菱屋酒造店
代表銘柄:菱屋・千両男山
岩手県
IWATE
1852年創業
岩手県宮古市の景勝地・浄土ヶ浜近くに蔵を構える菱屋酒造店は、嘉永5年(1852年)創業の老舗酒蔵で、現在宮古市唯一の造り酒屋です。代表銘柄には「千両男山」や「菱屋」があり、地元三陸の浜料理などに合うすっきりとした味わいや、米の旨みを感じる純米酒造りに力を入れています。仕込み水には自社所有の山からの湧き水を使用しています。全国新酒鑑評会では平成14酒造年度以降に入賞10回・金賞5回を数え、仙台国税局の東北清酒鑑評会でも純米酒の部の優等賞を2年連続で受賞しています。
2011年3月の東日本大震災では津波により酒蔵が全壊する被害を受けましたが、海水が入らず無事だったタンクの酒を回収・販売したことや、同年冬に仕込みを再開して醸した「千両男山 特別純米酒 フェニックス」の発売など、全国からの支援を経て復活を果たしました。
菱屋酒造店の歩み
菱屋酒造店は、嘉永5年(1852年)、現在の岩手県宮古市鍬ケ崎にあたる漁師町で創業しました。創業当初は濁り酒を造っていましたが、明治以降は清酒の製造に切り替えています。酒は当初「松緑」の名で売り出され、戦前になって代表銘柄を「千両男山」へと改めました。
最盛期の宮古地区には5軒ほどの造り酒屋がありましたが、戦時中は国策による統合で「下閉伊酒造」という一つの会社にまとめられました。菱屋酒造店はそこから最初に分離して自社の名に戻り、現在は宮古市に残る唯一の造り酒屋として酒造りを続けています。現行の清酒製造免許は昭和34年(1959年)10月1日に取得したものです。
2005年には、青森県の西田酒造店で「田酒」の醸造を手がけ、後に「現代の名工」に選ばれた名杜氏・辻村勝俊が菱屋酒造店に迎えられ、純米酒造りに力を注ぐようになりました。その成果は平成18酒造年度の全国新酒鑑評会での金賞受賞に結びつき、平成14酒造年度以降の記録でみると、全国新酒鑑評会への入賞は10回、そのうち金賞は平成18・19・21・23・24酒造年度の5回にのぼります。
2011年3月の東日本大震災では、宮古港から200メートルほどの距離にある蔵が津波の直撃を受けました。木造の母屋と米処理工場、詰場は流失し、コンクリート製の貯蔵庫も壁が抜けて貯蔵タンクと瓶詰めの商品の大半を失いましたが、その後4月には無事だった酒50ケース分が発見され、6月には貯蔵タンク自体の無事も確認されて、その一部が回収・出荷されました。地域住民や全国からの支援を受け、菱屋酒造店は同じ年の冬(2011年11月)から仕込みを再開しました。
この平成23酒造年度には、麹米を精米歩合55%、掛米を60%まで磨いた岩手県産の吟ぎんがのみを原料米とする純米酒を仕込み、「千両男山 特別純米酒 フェニックス」の名で売り出して蔵の再起を象徴する一本となりました。震災から間もないこの平成23酒造年度の実績は仙台国税局の東北清酒鑑評会でも純米酒の部の優等賞として認められ、翌年審査の平成24酒造年度分も含めて2年連続の受賞となっています。
震災から10年を迎えた2021年には、フェニックスのラベルを宮古市の若手クリエイターがデザインし直した「千両男山 純米酒『港に朝日、水面の光』」を発売し、感謝と復興への願いを新たにしています。現在は、辻村の技術を受け継いだ杜氏の腹子愼が蔵人を率い、代表取締役の齊藤敦子のもとで酒造りを続けています。
酒造りの特徴
仕込み水には、自社所有の山から引いた湧き水を用いています。三陸の魚介に合わせやすいことを意識し、雑味を抑えたすっきりとした飲み口に仕上げる純米酒造りに力を入れています。
新酒の仕込みでは、選び抜いた酒米を洗米・浸漬してから甑で蒸し上げ、蒸し上がった酒米にはすぐ麹菌を振りかけ、杜氏をはじめとする蔵人の手作業で麹室へ運びます。麹を育てる工程も機械任せにせず、職人の目と手で丁寧に行っています。酒母には、酵母を安定して育てる技法に加えて乳酸菌の働きを生かす山廃の技法も取り入れており、「山廃純米酒」のような銘柄に生かされています。搾り上がった酒は瓶に詰められ、ラベルの多くは今も手作業で貼られています。
大吟醸から純米酒まで精米歩合の異なる酒を手がけ、原料米も兵庫県産の山田錦や青森県産の華吹雪、岩手県産の吟ぎんがなど、酒の個性に応じて使い分けています。華やかな香りよりも、米の旨みとキレの良さを大切にした酒質を志向しています。
代表銘柄
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菱屋
蔵の名を冠したもう一つの看板銘柄で、大吟醸の熟成酒や古酒、赤しそやりんごを使ったリキュールまで幅広い商品を展開しています。別撰純米酒には青森県産の酒米「華吹雪」を用いるなど原料米を使い分け、三陸の魚介に合うすっきりとした飲み口に仕上げています。仕込み水には自社所有の山から引いた湧き水を使用しています。
千両男山
創業時は「松緑」の名で醸造し、戦前に「千両男山」へ改めた代表銘柄です。2005年、青森県の西田酒造店で「田酒」を手がけた名杜氏・辻村勝俊が着任して純米酒造りを強化し、平成18酒造年度以降の全国新酒鑑評会で金賞を重ねました。東日本大震災後、平成23酒造年度の冬に仕込んだ酒は「特別純米酒フェニックス」として売り出され、蔵の再起を象徴する銘柄になりました。
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- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 補足
- 工場見学は電話またはメールでの事前予約制です。窓口の営業時間は土日祝を除く9時から17時までで、試飲は有料となります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岩手県宮古市鍬ケ崎下町5-24
- 創業
- 1852年
出典
japansake.or.jp / iwatetabi.jp / securite.jp / sakenomy.jp / wikipedia.org / hisiya-miyako.ocnk.net / nanbutoji.jp / jp.sake-times.com / note.com / kankou385.jp / 1116nippon.net / 47news.jp / nrib.go.jp
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