います。麹室は石室で、タンクには冷却装置が付いています。蔵の古い槽場は、映画に登場したこともあるそうです。
製造は、仕込みのすべてに目が届く年間3万本(一升瓶換算)を限度とし、2022年時点でおおよそ300石を醸しています。瓶詰めからラベル貼りまで一本一本手作業で、家族や友人も加わる家内制手工業の蔵です。この3万本は卸問屋を介さず、吾妻嶺の思いを伝えてくれる特約店にだけ託しています。2020年時点では、生産量のおよそ6割が、火入れをしない鮮度を楽しむ生酒でした。
毎年お盆明けごろに、兄弟でその年に造る酒を打ち合わせます。前の仕込みの評価を振り返り、元さんが原料米やラベルまで含めた設計図を作り、杜氏の公さんと話して方針を決めるのが蔵の流れです。
代表銘柄
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あづまみね
蔵の看板として展開する銘柄です。柱となる「純米吟醸 美山錦」は、元さんが蔵に戻った後、南部杜氏と数年の試行錯誤を重ねて生まれました。精米歩合50%、アルコール度数15度で、原材料は米と米麹だけです。通年で、生と火入れがあり、冷酒から常温、ぬる燗まで楽しめます。ぎんおとめの純米吟醸と純米、期間限定の雄町や「鸛」もそろいます。
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岩手らしい純米酒造りを掲げる、蔵の自信作の銘柄です。「純米吟醸 美山錦」は精米歩合50%、アルコール度数15度で、原材料は米と米麹だけです。通年販売で、生と火入れがあります。ほかに、南部流の技と現代の技術を融合した「純米吟醸 ぎんおとめ」、食中酒としての懐の広さを目指した「純米 美山錦」、すっきりした喉越しとほのかな甘さの「純米 ぎんおとめ」があります。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵の店頭での販売と試飲は行っていません。商品は販売店一覧の特約店や、外部のオンラインストアで購入できます。
- 補足
- 蔵見学は、地元自治体や関係団体が主催する見学会、教育機関の社会見学などを除き受け付けていません。食品製造の衛生管理上の理由です。アクセスはJR東北本線の紫波中央駅からタクシーで約15分、東北道の紫波ICから約1分です。2022年時点では、毎年3月の第1土曜日に地元の温泉施設で「あづまみねの蔵元を囲む会」を開いています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岩手県紫波郡紫波町土舘字内川5
- 創業
- 1684年
- 公式サイト
- www.azumamine.com
出典
shiwa-kanko.jp / tsugihito.net / prtimes.jp / azumamine.com / tohoku-sakurakaido.jp / japansake.or.jp / mckkjp.com / sakenomy.jp / 1684.jp / jozo.or.jp / iwatesake.jp / diamond.jp / yohkoyama.com / furusato-tax.jp / saketime.jp / web.archive.org
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